目次
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定については、令和6年2月6日(火)開催の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第45回)」にて、これまでの議論を踏まえ、概要が取りまとめられました。ここでは、就労系サービスを中心に記しました。
就労系サービス
1.就労移行支援
① 就労移行支援事業所の利用定員規模の見直し
- 運営基準及び社会福祉法施行規則における利用定員規模を見直し、定員10名以上からでも実施可能とする。
就労移行支援事業所は、20人以上(離島等においては10人以上)の人員を利用させることができる規模を有するものでなければならない。
[見直し後]
就労移行支援事業所は、10人以上の人員を利用させることができる規模を有するものでなければならない。
② 支援計画会議実施加算の見直し
- 地域の就労支援機関等と連携して行う支援計画会議の実施を促進する観点から、会議前後にサービス管理責任者と情報を共有することを条件に、サービス管理責任者以外の者が出席する場合でも加算の対象とする。また、地域の就労支援機関等と連携することにより、地域のノウハウを活用し支援効果を高めていく取組である加算であることから、加算の名称を地域連携会議実施加算に変更する。
○支援計画会議実施加算
583単位/回 サービス管理責任者が就労移行支援計画等の原案の内容及び実施状況(利用者についての継続的な評価を含む。)について説明を行うとともに、関係者に対して、専門的な見地からの意見を求め、就労移行支援計画等の作成、変更その他必要な便宜の提供について検討を行った場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回を限度として、所定単位数を加算する。
[見直し後]
〇地域連携会議実施加算
(Ⅰ)583単位/回 サービス管理責任者が就労移行支援計画等の原案の内容及び実施状況(利用者についての継続的な評価を含む。)について説明を行うとともに、関係者に対して、専門的な見地からの意見を求め、就労移行支援計画等の作成、変更その他必要な便宜の供与について検討を行った場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回を限度として、所定単位数を加算する。
○地域連携会議実施加算
(Ⅱ)408単位/回 サービス管理責任者以外の職業指導員、生活支援員、就労支援員が当該就労移行支援計画等の原案の内容及び実施状況(利用者についての継続的な評価を含む。)について説明を行うとともに、関係者に対して、専門的な見地からの意見を求め、就労移行支援計画等の作成、変更その他必要な便宜の供与について検討を行った上で、当該指定就労移行支援事業所等のサービス管理責任者に対しその結果を共有した場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回を限度として、所定単位数を加算する。
※ 算定は(Ⅰ)(Ⅱ)合わせて1月につき1回かつ1年につき4回を限度とする。
2.就労継続支援A型
経営状況の改善や一般就労への移行等を促すため、スコア方式による評価項目について、以下のように見直すとともに、通知を改正し、情報公表制度におけるスコアの公表の仕組みを設ける。
- 事業者の経営改善への取組が一層評価されるよう、「生産活動」のスコア項目の点数配分を高くするなど、各評価項目の得点配分の見直しを行う。
- 労働時間の評価について、平均労働時間が長い事業所の点数を高く設定する。
- 生産活動の評価について、生産活動収支が賃金総額を上回った場合には加点、下回った場合には減点する。
- 利用者の知識及び能力の向上のための支援の取組を行った場合について新たな評価項目を設ける。
- 経営改善計画書未提出の事業所及び数年連続で経営改善計画書を提出しており、運営基準を満たすことができていない事業所への対応として、自治体による指導を行うとともに、経営改善計画に基づく取組を行っていない場合について新たにスコア方式に減点項目を設ける。
3.就労継続支援B型
① 平均工賃の水準に応じた報酬体系の見直し
- 工賃の更なる向上のため、平均工賃月額に応じた報酬体系について、平均工賃月額が高い区分の基本報酬の単価を引上げ、低い区分の基本報酬の単価を引下げる。
- 「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系について、収支差率を踏まえて基本報酬を見直し、短時間の利用者が多い場合の減算を設ける。
- 多様な利用者への対応を行う事業所について、さらなる手厚い人員配置ができるよう、新たに人員配置6:1の報酬体系を創設する。
- 6:1の基本報酬の創設に伴い、目標工賃達成指導員配置加算の要件を見直すとともに、目標工賃達成指導員配置加算を算定している事業所が、工賃向上計画に基づき、工賃を実際に向上させた場合に加算で評価する。
