障害福祉の仕事に携わる上で必要なこと

・はじめに

国連で障害者権利条約が採択され、日本が署名し批准するまで、日本国内では障害者の権利を守るべく様々な法整備を行ってきました。障害者基本法の改正、障害者総合支援法の成立、障害者差別解消法の成立、障害者雇用促進法の成立、それに伴い障害者に対する福祉サービスの種類も増えています。
一方、福祉サービススタッフによる障害者虐待は右肩上がりに増加しており、虐待の要因にも「倫理観や理念の欠如」が挙げられています。ここでは、障害福祉の仕事に携わる上で必要な《理念》について考えてみたいと思います。支援するうえで必要な考えを再認識するきっかけになればと思います。

1.理念とはなにか

理念について考える前に、その言葉の意味をみてみましょう。

  • 【理念】とは?:①現実の根拠・価値・理想となるような統一的、根源的実在。②《Ideeの訳語》経験とかかわりを持たず、かえってあらゆる経験に統一を与える純粋理性から得られた最高概念。霊魂・世界・自由・神など。(引用:角川国語中辞書 時枝誠記・吉田精一編)
    法人理念や倫理綱領等それぞれの法人や団体で目指すべきものや、職員に必要なものとして示されているものもあります。

2.支援する立場として必要な4点

支援をする上で必要なものは大きく分けて4つあります。

  • ①理念:支援をする上で大切な考え方
  • ②体力:支援ができる健康状態
  • ③知識:制度理解、障害特性など
  • ④技術:身体介護、視覚支援など

どれも欠かせないものですが、理念はその他3つの土台となるものです。
おいしい料理を作る為の包丁が、使う人によって他者を傷つける武器になるように、知識や技術は使う側次第で悪い影響を与えるものとなります。専門的な支援をする上で、まず備えていなければいけないのは理念であることを理解してください。

3.理念が大切なのは「自分の意見を出しにくい方を支援するから」

障害福祉の仕事に携わる上で理解しなければならないことは、障害のある人は、声をあげて自分の意見を伝えることが難しい人が多いということです。

  • 知的や発達に障害があるため言語でのコミュニケーションが難しいため
  • 長い間抑圧された中で生活してきた経験があるため
  • 意見を言っても、受け止めてもらえない経験があるため

様々な理由や社会的環境によって、障害がある方が声をあげにくい現状があります。声をあげにくいということは、周りの人が本人について勝手に決めてしまうことが出来るということでもあります。だからこそ私たちは、理念をしっかりと持ち、障害のある人の想いに寄り添うことが必要なのです。

4.私たちのことを、私たち抜きに決めないで

では福祉の仕事に携わる上で必要な理念とは何でしょうか? 障害者の人権や基本的自由を守るための国際的なルールである障害者権利条約には、以下のように書かれています。

第一条 目的

この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権および基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、 および確保すること、並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。

引用:障害者権利条約

わかりやすく言えば、「障害者の自分らしさを大切にしながら、人権や自由をみんなと同じように確保する」ことということができると思います。
理念という表記ではありませんが、障害者権利条約が目指すものも明確に示されていて参考になります。とはいえパッと見た時、難しい表現が並んでいてストンと頭に入ってくる表現ではないかもしれません。
ではこちらはいかがでしょうか?

●「私たちのことを、私たち抜きに決めないで(Nothing About Us Without Us)」

上記は障害者権利条約を作る際に大切にされた、障害者の間で使われていたスローガンです。
障害があるということで基本的な人権も保障されず、どこかの誰かに自分たちのことが決められてきた歴史を持つ障害者の気持ちが伝わるような言葉ではないでしょうか? 人生はその人のためのもの。「その支援は、ご本人が望んでいることか、どうか?」支援が誰のためのものであるかを支援者は忘れてはなりません。
多くの法人や企業にも、それぞれの理念があることと思います。社会福祉士会や介護福祉士会といった団体にも倫理綱領があります。自身、様々な理念・倫理を見て学び、様々な人と考え方を共有し、すり合わせていく中で自らが大切にする理念をしっかりと持っていただければと思います。

5.自分にとって大切な人に、同じ支援をしますか?

支援者も人間です。嫌なこともあれば、うまくいかないこと、イライラすることもあります。人手が足りない、業務量も多い、支援に慣れが生じて気持ちが緩む。そんな時に大切にしている理念を忘れてしまうこともあるかと思います。そうならないように立ち止まって以下の言葉を自らに問うてみてください。
「あなたは同じ支援を受けたいですか?」
「あなたが大切にしている親やこども、恋人や友達だったとしても同じような支援をしますか?」
もし、その問いに自信を持ってYESと答えられないなら、あなたの支援は誰のものであるかを見失っているかもしれません。

6.支援は1人ではできない

先程も触れたように、支援者も人間です。大変な時、辛い時に大切にしている理念を忘れてしまうこともあるでしょう。だからこそチームでの支援が必要なのです。自らは気付けないパターナリズムや、感情がコントロールできない場面などでは、周りにいる支援者が声をかけることで気付くことが出来るのです。
あなたが支援を1人で抱え込めば抱え込むほど、その人のための支援から離れ、虐待が発生するリスクは高まります。他者の人生に関わるからこそ支援者は、個人の価値観に縛られずチームで客観的な意見を交わしながら支援を検討する必要があるのです。

・最後に……

あなたの支援の根底には、理念がありますか? 障害福祉の仕事に携わる上で、理念は非常に重要です。理念の欠如は、虐待発生の要因となります。様々な理念・倫理を見て、様々な人と考え方を共有し、すり合わせて自らが大切にする理念を持っていただければと思います。







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