障害者就業・生活支援センター

 概要 

 障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障害者の身近な地域において就業面および生活面における一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進および安定を図ることを目的として、全国に設置されています。
 令和3年4月1日時点で全国に336箇所設置されています。

 業務の内容


就業およびそれに伴う日常生活上の支援を必要とする障害のある方に対し、センター窓口での相談や職場・家庭訪問などを実施しています。

  就業面での支援

  1. 就業に関する相談支援
    • 就職に関する相談支援(職業準備訓練、職場実習のあっせん)
    • 就職活動の支援
    • 職場定着に向けた支援
  2. 障害特性を踏まえた雇用管理についての事業所に対する助言
  3. 関係機関との連絡調整

  生活面での支援

  1. 日常生活・地域生活に関する助言
    • 生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等の日常生活の自己管理に関する助言
    • 住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関する助言
  2. 関係機関との連絡調整
【障害者就業・生活支援センターについて、より詳しく知りたい方へ】

 障害のある方が社会で自立した生活をおくるためには、「就業」、つまり、持てる能力を発揮して「働ける」ようになることが何よりも大切だと考えられます。一方で、障害があることによって、就業上の課題が発生する可能性があるのも事実です。
 障害者就業・生活支援センターは、就業に向けた生活基盤整備のための各種の相談に対応する機関です。相談内容は、大きく分けて《就業支援》と《生活支援》の2つがあります。

 登録すれば、無料で支援を受けられ、また、障害者の雇用管理に関する企業からの相談にも対応しています。
 以下、就業上の課題を解決するためのしくみ・制度の一つである障害者就業・生活支援センターについて、どのようなサービスが受けられるのか、そのサービスの範囲、他のしくみや制度との違いなどについてQ&Aでまとめみました。

Q:障害のある方が、「働きたい」、でも「どうしたら?」と思ったら。

A:そのような場合には、3つの選択肢が考えられます。障害のある方の「働く」を支援する仕組みは複数あります。
  ① 就業を中心に、就業と生活の相談支援⇒障害者就労・生活支援センター
  ② 職業相談・職業紹介⇒ハローワーク
  ③ 地域生活全般の相談支援⇒相談支援事業
「何かをしたい」と思ったとき、多くの方は「情報を集める」ことから始めるのではないでしょうか。何をするにしても、何か条件のようなものはあるのかといった、まずは広い範囲での情報を収集するはずです。同じように考えると、「働こう!」「働きたい!」と思ったり、考えたりしたとき、初めに遭遇する課題は、具体的なものというよりは、まずは「障害者の就労について」より全体的な見取り図のようなものが必用になるのではないでしょうか。つまり、「では、何から始めたらいいのか?」「何か支援が得られないのか?」ということです。

Q:障害者就労・生活支援センターとは?

A:障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用促進法改正により創設されたしくみです。
 その役割は、ハローワークをはじめ、行政機関、就労移行支援事業所等の福祉施設、区市町村障害者就労支援センター、障害者職業センター、医療機関、特別支援学校といった関係機関と連携しながら、就業面および生活面における一体的な支援を行うこととされています。
 これを簡単に言えば、障害のある方が「働こう!」「働きたい!」と思ったり、考えたりしたとき、その初期の段階で課題となる「何から始めたらいい? どんな支援があるのか?」といった課題解決の支援をするしくみや制度が、障害者就業・生活支援センターだということになります。

Q:ハローワーク、市区町村窓口や相談支援事業との違いは何か?

A:「働こう!」「働きたい!」と思ったり、考えたりしたとき、その初期の段階での相談の窓口・支援機関には、ハローワークや市区町村窓口や相談支援事業もあります。しかし、各窓口・支援機関は、それぞれ役割が異なっています。以下、簡単に説明します。

障害者就業・生活支援センターの役割

  就業にあたってのニーズや課題に応じて、その生活も含めた支援を行います。たとえば、職業訓練や職場実習のあっせん、求職活動での同行、就業後の生活面での支援など、さまざまな課題に関する相談先となるのが、障害者就業・生活支援センターです。 

ハローワーク

 ハローワークの主な役割は、仕事の紹介で、「障害者専用窓口」が設置されています。ここで求職登録を行うと、障害について専門的な知識を持つ担当者から、仕事に関する情報を提供してもらえたり、具体的な就職活動の方法の指導してもらえたり、といった支援が受けられます。