算定利用時間が4時間未満の利用者が全体の5割以上である場合には、基本報酬を減算する。ただし、個別支援計画で一般就労等に向けた利用時間延長のための支援が位置付けられ、実際に支援を実施した場合、又は短時間利用となるやむを得ない理由がある場合は利用者数の割合の算定から除外する。
[現 行]
○目標工賃達成指導員配置加算
目標工賃達成指導員を常勤換算方法で1人以上配置し、手厚い人員体制(職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で7.5:1以上、かつ当該目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上)をもって、目標工賃の達成に向けた取り組みを行う場合に加算する。
利用定員 | 報酬単価 |
20人以下 | 89単位 |
21人以上40人以下 | 80単位 |
41人以上60人以下 | 75単位 |
61人以上80人以下 | 74単位 |
81人以上 | 72単位 |
[見直し後]
○目標工賃達成指導員配置加算
目標工賃達成指導員を常勤換算方法で1人以上配置し、手厚い人員体制(職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上、かつ当該目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で5:1以上)をもって、目標工賃の達成に向けた取り組みを行う場合に加算する。
利用定員 | 報酬単価 |
20人以下 | 45単位 |
21人以上40人以下 | 40単位 |
41人以上60人以下 | 38単位 |
61人以上80人以下 | 37単位 |
81人以上 | 36単位 |
10単位/日
目標工賃達成指導員配置加算の対象となる指定就労継続支援B型事業所等が各都道府県において作成される工賃向上計画に基づき、自らも工賃向上計画を作成するとともに、当該計画に掲げた工賃目標を達成した場合に加算する。
② 平均工賃月額の算定方法の見直し
事業所の中には、障害特性等により利用日数が少ない方を多く受け入れる場合があることを踏まえ、通知を改正し、基本報酬を算定する際の平均工賃月額の算定方法について、平均利用者数を用いた新しい算定式を導入する。
① 前年度の平均工賃月額の算定方法は以下のとおり。
ア 前年度における各月の工賃支払対象者の総数を算出
イ 前年度に支払った工賃総額を算出
ウ 工賃総額(イ)÷工賃支払対象者の総数(ウ)により1人当たり平均工賃月額を算出
※ ただし、障害基礎年金1級受給者が半数以上いる場合は、算出した平均工賃月額に2千円を加えた額を報酬算定時の平均工賃月額とする。
② 平均工賃月額の算出は、原則、①の方法によるが、平均工賃月額の算出から以下の場合は、当該月の工賃支払対象者から除外するとともに、当該月に当該利用者に支払った工賃は工賃総額から除外して算出する。
・月の途中において、利用開始又は終了した利用者
・月の途中において、入院又は退院した利用者
・月の途中において、全治1か月以上の怪我やインフルエンザなどの 流行性疾患により連続1週間以上の長期に渡って利用できなくなった利用者(利用できなくなった月から利用可能となった月まで除外)
③ また、以下の場合は、事業所の努力によっても利用者の利用日数を増やすことが困難であるため、工賃支払対象者
・工賃総額から除外して算出する。
・複数の日中活動に係る障害福祉サービスの利用者
・人工透析など、通年かつ毎週1回以上引き続き通院する必要がある利用者
[見直し後]
前年度の平均工賃月額の算定方法は以下のとおり。
ア 前年度における工賃支払総額を算出
イ 前年度における開所日1日当たりの平均利用者数を算出
前年度の延べ利用者数÷前年度の年間開所日数
ウ 前年度における工賃支払総額(ア)÷前年度における開所日1日当たりの平均利用者数(イ)÷12月により、1人当たり平均工賃月額を算出
※ 現行の②・③の算定方法は廃止する。
4.就労定着支援
① 就労定着率のみを用いた報酬設定
基本報酬について、利用者数に応じた報酬体系ではなく、就労定着率のみに応じた報酬体系とする。
② 定着支援連携促進加算の見直し
地域の就労支援機関等と連携して行うケース会議の実施を促進する観点から、会議前後にサービス管理責任者と情報を共有することを条件に、サービス管理責任者以外の者が出席する場合でも加算の対象とする。また、地域の就労支援機関等と連携することにより、地域のノウハウを活用し支援効果を高めていく取組である加算であることから、加算の名称を地域連携会議実施加算に変更する。
○定着支援連携促進加算
579単位/回 関係機関において障害者の就労支援に従事する者により構成される、利用者に係る就労定着支援計画に関する会議を開催し、関係機関との連絡調整を行った場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回を限度として、所定単位数を加算する。
[見直し後]
○地域連携会議実施加算(Ⅰ)579単位/回
