統合失調症

・統合失調症[総論]

 統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。
 統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。
 陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。
 周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多いなど周りへのサインとして診てとれます。
 早く治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、周囲が統合失調症のサインらしきものに気づいたときは早めに専門機関に相談して下さい。

・統合失調症の方の仕事探し

・どんな仕事がいいか迷ったら……

精神疾患の一種でもある「統合失調症」。病名は世間一般に認知されはじめていますが、「どんな病気なのか」あまり認知されていないのが現状です。精神疾患を持っている方は社会復帰が難しいと思われがちですが、自身の体調と正しく向き合って周囲の理解を得ることで一般の方と同じように働くことができます。
以下では、「統合失調症」の方でも働ける仕事内容や、仕事探しのポイントについて解説します。勿論、個人のスキルに応じてどんな仕事を選んでも構わないのですが、もしどんな仕事がいいか迷うようなことがあったら、ぜひ参考に読んでみてください。

・「統合失調症」とはどんな病気か

「統合失調症」とは、何らかの原因によって脳の「統合機能」が低下し、思考や行動、感情をまとめることが難しくなる病気です。「統合失調症」の症状には、実在しないはずのものが見える「幻覚」や、誰もいないのに声が聞こえてくる「幻聴」などがあります。誰かに監視されている、悪口を言われているなどのネガティブな思考になってしまい、コミュニケーションを取ることが億劫になってしまうのです。
また、判断力や記憶力、集中力が低下してしまうのも統合失調症の症状の一つです。新しいことを覚えるのが難しくなったり、仕事に集中できなくなったり、優先順位をつけて計画を立てることができなくなったりします。

・「統合失調症」の人の仕事探し

「統合失調症」の人でも仕事をすることは可能です。仕事を探して実際に働くときには、自分の体調を適切に管理することや周囲の人に症状を周知してもらうことが必要となります。

①無理をしない

「統合失調症」は再発しやすい病気で、たとえ回復期であっても疲れやすかったり記憶力や判断力の低下が残ってしまう場合もあります。さらに悪化すると、幻聴や幻覚の症状が発生してしまい周囲の人に迷惑をかけてしまうこともあります。自分の体調と相談しながら、疲れやすさが残っている場合は短時間パートから始めたり、勤務時間の調整が可能な仕事を探すようにしてください。

②面接時には自分の症状を伝える

「統合失調症」は徐々に認知度は高まっていますが、人によって症状が異なったり症状をよく知らないという人がいたりします。面接時には自分の症状を伝え、定期的に通院していることや突然休んでしまう可能性があることもきちんと話してください。「話したくない」という方もいるかと思いますが、周囲からの理解を得ることは働く上での第一歩です。

・「統合失調症」の方に向いている仕事

「統合失調症」の人は、幻覚や幻聴の症状から人とのコミュニケーションに不安を感じる方が多いです。そのため、接客業など多くの人を相手にする仕事を選んでしまうとストレスになりやすく、症状が悪化してしまう原因につながります。まずは人とのコミュニケーションをあまり必要としない仕事から始めてみるのがお薦めです。

向いている仕事①:商品管理

商品管理とは、倉庫や流通センターで商品の検品やピッキングを行う仕事です。商品に不具合はないかを確認したり、リストに記載されている商品をまとめて梱包したりする作業のことを指します。商品の名前などは覚えなければいけませんが、複雑な工程や専門用語などはありませんので比較的簡単な仕事内容だといえます。

向いている仕事②:軽作業

軽作業には除草作業や植え込みの剪定、ビル清掃など多岐にわたります。一人で行うものもありますが、少人数でチームを組んで行うことが多いです。チーム内でのコミュニケーションは必要ですが、「統合失調症」の症状をきちんと伝えていれば心配することはありません。周囲の人と協力して作業を終える達成感は、仕事をする充実感にもつながります。

向いている仕事③:製造業

製造業とは、工場で部品を組み立てたりライン作業で商品を作ったりする仕事です。決められたポジションで黙々と作業することが多いため、コミュニケーションが苦手な方にも向いている仕事だと言えます。部品の組み立て方や作り方を一通り覚えれば作業ができるので、物覚えに自信がなくても大丈夫です。

・就労移行支援を利用するメリット

社会復帰したいけれど一人では不安、すでに就職活動を始めているけれど決まらないという人は、就労移行支援を利用することをお薦めします。就労移行支援とは、全国各地にある「就労移行支援事業所」に利用申請をすると就職に必要な支援が受けられる事業所制度のことです。就労移行支援を利用するメリットには、以下の3つがあります。

①企業に症状の理解・共有をしてもらえる

就労移行支援は利用者とともに就職活動を行います。提携企業へのインターンや職場体験を通して、より自分に合った業務内容を知ることができますし、事業所から企業に対して個々の症状を理解・共有してもらうこともできます。

②困った時のサポートをしてくれる

就労移行支援事業所では、さまざまな障害を抱える方の就労サポートを行っています。「統合失調症」の人に対するサポート経験も豊富ですので、体調の変化や仕事を進める上での悩みも相談・解決してくれます。

③仲間と支え合いながら活動できる

一人で就職活動をするのは、誰にも相談できず不安が募るばかりです。就労移行支援事業所には、就職を希望する多くの利用者が在籍しているので、仲間同士で情報を共有して、就職活動での悩みを打ち明け励ましあえることは、きっと大きな助けになるはずです。

・最後に……

「統合失調症」とは何らかの理由で脳の統合機能が低下し、思考や行動をまとめるのが難しくなる病気です。「統合失調症」の方でも働くことはできますが、再発しやすい病気であることから無理をしすぎると症状が悪化してしまう恐れがあります。体調と相談しながら自分に合った仕事を探すためには手厚いサポートが受けられる就労移行支援事業所を利用しながら就職活動にチェレンジしてみるのも一つです。


・Q&A(クリックすると、記事内容が見れます)

Q1 統合失調症とはどういう病気なのでしょうか?

Q2 統合失調症で周りの人が気づけるようなサインはありますか?

Q3 統合失調症の治療法を参考までに聞かせて下さい。

Q4 リハビリの中にある統合失調症・生活技能訓練(SST)について教えて下さい。

Q5 薬物療法についてですが、副作用はあるのでしょうか?