Q25 在宅勤務について教えてください。障害者の在宅就業に関するQ&A(障害者・企業)

就業の機会を応援するために、企業および就業希望の障害者の方に支援情報としてQ&Aから大切だと思われるものをピックアップしました。

A25  在宅就業を希望する障害者の方へ

Q1:在宅ではどんな働き方がありますか。

A1:在宅で働く場合には、企業に雇用され在宅で勤務する(ここでは「在宅勤務」といいます)場合と雇用関係がなく請負契約で働く(ここでは「在宅就業」といいます)場合があります。在宅勤務では、週20時間以上(週4~5日勤務)働いて、障害者雇用率の算定対象となっているケースが多いようです。
在宅就業では、在宅勤務よりも短い時間で働いているケースが多いようです。また、受注があった時だけ働くケースもあります。

Q2:在宅就業支援団体とはなんですか?

A2在宅就業支援団体(厚生労働大臣に申請、登録を受けている団体)は、障害者の在宅就業を支援するため、発注元の事業主と在宅就業障害者との間に立って、障害者に対しては仕事の発注や各種相談支援等を行い、事業主に対しては納期、品質に対する保障を担う役割をはたしています。

Q3:在宅勤務や在宅就業について相談できる機関はありますか?

A3:在宅就業支援団体では、在宅で働くことを希望する障害者の相談や訓練を行っています。また、厚生労働大臣の登録は受けていないものの、相談や訓練を行っている団体もあります(障害者の在宅就業を支援する団体)。当ホームページに掲載の近隣または興味のある活動をしている団体にお問合せされると良いでしょう。

Q4:在宅ではどんな仕事がありますか?

A4:当ホームページ資料集には実際に在宅で仕事をされている方の就業事例を掲載しております(在宅事例集の送付も行っております)。掲載されている事例では次のような業務を行なっており、パソコンやITを活用した業務が多くなっています。

  • ホームページ作成・更新
  • ホームページ運営・管理
  • webサイト制作のための素材作成
  • ホームページのプログラミング
  • システム関係のプログラム開発
  • インターネットでの情報検索・集計
  • モニター業務
  • CADによる図面作図
  • 住宅間取図作成
  • 伝票・書類作成
  • 各種データ入力
  • データ集計・分析
  • 取扱説明書の作成・レイアウト編集
  • 製品のデザイン画作成
  • ビデオ・DVDの編集
  • 点字名刺の作成・発送
  • ノベルティー作成・サンプル封入・折込作業

Q5:在宅就業支援団体ではどのような訓練をしていますか?

A5:在宅就業支援団体で実施されている主な技能訓練には次のようなものがあります。訓練の受講方法として、通所やe-ラーニング、週に1回程度、講師が家庭訪問し個別指導をする方法があります。
なお、訓練内容や受講方法は在宅就業支援団体ごとに異なりますので詳細は各団体にお問い合わせください

訓練内容

  • ワープロ・表計算等」
    エクセル、ワード、アクセス
  • 「インターネット関連」
    E-メール、HTML、フラッシュ、
    ホームページビルダー、Webアクセシビリティー
  • 「プログラム」
    C言語
  • 「デザイン・DTP」
    イラストレーター、フォトショップ
  • 「CAD」
  • 「その他」
    テープ起こし、ケーキ袋加工、
    宛名シール貼り、封入作業、折込作業

また、技能訓練に加え次のようなビジネスマナーやコミュニケーションの講習も行なっているところがあります。

  • 電話、電子メールのマナー
  • 名刺交換の仕方
  • 朝礼や会議の司会進行によるプレゼンテーション能力の向上
  • 指示に対するメモの習慣化
  • 報告・連絡・相談の重要性について
  • 仕事に対する意識(納期を守る、自己研鑽を行うなど)
  • 健康管理について
  • 在宅勤務や在宅就業を行う上での心構え
  • 雇用先企業の就業規則の理解

Q6:居住している県に在宅就業支援団体がありません。他に相談や訓練をしているところはありますか?

A6:在宅就業支援団体以外にも、障害者の在宅就業を支援する団体があります(Q&Aよくあるご質問「在宅就業とは」A3で紹介)。
e-ラーニングについては、当ホームページのe-ラーニング機関を参照してください。また、厚生労働省では通所が困難な重度障害者の方などが、在宅でIT技能などを習得する「e-ラーニングコース」を実施しています。
障害者ITサポートセンターではパソコンを活用するうえでの相談、パソコンボランティアの派遣などを行っています。

Q7:体調管理で気をつけることはありますか?

A7:自宅で在宅就業を行なう場合、上司や同僚が体調の変化に気づきにくいことがあります。休憩を入れず作業に熱中するあまり疲労の蓄積や、作業姿勢、残存機能の酷使によって、痛みや機能低下、障害悪化などを引き起こす場合があります。
特にVDT作業※1については、入出力デバイス・周辺機器がストレスなく利用できる状態かどうかだけでなく、座位の取り方なども大きなポイントになります。自身がよく知っている地域の作業療法士や理学療法士など専門家に相談するのがよいでしょう。通院やリハビリの時間などが必要な場合は、会社と労働日・労働時間を協議した上で、契約にきちんと盛り込んでおく事が望ましいでしょう。
体調不良を我慢した結果、長期の欠勤につながるなどのことのないよう、自分の健康状態を適切に会社に伝えることが重要です。
※1 ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT機器を使用して、データの入力、文章、画像などの作成、プログラミングなどを行う作業

Q8:会社とコミュニケーションをとる時に気をつけることはありますか?

