Q10 各部門の経費の振り分けはどのようにするのがいいのでしょうか?

A10 振り分け方法として先ず考えられるのは、《収入額で按分》する方法があります。

 税務上も認められている方法で、実務上も極めて簡単なので、もっともオーソドックスな方法と言えます。

 なぜ税務上認められているかというと、税法の考え方の一つとして「担税力」という考え方があります。これは税金を支払う能力があるという意味です。

 税金を支払うことのできる能力の高い人に、率先して税金を払ってもらおうというのが、わが国の税法の根本的にある発想です。例えば一般個人が支払う所得税は、その所得が高ければ高いほど、税率が高くなります。つまりたくさん儲けた人は、たくさん税金を支払う(そうでない人は少しだけ支払う)という仕組みになっています。例えば、相続税には、基礎控除額というものを設け、その基礎控除額を超えるほどたくさん財産がある場合に限り、税金が発生するという仕組みになっています。

 話を戻すと、収入額で経費を按分するという方法は、「収入がたくさんあるということは、それだけ経費をたくさん支払う能力が高いということなので、収入が高い部門に経費を多く分担してもらっても構わないですよ」という考え方に基づくものです。

 ここで注意しなければならないのは、方法としては非常に単純明快で簡単ではありますが、それが本当に実情とあっているかどうは別問題だということです。少ない経費でたくさんの収入を稼ぐ商売もあれば、たくさん経費を使っても全く収入が上がらない商売だってあることは、少し考えてみれば判ることです。これらの実情を無視して、ただ単に収入額で按分するというのは、あまり得策であるとは言えません。

 よって他の按分方法も考慮に入れたうえで、どの方法を選ぶかその経費ごとに判断するようにしてはいかがなものでしょうか。最終的にどうしても他の按分方法が見当たらないという場合に限って、収入額で按分するという選択をすることをここでは奨めます。