サービス管理責任者とは
福祉業界で俗に言われる「サビ管」とは、サービス管理責任者のことを指す言葉です。
文字だけ眺めているとそれ程重要なものと思えないかもしれません。
しかしながらサービス管理責任者とは、障害福祉サービスを行っている施設においては、欠かせない重要な役割と責任を担っています。まずは概論として以下、簡単に紹介してみます。
・就労移行支援事業
・就労継続支援A型・B型
・就労定着支援事業
・療養介護
・生活介護
・自立訓練(機能訓練・生活訓練)
・共同生活援助(グループホーム)
サービス管理責任者を配置することが義務づけられている場合が多く、なくてはならない存在です。
参考:障害者の就労支援対策の状況|厚生労働省
サービス管理責任者の役割は、利用者のニーズに合わせ、より質の高い障害福祉サービスを提供するための「まとめ役」と言えます。 厚生労働省「参考資料3障害福祉サービスにおけるサービス管理責任者について」には、以下の役割を担うものとあります。
①個々のサービス利用者のアセスメントや個別支援計画の作成、定期的な評価などの一連のサービス提供プロセス全般に関する責任
*アセスメントとは、具体的にいうと、介護対象者のニーズ・利用中のサービス・生活の課題・残っている能力など生活全般におけるニーズを聞き出し、どのような介護サービス・ケアが必要なのかを判断するために行われる評価や査定のこと。
②他のサービス提供職員に対する指導的役割
つまり、サービス管理責任者の役割は、障害福祉サービスの質の向上のために、サービス内容と人員の両面をまとめることにあります。
では、サービス管理責任者の主な業務にはどんなものがあるかと言うと……。
・個別支援計画の作成
・利用者に対するアセスメント
・利用者との面接
・利用者・家族に対する個別支援計画の説明と交付
以上、四項目が挙げられています。
これら以外にも、厚生労働省による業務実態調査から、併せると11の項目が挙げられています。
上記の四項目以外には……。
・個別支援計画作成に係る会議の運営
・個別支援計画の実施状況の把握(モニタリング)
・定期的なモニタリング結果の記録
・個別支援計画の変更及び修正
・支援内容に関連する関係機関との連絡調整
・サービス提供職員に対する技術的な指導と助言
・自立した日常生活が可能と認められる利用者への必要な援助
など以上、七項目があげられています。
後にサービス管理責任者と似た名称の職名に、「サービス提供責任者」というものがあります。間違えやすいので、ここでそのことに触れておくことにします。この二つは別種のものです。
サービス管理責任者は「障害福祉サービス」を管轄しますが、サービス提供責任者は「訪問介護サービス」を管轄するという明確な違いがあります。
「サービス管理責任者とサービス提供責任者は、名前が似ているだけで、提供しているサービスは違うもの」なのです。(参考:厚生労働省「訪問介護のサービス提供責任者について」)
サービス提供責任者は、よりよい訪問介護サービスの提供のために、ヘルパー(訪問介護員)やケ アマネジャー(介護支援専門員)をまとめつつ、利用者とつなげる役割を果たします。「サ責」という略称で呼ばれることもあるようです。
サービス管理責任者になるには
必要な「実務経験」とは……。
サービス管理責任者になるためには、障害を持った方への保健、医療、福祉、就労、教育分野のいずれかにおける支援業務の経験が必要となります。その経験年数は、業務の内容や持っている資格によって異なります。
ここでいう「実務経験」の年数とは、例えば1年以上の実務経験とした場合「業務に従事した期間が1年以上で、実際に業務に従事した日数が1年あたり180日以上であること」を指します。つまり「3年以上の実務経験」が必要となる場合は、実際に業務に従事した期間が3年以上(実際に業務に従事した日数は540日以上)となります。
例えば、この日数を計算する際に、1日の勤務時間は問われません。そのため非常勤で1日5時間勤務していた場合も、日数としては1日として計算されます。
では実際に、どのような業務を何年経験していれば実務経験の要件を満たすのでしょうか。経験が必要な業務と、その年数について以下、紹介します。
必要な実務経験
1.下記の相談支援事業に従事
・地域生活支援事業
・障害児相談支援事業
・身体障害者相談支援事業
・知的障害者相談支援事業
2.下記の相談機関等で相談支援業務に従事
・児童相談所
・身体障害者更生相談所
・精神障害者社会復帰施設
・知的障害者更生相談所
・福祉事務所
・発達障害者支援センター
3.下記の施設等で相談支援業務に従事
・障害者支援施設
・障害児入所施設
・老人福祉施設
・精神保健福祉センター
・救護施設及び更生施設
・介護老人保健施設
・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業所
4.下記の就労支援に関する相談支援の業務に従事
・障害者職業センター
・障害者就業・生活支援センター
5.特別支援学校での特別支援教育における進路指導・教育相談の業務に従事
6.保険医療機関において相談支援業務に従事する方で、次のいずれかに該当する方
・社会福祉主事任用資格を有する方
・居宅介護職員初任者研修以上に相当する研修を修了した方
・国家資格等を有する方
・1~5の業務に1年間以上従事した方
7.その他上記の業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事