関係機関において障害者の就労支援に従事する者により構成される、利用者に係る就労定着支援計画に関する会議を開催し、当該指定就労定着支援事業所のサービス管理責任者が関係機関との連絡調整を行った場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回を限度として、所定単位数を加算する。
○地域連携会議実施加算(Ⅱ)405単位/回
関係者により構成される会議を開催し、当該会議において、当該指定就労定着支援事業所のサービス管理責任者以外の就労定着支援員が当該就労定着支援計画の原案の内容及び実施状況(利用者についての継続的な評価を含む。)について説明を行うとともに、関係者に対して、専門的な見地からの意見を求め、就労定着支援計画の作成、変更その他必要な便宜の供与について検討を行った上で、当該指定就労定着支援事業所のサービス管理責任者に対しその結果を共有した場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回を限度として、所定単位数を加算する。
※ 算定は(Ⅰ)(Ⅱ)合わせて1月につき1回かつ1年につき4回を限度とする。
③ 支援終了の際の事業所の対応
就労定着支援終了にあたり、職場でのサポート体制や生活面の安定のための支援が実施されるよう、適切な引き継ぎのための体制を構築していない場合について減算を設ける。
就労定着支援の終了後も引き続き一定期間の支援が必要と見込まれる利用者の状況等(以下「要支援者情報」という)について、適切な引き継ぎのための以下の措置を講じていない場合に、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
- 要支援者の雇用先企業及び就労支援等の関係機関への要支援者情報の共有に係る指針の策定・責任者の選任
- 要支援者の雇用先企業及び就労支援等の関係機関への要支援者情報の共有の状況に係る記録の作成及び保存
④ 実施主体の追加
障害者就業・生活支援センター事業を行う者を就労定着支援事業の実施主体に追加する。
⑤ 就労移行支援事業所等との一体的な実施
就労移行支援事業所等との一体的な運営を促進する観点から、通知を改正し、本体施設のサービス提供に支障がない場合、就労移行支援事業所の職業指導員等の直接処遇職員が就労定着支援に従事した勤務時間を、就労定着支援員の常勤換算上の勤務時間に含める。
一体的に運営する就労移行支援事業所等の就労支援員等が就労定着支援員を兼務する場合について、就労定着支援員に係る常勤換算上の勤務時間に算入することはできない。
[見直し後]
一体的に運営する就労移行支援事業所等の就労支援員等が就労定着支援員を兼務する場合について、就労定着支援員が業務に従事した時間を、就労定着支援員に係る常勤換算上の勤務時間に算入することができる。
5.就労系障害福祉サービスにおける横断的な改定事項
① 就労系障害福祉サービスを一時的に利用する際の評価(就労継続支援A型・就労継続支援B型)
一般就労中の障害者が就労継続支援を一時的に利用する際の評価について、就労継続支援A型の基本報酬を算定する際のスコア評価項目における平均労働時間の計算や、就労継続支援B型の基本報酬を算定する際の平均工賃月額の計算から、当該障害者の労働時間と工賃を除くこととする。
② 休職期間中に就労系障害福祉サービス等を利用する際の対応(就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型・生活介護・自立訓練)
一般就労中の障害者が休職期間中に就労系障害福祉サービスを利用する際、当該休職者を雇用する企業や医療機関等による復職支援の実施が見込めない場合等の現行の利用条件や、一般就労中の障害者が休職期間中に復職支援として生活介護や自立訓練を利用する際の条件について、改めて事務連絡で周知するとともに、支給申請の際に、当該障害者の雇用先企業や主治医の意見書等の提出を求めることとする。
③ 就労系障害福祉サービスにおける施設外就労に関する実績報告書の提出義務の廃止等の見直し(就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型)
地方公共団体の事務負担軽減のため、通知を改正し、報酬請求に当たっては、施設外就労に関する実績について、事業所から毎月の提出は不要とする。ただし、事業所には、施設外就労の実績記録書類を作成・保存することを義務付けるとともに、地方公共団体は、利用者の訓練状況等の実態把握が必要な場合には当該書類を確認することとする。
④ 基礎的研修開始に伴う対応(就労移行支援及び就労定着支援)
令和7年度より独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構等が実施する基礎的研修(以下「基礎的研修」という。)が開始されることに伴い、就労移行支援事業所の就労支援員及び就労定着支援事業所の就労定着支援員は基礎的研修の受講を必須とすることを通知で明記する。ただし、令和9年度までは経過措置として、基礎的研修を受講していない場合でも指定基準を満たすものとして取り扱う。
