サービス利用の申請について
※クリックするとPDFファイルが開きます
障害者のための就労支援サービスとは、障害者総合支援法で定められた障害者の就労をサポートするサービスの総称です。そのサービスには、三つの種類があります。この三つの種類の支援サービスは、それぞれ特徴が異なり、その目的も違っているので、どのサービスを受けるかしっかり確認しておくことをお薦めします。
一般の企業で就労が困難だと予測されたり、または困難になった障害者が、働きたいと思ったりした時には、どのような支援サービスを利用すればよいのでしょうか。
それが障害者総合支援法により定められた、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業、これらの三つの支援サービスなのです。
・障害者総合支援法とは
その目的は、「障害者および障害児が基本的人権を享受する個人としての尊厳にふさわしい日常生活または社会生活を営む」こととされています。 そのために国が「地域生活支援事業」による支援を含めた総合的な支援を行うこととなりました。
この障害者総合支援法の理念に基づいて定められた支援サービスが、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業の三つのサービスなのです。
・就労移行支援と就労継続支援の違い
障害者総合支援法において定められた就労移行支援と就労継続支援(A型とB型とありますが)には、その支援の目的とサービスを受けることができる対象者に大きな違いがあります。
就労移行支援は、一般企業に一般枠、または障害者枠で就職を希望する障害者を対象に、就職のためのスキルを身につけることを目的としています。
それに対して就労継続支援とは、A型・B型共に現状では一般企業への就職に不安がある、または困難な障害者を対象に、働く場を提供することが目的となっています。
就労移行支援と就労継続支援(A型およびB型)には、このような大きな違いがあります。
・就労移行支援とは
就労移行支援事業所で支援サービスを受けることができるのは、精神障害、発達障害、身体障害、知的障害、障害者総合支援法の対象疾病を持っている人です。これらの障害がある人であれば、必ずしも障害者手帳を持っている必要はありません。しかし、障害者手帳を持っていない人が就労移行支援事業所で支援サービスを受けるためには、医師や自治体が支援サービスを受ける必要があると判断する必要があります。この就労移行支援事業所で支援サービスを受けることができるのは、上記の条件以外にも65才未満である必要があります。
就労移行支援事業所を利用するためには、まず住んでいる自治体の福祉課などの窓口に相談することが必要です。そこで通所できる範囲内にある事業所の紹介を行ってくれます。数か所の事業所を紹介してもらえるケースが多いため、紹介してもらった事業所を見学し、通所を希望する事業所を決定します。その後、必要書類を揃えて管轄している行政窓口に障害福祉サービス受給者証の申請を行い、これが発行された後に希望する就労移行支援事業所と利用契約を結ぶことになります。
就労移行支援事業所では、希望する職種に就くための職業訓練を行うことだけが受けられるサポートではありません。そのようなスキルを身につけるだけではなく、履歴書等の応募書類の添削や面接対策、就職に関する支援や相談、本人の適正に沿った職場探しのためのアドバイス、実際の企業における職場実習などの支援サービスを受けることもできます。また、就職後も職場に定着して長期就労に結び付くようさまざまな相談に乗ってくれることも大きなメリットです。
就労移行支援事業所を利用する場合には、利用料が必要になることもあります。その上限は、市町村民税課税世帯の通所者は月額9,300円、市町村民税課税世帯の20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者は37,200円です。
就労移行支援事業所には利用期限があり、生涯に二年間まで利用することができます。しかしこれはあくまで原則なので、二年間で就職することができなかった場合には、自治体に申請することで最長一年間の利用期間の延長が認められることもあります。なお、この二年間には就職後の長期就労のための定着支援は含まれません。
就労移行支援利用までの流れ(詳細ページへ)
・就労継続支援A型とは
就労継続支援A型事業所で働くと最低賃金以上の給与を得ることができ、その平均賃金は70,000円程度です。
この就労継続支援A型事業は障害者福祉支援法に基づいた福祉サービスの一つで、精神障害、身体障害、知的障害、発達障害、難病を抱えた方で、主治医の了解がある18歳以上65才未満の方が利用の対象者です。
障害者や難病の方が利用の対象者ですが、必ずしも障害者手帳を持っている必要はなく、医師が利用の必要性を認めればこの支援サービスを受けることができます。
それ以外にも、就労経験はあるが現在は就労していない、就労移行支援事業所を利用したが一般の企業に就職できなかった、特別支援学校を卒業した後就職活動を行ったが就職できなかった、という条件のうちのどれかを満たしている必要があります。
