A5 一般企業への就労を希望している障がい者に対して、必要なスキル等を習得させるための支援サービスが就労移行支援です。利用者は、「一般就労を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適正に合った職場への就労等が見込まれる65歳未満の者」となります。一般企業への就労を前提としているので、24か月以内の利用が目安となっています。
利用者は、所定の利用料(原則1割、但し所得に応じて減額、免除がある)を事業所に払います。24か月後に一般企業に就職することを目指しているので、それに合わせたカリキュラムが組まれています。内容については、ここでは触れる必要はないでしょう。
このカリキュラムの中で、利用者が働くことによって「工賃」を受け取ることがあり得ます。この部分の事業活動が「就労支援会計」となる部分です。
ではなぜ「工賃」という用語を使うのでしょうか。それは、このサービスの利用者は、あくまでも利用者であって、この就労移行支援を行う事業所に雇われているわけではありません。つまり雇用契約が結ばれているわけではないため、労働基準法などの適用はなく、最低賃金の保障をする義務もありません。ですから利用者が受け取る賃金は給料ではなく、「工賃」という用語を使います。
利用者側にとっては所得税法上では雑所得としての扱いを受けます。雇用契約に基づく労働対価ではないので、給与所得とはなりません。であれば、源泉徴収、年末調整をする必要はなく、利用者各人が確定申告することになります。ただ実際はさほど高い「工賃」が貰えるケースは稀なので、確定申告する必要のないケースが殆どです。
利用者側からお金の流れをまとめると以下のようになります。
1 就労移行支援事業所に利用料を支払う(所得に応じて免除等あり)
2 事業への従事により工賃を受け取る(但し最低賃金保障の対象外故、少額であることが多い)。もし多額の工賃を稼いだ場合は、確定申告をする