[現 行]
就労支援員について、職場実習のあっせん、求職活動の支援及び就職後の職場定着のための支援等、障害者に関する就労支援の経験を有した者が行うことが望ましいこと。
[見直し後]
就労支援員については、基礎的研修を受講したものでなければならない。また、職場実習のあっせん、求職活動の支援及び就職後の職場定着のための支援等、障害者に関する就労支援の経験を有した者が行うことが望ましいこと。
※ 令和9年度までは経過措置として、基礎的研修を受講していない場合でも、指定基準を満たすものとして取り扱うとともに、基礎研修を受講した場合に就労支援関係研修修了加算を算定できることとする。
[現 行]
就労定着支援員について、資格要件はないが、職場実習のあっせん、求職活動の支援及び就職後の職場定着のための支援等、障害者に関する就労支援の経験を有した者が行うことが望ましいこと。
[見直し後]
就労定着支援員については、基礎的研修を受講したものでなければならない。また、資格要件はないが、職場実習のあっせん、求職活動の支援及び就職後の職場定着のための支援等、障害者に関する就労支援の経験を有した者が行うことが望ましいこと。
※ 令和9年度までは経過措置として、基礎的研修を受講していない場合でも指定基準を満たすものとして取り扱う。
⑤ 施設外支援に関する事務処理の簡素化(就労移行支援及び就労継続支援A型・就労継続支援B型)
施設外支援について、通知を改正し、1ヶ月ごとに個別支援計画について見直しが行われている場合に、報酬を算定することとする。
施設外支援については、施設外支援の内容が、事前に個別支援計画に位置付けられ、1週間ごとに当該個別支援計画の内容について必要な見直しが行われているとともに、当該支援により、就労能力や工賃(賃金)の向上及び一般就労への移行が認められる場合に、報酬を算定する。
[見直し後]
施設外支援については、施設外支援の内容が、事前に個別支援計画に位置付けられ、1ヶ月ごとに当該個別支援計画の内容について必要な見直しが行われているとともに、当該支援により、就労能力や工賃(賃金)の向上及び一般就労への移行が認められる場合に、報酬を算定する。
6.就労選択支援
① サービスの対象者
令和7年10月以降、就労継続支援B型の利用前に、原則として就労選択支援を利用することとする。また、新たに就労継続支援A型を利用する意向がある者及び就労移行支援における標準利用期間を超えて利用する意向のある者は、支援体制の整備状況を踏まえつつ、令和9年4月以降、原則として就労選択支援を利用することとする。
② 実施主体の要件
- 就労移行支援又は就労継続支援に係る指定障害福祉サービス事業者であって、過去3年以内に3人以上の利用者が新たに通常の事業所に雇用されたものや、これらと同等の障害者に対する就労支援の経験及び実績を有すると都道府県知事が認める以下のような事業者を実施主体とする。就労移行支援事業所、就労継続支援事業所、障害者就業・生活支援センター事業の受託法人、自治体設置の就労支援センター、人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)による障害者職業能力開発訓練事業を行う機関等
- 就労選択支援事業者は、協議会への定期的な参加、公共職業安定所への訪問等により、地域における就労支援に係る社会資源、雇用に関する事例等に関する情報の収集に努めるとともに、利用者に対して進路選択に資する情報を提供するよう努めることとする。
③ 従事者の人員配置・要件
- 就労選択支援事業所には、事業所ごとに、管理者及び常勤換算方法で利用者の数を15で除した数以上の専従の就労選択支援員を置くものとする。ただし、就労移行支援又は就労継続支援と一体的に就労選択支援を実施する場合(利用者数の合計が就労移行支援等の利用定員を超えない場合に限る。)は就労移行支援等の職員及び管理者を兼務できることとする。
- 就労選択支援員は、就労選択支援員養成研修の修了を要件とする。経過措置として、就労選択支援員養成研修開始から2年間は基礎的研修又は基礎的研修と同等以上の研修の修了者を就労選択支援員とみなす。
- また、就労選択支援員養成研修の受講要件としては、基礎的研修を修了していることや就労支援に関して一定の経験を有していることを要件とする。
- なお、基礎的研修の実施状況を踏まえ、当面の間(令和9年度末までを想定)は、現行の就労アセスメントの実施等について一定の経験を有し、基礎的研修と同等以上の研修の修了者でも受講可能とする。
- 個別支援計画の作成は不要とし、サービス管理責任者の配置は求めないこととする。
④ 就労選択支援の基本プロセス
- 事業者は、短期間の生産活動その他の活動の機会を通じて、就労に関する適性、知識及び能力の評価並びに就労に関する意向等整理(以下「アセスメント」という。)を行うものとする。
- 事業者は、アセスメントの結果の作成に当たり、利用者及び市町村、指定特定相談支援事業者等、公共職業安定所等の関係機関の担当者等を招集して多機関連携会議を開催し、利用者の就労に関する意向を改めて確認するとともに、担当者等に意見を求めるものとする。