就労継続支援A型事業所では、障害などへの配慮やサポートを受けることができますが、雇用契約を結び最低賃金が保証されているため、就労可能という医師の判断と、仕事内容に見合った最低限の能力や体力が必要とされます。
就労継続支援A型事業所は賃金が支払われるといっても、支援サービスの一環であることには変わりはないため、事業所の利用には利用料が発生します。その利用料の自己負担額は原則一割です。自己負担の上限は市町村民税の所得割が16万円以下の障害者は9,300円、それより収入が多い世帯の障害者や20歳以上の入所施設利用者、グループホーム、ケアホームを利用している障害者は37,200円となります。しかし、生活保護受給世帯や市町村民税が非課税の世帯の障害者は無料でこの支援サービスを受けることができます。 |
実際の勤務時間や曜日、日数は就労継続支援A型事業所の作業内容によって異なります。一般的には一日に4時間から8時間の勤務を行うようです。就労日数も週三日以上など、ある程度の日数が求められます。
作業内容は、就労継続支援A型事業所によってさまざまです。このように多様な職種があるのは、多くの就労機会を確保するためです。
就労継続支援A型事業所を利用には、まず主治医との相談が必要です。主治医からの許可が出れば希望の求人を探し応募します。その後面接を受けることになりますが、この点は主治医の許可が必要な点以外は一般的なアルバイト等と同じです。
ここからが一般の就労と異なる点ですが、採用が内定したら市区町村の窓口で就労継続支援A型事業所の使用申請を行う必要があります。使用申請を行い、受給者証の発行が行われた後に初めて就労継続支援A型事業所との雇用契約を結び、いよいよ通所開始となります。就労継続支援A型事業所には、利用期間の制限はなく長期間にわたる利用が可能です。
就労継続支援A型利用までの流れ(詳細ページへ)
・就労継続支援B型とは
しかし、これだけの条件では就労継続支援B型事業所を利用することはできません。前述の条件以外にも、一般企業や就労継続支援A型事業所での就労経験はあるが年齢または体力面で就労が困難になった50歳以上、障害基礎年金1級を受給している、就労移行支援事業所などによる評価で就労面の課題が把握されているといった条件のいずれかに当てはまる人が利用の対象者となります。
就労継続支援B型事業の利用には、これらの条件を満たしていることが必須ですが、必ずしも障害者手帳を持っている必要はありません。しかし、障害者手帳を持っていない人が就労継続支援B型事業所の利用を希望する際には、医師の診断が必要です。
就労継続支援B型事業所もまた、工賃が支払われるとはいえ支援サービスの一環であることには変わりないため、事業所の利用には利用料が発生します。その利用料は就労継続支援A型事業所と同額です。
就労継続支援B型事業所では、就労や雇用の機会を提供する支援サービスを受けることができますが、この際雇用契約を結ばない点が就労継続支援A型事業所と大きく異なる点です。就労継続支援B型事業所の一番の特徴は、自分の障害や体調に合わせて自分のペースで働くことができるという点です。一日一時間だけ、または週に一日だけなどといった条件で働くことができる就労継続支援B型事業所もあります。なので、就労継続支援A型事業所での就労が困難な方でも働くことが可能です。
就労継続支援B型事業所で働いて得られる工賃は、最低賃金が保証されている就労継続支援A型事業所と異なり、一日いくらと一定額に決まっている事業所や、作業の成果に応じて工賃が支払われる事業所など、その形態はさまざまです。この工賃の平均額が3,000円を上回ることが、就労継続支援B型事業所指定の要件となっています。事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事に報告し、公表しなければなりません。
就労継続支援B型事業所の作業内容は、就労継続支援A型事業所と比較すると軽度な作業であることがほとんどです。
就労継続支援B型事業所の支援サービスを受けるためには、まず主治医に相談し、許可が出たら希望の事業所を探します。希望の事業所と相談して利用が決定したら、市区町村の窓口に利用申請を行い、受給者証の発行を受けます。その後、就労継続支援B型事業所で正式な手続きを行い、利用開始となります。就労継続支援B型事業所は就労継続支援A型事業所と同じく、利用期間の制限はなく長期間にわたる利用が可能です。
就労継続支援B型利用までの流れ(詳細ページへ)
・まとめ
ここまで就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の違いについて解説してきました。 障害者総合支援法によって定められたこれら3つの支援サービスの内容と、その違いについてお判りいただけたと思います。 これらの違いをよく把握し、自分に必要な支援を行ってくれる事業所を選んで支援サービスを受けるようにしましょう。 なお、就職間近にした障害のあるお子さんをお持ちの保護者の方用にも、就労支援サービス利用の流れが解るものも用意してありますので、そちらも参考にしてください。 |