市区町村窓口などによる相談支援事業

 地域生活をおくる上での相談、たとえば、衣食住や医療などの課題に関する相談に対応するのが、各市区町村の福祉課などが窓口となって行われている相談支援事業です。相談支援事業は、指定を受けた業者も行っています。そのような業者は、その他の障害福祉サービス、支援サービスも併せて提供しているのが一般的です。

「どのようなサービスがあり、どのようなサービスが利用できるのか」といった地域で生活をするために必要な情報を提供したり、専門機関を紹介したりといったことが、主な役割となります。

 以上のように整理してみると、それぞれ担当している領域が異なることが判ります。故に、相談先も課題によって異なることになることが理解できるのではないでしょうか。

Q:障害者就業・生活支援センターの支援対象は?

A:障害者就業・生活支援センターには、実は大きく2つの支援対象があります。それは、障害のある方と、障害のある方の雇用を検討する企業となります。
以下、障害者就業・生活支援センターで受けられる具体的なサービスについては、この2つの対象に分けて見ていくことにします。

Q:障害のある方向けサービスとは何か?

A:障害のある方に向けたサービスは、大きく《就業支援》と《生活支援》の2つの領域の支援に分けることができます。いずれも「就業生活をおくる上で」必要となる支援として位置づけられています。
また、特に生活支援については、地域生活上での支援とは区別されている点がポイントです。

就業支援

障害者就業・生活支援センターで受けられる《就業支援》の主なものは、次の3点です。

1) 就職に向けた準備支援

「一度は就職したが、その時点では、離職中である」、「学校を卒業したが、就業経験がない」、「その時点で、就労移行支援事業所に通っている」など、「働きたい」「就業したい」と思われている方でも、その状況はみな異なります。
障害者就業・生活支援センターでは、そのような「個別の状況」も踏まえて、就職に向けた準備に関する支援が受けられます。具体的な支援内容としては、職業準備訓練、職場実習、就労移行支援事業所などへの斡旋があります。

2) 求職活動支援

求職活動を行う上では、各種サービスへの登録や履歴書の書類作成等を行う必要が出てきますが、その際、「その書き方がわからない」、「どこまで書いて良いのかわからない」といった課題が出てくる場合もあるはずです。

そのような求職活動で必要となる具体的な活動についても、障害者就業・生活支援センターでは支援が受けられます。

3) 職場定着支援

一旦就職しても、その職場でさまざまな課題が生じる可能性があります。
 たとえば、「障害の特性との関係もあり、その業務を継続していく上では課題がある」、「職場で必要な支援を受けたいが、それをうまく説明できない」といった困りごとが生じる可能性があるのではないでしょうか。

 そのような時、「就業アセスメント」などにより、客観的に状況を把握し、その解決策を具体化していく支援を、障害者就業・生活支援センターでは受けることができます。
 なお、「就業アセスメント」とは、面談などを通じて、相談者である障害のある方の「作業能力・就労意欲・集中力といった就労上の情報を客観的に把握すること」を言います。

② 生活支援

 障害者就業・生活支援センターで受けられる生活支援の主なものは、次の2点です。くり返しになりますが、ここでの支援は、「就業生活をおくる上での生活支援」であるという点を押さえておくことが重要です。

1) 生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等の日常生活の自己管理に関する助言

就業生活をおくる上で、その基礎となるのは、生活習慣の形成、健康管理、金銭管理など、生活をする上での自己管理とその安定化です。
 例えば、毎朝決まった時間に起床するといったことができなければ、毎日職場に通うことは非常に難しいと言えるでしょう。
 同じように、自分で自身の健康管理が難しい、あるいは、金銭管理ができないというような状況で、その課題を放置してしまったら、長くその職場で働き続けることが難しくなってしまいます。
 もちろん、すべてを自己管理できるのなら、それに越したことはありませんが、状況によっては、生活面のサポートを得ること自体が必要になる場合もあります。
 障害者就業・生活支援センターでは、このような個別の状況に応じて、「自立に向けたステップ」を踏んでいくための支援が受けられます。