- 事業者は、アセスメントの結果を踏まえ、必要に応じて関係機関との連絡調整を行わなければならないこととする。
- 事業者は、協議会への定期的な参加、公共職業安定所への訪問等により、地域における就労支援に係る社会資源、雇用に関する事例等に関する情報の収集に努めるとともに、利用者に対して進路選択に資する情報を提供するよう努めなければならないこととする。
⑤ 支給決定期間
- 支給決定期間は1か月を原則とし、自己理解等の改善に向け、1か月以上の時間をかけた継続的な作業体験を行う必要がある場合は、2か月の支給決定を行う。
- また、就労選択支援の内容のうち、アセスメントの期間は、2週間以内を基本とする。
⑥ 特別支援学校における取扱い
より効果的な就労選択に資するアセスメントを実施するため、特別支援学校高等部の3年生以外の各学年で実施できること、また、在学中に複数回実施することを可能とする。加えて、職場実習のタイミングでの就労選択支援も実施可能とする。
⑦ 他機関が実施した同様のアセスメントの取扱い
障害者就業・生活支援センター、障害者職業センター、就労系障害福祉サービス事業所等がアセスメントと同様の評価及び整理を実施した場合には、当該同様の評価及び整理をもって、アセスメントの実施に代えることができることとする。この場合、多機関連携会議の開催、アセスメントの結果の作成又は関係機関との連絡調整に当たり、当該障害者就業・生活支援センター等の機関に対し、多機関連携会議への参加等の協力を求めることができることとする。
⑧ 中立性の確保
- 正当な理由なく、就労選択支援事業所において前6月間に実施したアセスメントの結果を踏まえて利用者が利用した指定就労移行支援、指定就労継続支援A型又は就労継続支援B型のそれぞれの提供総数のうち、同一の事業者によって提供されたものの占める割合が100分の80を超えている場合には減算を設けることとする。ただし、地域において、利用者が利用可能な就労移行支援、就労継続支援A型又は就労継続支援B型事業所が1カ所しか存在していない等、特定の事業所を利用することについて、正当な理由がある場合は減算しない。
- 市町村が、必要以上に就労選択支援を支給決定しないよう、支給決定事務処理要領において示す。
- 事業者は、他の障害福祉サービスの事業を行う者等又はその従業者から、利用者又はその家族を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならないこととする。
- 本人へ提供する情報に誤りや偏りがないよう多機関連携会議を開催することとする。
⑨ 計画相談支援事業との連携・役割分担
指定就労選択支援事業者は、アセスメントの結果を作成した際には、当該結果に係る情報を、利用者及び指定特定相談支援事業者等に提供しなければならないこととする。指定就労移行支援事業者等は、利用者に対し、指定計画相談支援を行う者と連携し、定期的に就労選択支援に関する情報提供を行うものとする。相談支援専門員は、利用者が就労移行支援又は就労継続支援を利用している場合であって、モニタリングの結果等を踏まえて就労選択支援の利用が必要と認められるときは、就労移行支援事業者又は就労継続支援事業者と連携し、就労選択支援に関する情報の提供等を行うものとする。また、利用者が就労選択支援を利用している場合には、アセスメントの結果等を踏まえてサービス等利用計画の見直しを行うとともに、就労選択支援事業者と連携し、必要な情報の提供及び助言、関係機関との連絡調整等を行わなければならないこととする。
⑩ 基本報酬・加算の設定
ア 基本報酬の設定
就労選択支援の基本報酬は、サービス提供日に応じた日額報酬とする。
就労選択支援サービス費(1日につき) 1,210単位
イ その他の加算と減算の設定
① 加算
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算、高次脳機能障害者支援体制加算、利用者負担上限額管理加算、食事提供体制加算、福祉専門職員配置等加算、欠席時対応加算、医療連携体制加算、送迎加算、在宅時生活支援サービス加算、福祉・介護職員等処遇改善加算
② 減算
虐待防止措置未実施減算、身体拘束廃止未実施減算、業務継続計画未策定減算、情報公表未報告減算
・就労継続支援A型の基本報酬におけるスコア方式について
Ⅰ 労働時間 |
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1日の平均労働時間の状況 | |||
(評価の視点) 「1日の平均労働時間」が長いほど、利用者の賃金増加につながることや、 支援コストがかかると考えられるため、「1日の平均労働時間」により評価。 |
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(評価方法) |