A8:わからないことは放置せず、早めに連絡を取ることが必要です。メールではニュアンスが伝わらないこともあるので、必要に応じて電話や定期的な出勤、上司に自宅に訪問してもらうなどして打ち合わせすることも大切です。
また、在宅勤務の場合は、会社で勤務する場合よりも職場の人間からの声かけが少なくなるため、他者とのコミュニケーションが一層重要となります。

・在宅就業希望者を求める企業の方へ

Q1:企業にとって在宅勤務を導入するメリットを教えてください。

A1:移動の困難な重度障害者等が、自宅の慣れた環境で持っている能力を充分発揮できるため、企業にとって幅広い人材の確保が可能となります。また、会社の設備改善の負担も少なくなります。

Q2:障害者を在宅勤務者として雇用した場合でも、障害者雇用率の算定対象となりますか?

A2:障害者雇用率の算定対象となる在宅勤務者は、雇用保険の被保険者として取り扱われる在宅勤務者のうち、常用雇用労働者に該当している者です。雇用保険の被保険者として適用を受けるには、指揮監督系統の明確性等、一定の要件に該当する必要があります(詳しくは「在宅雇用の手続き」を参照してください)。

Q3:在宅勤務で雇用することを検討していますが、相談できる機関はありますか?

A3在宅就業支援団体(厚生労働大臣に申請、登録を受けている団体)では、障害者に在宅勤務の支援をするだけではなく、企業に対して在宅勤務導入に関しての相談等を実施しています。また、厚生労働大臣の登録は受けていないものの、相談を行っている団体もあります(障害者の在宅就業を支援する団体)。 各支援団体によって支援内容は異なりますので、お問い合わせください。

Q4:在宅勤務を導入するために就業規則の改定を考えています。参考になる資料はありませんか?

A4
就業規則に盛り込む内容については、「在宅勤務障害者雇用管理マニュアル」Q11Q14をご参照ください。
JFEアップル西日本株式会社が作成した「在宅勤務に関する取り決め事項」(PDF 288KB)と「在宅パートタイム勤務要領」(PDF 227KB)を紹介しますのでご参照ください。
他に、障害者の在宅勤務事例ではありませんが、以下の事例で会社が作成した「在宅勤務規定」をご参照ください。
株式会社昭芝製作所
平成17年度 高年齢者就業形態開発好事例集(PDF 762KB P15~P17)
株式会社山陽鉄工
平成19年度 高年齢者就業形態開発好事例集(PDF 2,165KB P37~P38)

Q5:在宅勤務者が利用する機器、通信費、光熱費、消耗品などの費用負担はどうしたらよいですか?

A5:①パソコン、FAXなどの機器に関しては、会社が購入していることが多く、勤務者所有機器を利用する際には借用料(月々固定額)を支払うケースがみられます。
②通信費、光熱費などの経費の額は正確に算出しにくいと考えられますが、消耗品、修理費なども含めて会社負担が望ましく、当ホームページ「在宅勤務障害者雇用管理マニュアル」Q28をご参照ください。
③参考にJFEアップル西日本株式会社の「在宅勤務に関する費用請求取決め事項」(PDF 239KB)及び「在宅勤務に関する取り決め事項」(PDF 288KB)を紹介しますのでご参照ください。

Q6:在宅勤務者とのコミュニケーションには、どのような配慮が必要でしょうか?

A6:在宅勤務者は1人で仕事をしていると孤独感や疎外感を感じることもあります。在宅勤務者が出勤できる場合は定期的に出社して打ち合わせをしたり、出社が困難な場合は担当者が自宅を訪ねて打ち合わせや健康状態のチェック、機材メンテナンスをしているケースなどがあります。また、情報の提供や打合せもメールでだけではなく電話で直接会話することも大切です。最近ではWebカメラなどを使用しコミュニケーションを図っている企業もみられます。

Q7:在宅勤務者を採用するときの判断基準を教えてください。

A7:基本的には、一般の採用と同様に本人のスキル・職務遂行力と職務内容とのマッチングや本人の意欲で判断していきます。また在宅雇用においては、上司や同僚がいない環境の中で仕事を進めなければならないことから、
電話やメール等により仕事上のコミュニケーションが行えること、
就業時間中の健康面や業務進捗の自己管理ができることが必要となります。

Q8:在宅勤務者を採用した後、教育はどのように行うとよろしいでしょうか?

A8:採用した際には、他の社員と同様、ビジネスマナーやスキル習得のための教育を行うことが望ましいでしょう。その場合、研修担当者が在宅勤務場所に出向いたり、インターネットを介して行っている例が多いようです。また、採用後も計画的に能力開発のための研修を実施することが重要です。

Q9:在宅勤務者の勤務時間や給与などの労働条件は、どのように設定するとよろしいでしょうか?

A9:給与の額は、一人ひとりの障害状況を考慮しつつ、基本的には一般社員と同様に職務内容や本人のスキル・仕事の成果等を評価し、決めると良いでしょう。また、勤務時間については、仕事の内容、本人の障害状況、他の社員とのコミュニケーションの取りやすさなどを考慮し、勤務時間を選択できるなど柔軟に設定することが望ましいでしょう。

Q10:在宅勤務者を雇用する際の労働契約書の見本はありませんか?

A10:東京事務代行株式会社が他企業への説明資料として作成した労働契約書の見本があります。内容はこちら(PDF 547KB)を参照ください







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