A11 ここでは就労継続支援A型の例を使って説明します。就労継続支援A型の指定を受ける際の「設備基準」に「訓練・作業室、相談室、洗面所、便所及び多目的室その他運営上必要な設備を設けなければならない」というのがあります。これを箇条書きにして抜き出すと以下のようになります。
1.訓練・作業室
2.相談室
3.洗面所
4.便所
5.多目的室
6.その他 運営上必要な設備
つまり、少なくとも6つのスペースが必要だということになります。中にはケースによって省略できるものもありますが、ここでは説明が煩雑になるので詳らかにはしません。これらの6つにスペースを会計上、どの部門が負担しなければならない経費になるかを考えてみます。
1の「訓練・作業室」は、「就労支援事業部門」となります。2の「相談室」は、「福祉事業部門」です。3~5の「洗面所」「便所」「多目的室」は、「福祉事業部門」と「就労支援事業部門」の供用となります。6の「その他 運営上必要な設備」は両部門考えられますが、支援員が総務や事務を行うスペースにするならば「福祉事業部門」となります。そして図面を見ながら、それぞれが占める面積の割合を算出します。
このような面積割合を按分できるものは以下のようなものが考えられます。
1.地代家賃
2.水道光熱費
3.内部造作などの減価償却
4.固定資産税
なお、例えばひとつの場所で複数の就労支援事業を行っている場合は、更にそれぞれの事業ごとに経費を按分する必要があります。少々面倒ですが、先ず上記の面積割合で「就労支援事業」と「福祉事業部門」に按分し、その後に「利用者数」や「収入額」など別の方法で「A事業」と「B事業」というように按分します。複数の就労支援事業を行っている場合は、このような複数の按分方法を併用するのが普通です。
以上のように面積割合で按分できるものには、「地代家賃」、「水道光熱費」、「内部造作などの減価償却」、「固定資産税」があります。