1.日常生活を営むのに支障のある身体または精神障害を持った方の入浴や排せつ、食事などの介護をおこなうほか、障害を持った方や介護者に対して介護に関する指導をおこなうこと。
2.日常生活における基本的な動作の指導や知識技能の付与、生活能力の向上のために必要な訓練のサポートをおこなうほか、その訓練を指導する方への訓練等に関する指導をおこなうこと。これらの業務は介護職や指導員、看護助手、生活支援員などの職種が担当しています。
1.下記の施設および保険医療機関等で介護業務または訓練等の業務に従事
・障害者支援施設
・障害児入所施設
・老人福祉施設
・介護老人保健施設
・療養病床
・障害福祉サービス事業
・障害児通所支援事業
・老人居宅介護等事業
・保険医療機関
・保険薬局
・訪問看護事業所
2.下記の障害者雇用事業所で就業支援の業務に従事
・特例子会社
・重度障害者多数雇用事業所
3.特別支援学校での特別支援教育における職業教育の業務に従事
4.その他上記の業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事
・社会福祉主事任用資格を有する
・介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)に相当する研修を修了
・保育士
・児童指導員任用資格者
・精神障害者社会復帰指導員任用資格者
※「国家資格等」とは、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉士のことを指します。
サービス管理責任者として働くためには上記の実務経験を証明する「実務経験証明書」を、就業していた事業所や施設、学校などに記載してもらい、各自治体へ届け出る必要があります。もし過去に勤務していた事業所が現存しない場合は、出勤簿などの記録から業務内容や勤務日数を確認する必要があります。
また大阪府や埼玉県は、資格要件が緩和される「サービス管理責任者の資格要件弾力化特区」に指定されているため、必要な実務経験が5年のところは3年に、10年のところは5年に短縮されます。
上記要件を纏めた表がこちら
次に必要な「研修の修了」ですが、研修は相談支援従事者初任者研修とサービス管理責任者等研修に分かれています。これらの研修は講義や演習が中心となっているため、試験はありません。
*相談支援従事者初任者研修とサービス管理責任者等研修は各都道府県によって日程が異なるため各自治体のサイトを閲覧し確認して下さい。
そのため、サービス管理責任者になるための条件がとても厳しく、なかなか人材を確保できていない現状がありました。
そのため、サービス管理責任者のあたる業務状況によって個々の能力に大きな差が生じていることが課題でした。
個々のサービス管理責任者によって提供するサービス・技術の質に差が生まれてしまうことを防ぐため、平成31年度の研修見直しが実施される運びとなりました。
サービス管理責任者(サビ管)の役割とは
サービス管理責任者(サビ管)の役割とは
サービス管理責任者の主な役割について紹介します。
A.日中活動系
B.グループホーム(共同生活援助)
C.多機能型事業所
サービス管理責任者が働く場所
サービス管理責任者が活躍する場所は、就労・介護・地域生活(身体)・地域生活(知的・精神)の4つ、それぞれで業務が異なります。以下に分野ごとにどんな職場で働くのかを紹介します。
1.就労
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった方
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった方
③ 企業等を離職し就労経験のある方で、現在、雇用関係の状態にない方
① 就労経験があり、年齢や体力の面で 一般企業に雇用されることが困難となった方
② 50歳に達している方、又は障害基礎年金1級 受給者である方
③ ①及び②に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る 課題等のある方
2.介護
3.地域生活(身体)
4.地域生活(知的・精神)
配置するサービス管理責任者の人数の参考:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov
サービス管理責任者(サビ管)に求められるもの(まとめ)
障害福祉サービスの質を保つまとめ役
サービス管理責任者は、多くの障害福祉サービスにおいて配置が義務づけられている職種です。障害福祉サービスは、それぞれの利用者のニーズに合わせて、個々の目標を達成するために支援計画が作られています。サービス管理責任者は、これらの障害福祉サービスをより上質で、適切に提供する、まとめ役を担います。
サービス管理責任者として勤めるためには、障害者の保健・医療・福祉・就労・教育の現場での5〜10年の実務経験と、原則として相談支援従事者初任者研修、サービス管理責任者等研修の修了が必要となります。
サービス管理責任者の業務とは?
また、利用者だけでなくそのご家族への支援計画の説明や他職種との会議・連絡の中枢も担います。施設スタッフの管理や技術的な指導・教育などの人材育成もサービス管理責任者に求められます。
サービス管理責任者になるためには、現場での継続した実務経験と研修受講が必要となりますが、障害者福祉の現場で働き続け、研修に推薦してもらえるほど施設から信頼されている方であれば、サービス管理責任者に向いているのではないでしょうか。