例えば、定期的に様子を確認すための面談を行ったり、「自己管理方法」をいっしょに考えたり、といったことのほか、場合によっては利用可能な福祉サービスや医療内容の紹介などをしてもらうことが可能です。

2) 住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関する助言

 就労にあたっては、衣食住の環境を整備することも必要になってきますが、そこでついてまわるものに、「契約」「手続き」の問題があります。

 「経費・金銭面」から、障害のある方を支援するしくみやその制度なども複数ありますが、個別の状況によっては、受けられるもの、受けられないもの、さまざまです。

 また、ご本人が実際にその支援のしくみや制度の対象となっていても、「契約」「手続き」上のハードルが高く、必要な支援が得られていない、というようなことも実際に起きています。

 就業を軸としつつも、総合的な視点で、必要な支援を受けられるようにする、あるいはその環境整備の助言を行うのも、障害者就業・生活支援センターの役割です。

 例えば、障害者年金は、取得したいと希望する方が多くいる一方、そのしくみや手続きの方法が複雑でわかりづらいという面があります。

 障害者就業・生活支援センターでは、このような複雑なものであっても、相談された方からのヒアリング内容に応じて、その調整を「総合的な視点で」行うことになります。

 他にも、より充実した生活を送るための地域との連携や、余暇活動などについても、相談することが可能です。このような「生活全体」からの視点で、将来にわたる見通しを立てることが、就業生活に向けた準備の一つでもあるのです。

③ サービスの利用について

障害者就業・生活支援センターが行うサービスを利用するにあたっての情報を、以下にまとめます。

1) 利用料

 無料で利用することができます。ただし、障害者就業・生活支援センターまでの交通費などは、利用者負担となります。
2) 利用方法
 利用する障害者就業・生活支援センターに、事前に日時を予約してから、相談するのが基本です。また、ご本人がそのセンターに出向き、相談するのが原則ですが、状況によっては、担当者がご自宅に訪問することも可能となっています。
 なお、障害者就業・生活支援センターは、2021年度の場合、全国に336設置されており、具体的な設置場所等を以下の厚労省のWEBサイトから確認することができます。どこに行けばよいのかわからないというような場合は、お住いの地域の役所の福祉課などの窓口に相談してみてください。

厚労省 令和3年度障害者就業・生活支援センター 一覧
000769001.pdf (mhlw.go.jp)

3) 登録手続き
 障害者就業・生活支援センターを利用するには、まずは、利用登録手続きが必要となります。利用登録に必要になるのは、障害区分、その時点での就労状況や職歴、生活状況などの情報です。

 面談を通じて、センター側がその情報を把握し、登録が完了すると、就業と、就業に関わる生活に関する相談ができるようになります。

Q:雇用する企業向けサービスとは?

A:障害者雇用促進法の改定などもあり、障害のある方を積極的に雇用する企業は増加傾向にあります。その一方で、「具体的に、どのような対応をすればよいのか」と悩む企業も多くなっています。

 このような悩みに対応する役割をハローワークとともに担うのが、障害者就業・生活支援センターのもう1つの役割でもあります。
 障害者就業・生活支援センターが企業向けに行う支援としては、「各障害には一般特性がありつつ、障害は一人ひとりそれぞれの特性があること」といった障害の特性を踏まえた雇用管理などのアドバイスが受けられます。

障害のある方向けと同様、利用にあたっては登録、相談予約が必要ですが、無料で利用できます。

 まとめ

 障害のある方の「働くこと」を支援するしくみや制度には複数ありますが、そのうち、就業することと、就業に向けた生活基盤整備のための各種相談に対応するのが、障害者就業・生活支援センターです。また、障害のある方の雇用管理に関する企業からの相談にも対応しています。

 障害者就業・生活支援センターで対応する、障害のある方からの相談内容には、就業支援と生活支援の大きくは2つがあります。

 前者には「就職に向けた準備支援」「求職活動支援」「職場定着支援」の3つの支援が、後者には「生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等の日常生活の自己管理に関する助言」「住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関する助言」の2つの支援が、それぞれ位置づけられています。

 いずれも障害者就業・生活支援センターに登録すれば、無料で支援を受けられますので、就業を検討する際には、積極的に利用してみるとよいのではないでしょうか。





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