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【現行】 7時間以上 6時間以上7時間未満 5時間以上6時間未満 4時間30分以上5時間未満 |
80点 70点 55点 45点 |
4時間以上4時間30分未満 3時間以上4時間未満 2時間以上3時間未満 2時間未満 |
40点 30点 20点 5点 |
【見直し後】 7時間以上 6時間以上7時間未満 5時間以上6時間未満 4時間30分以上5時間未満 |
90点 80点 65点 55点 |
4時間以上4時間30分未満 3時間以上4時間未満 2時間以上3時間未満 2時間未満 |
40点 30点 20点 5点 |
Ⅱ 生産活動 | (評価要素) ・前年度、前々年度および全々々年度における生産活動収支の状況 |
生産活動収支の状況 | |
(評価の視点) 生産活動収支の状況が健全であることは、利用者の賃金確保、水準にも大きく影響することから、事業所の生産活動収支の状況に基づき評価を行う。 |
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(評価方法) 【現行】 前年度及び前々年度の各年度において生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を 控除した額に相当する金額(以下、生産活動収支という。)が、 利用者に支払う賃金の総額以上であるかによって4段階評価の評価。 ①前年度及び前々年度、生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額以上である。:40 点 ②前年度の生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額以上である。 :25 点 ③前年度の生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額未満である。 :20 点 ④前年度及び前々年度、生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額未満である。:5点 |
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【見直し後】 前年度、前々年度及び前々々年度において生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な 経費を控除した額に相当する金額(以下、生産活動収支という。)が、 利用者に支払う賃金の総額以上であるかによって6段階評価の評価。 ①前年度、前々年度及び前々々年度における生産活動収支がそれぞれ当該年度に利用者に支払う 賃金の総額以上である : 60 点 ②前年度及び前々年度の生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額以上である。 : 50 点 ③前年度の生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額以上である。 : 40 点 ④前年度の生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額未満である。 : 20 点 ⑤前年度及び前々年度、生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額未満である。 :-10 点 ⑥前年度、前々年度及び前々々年度における生産活動収支が利用者に支払う賃金の総額未満である:-20 点 |
Ⅲ 多様な働き方 | (評価要素) ① 免許及び資格の取得の促進並びに検定の受験の勧奨に関する事項 ② 当該就労継続支援A型事業所の利用者を、職員(利用者を除く)として登用する制度に係る試験 等の手続、対象者の要件及び採用時期に関する事項 ③ 在宅勤務に係る労働条件及び服務規律に関する事項 ④ フレックスタイム制に係る労働条件に関する事項 ⑤ 1 日の所定労働時間を短縮するに当たり必要な労働条件に関する事項 ⑥ 早出遅出勤務に係る労働条件に関する事項 ⑦ 時間を単位として有給休暇を付与又は計画付与制度の取得に関する事項 ⑧ 従業者が私的に負傷し、又は疾病にかかった場合の療養のための休暇の取得に関する事項 |
多様な働き方に係る 制度整備状況 |
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(評価の視点) 利用者の多様な働き方のニーズに対応できるかどうかは就労の機会の提供の観点で重要で あることから、多様な働き方を実現できる制度の整備状況により評価を行う。 |
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(評価方法) | |
【現行】 |
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【見直し後】 評価項目について規程等(就業規則その他これに準ずるものに限る)で定めている場合、 1項目につき1点の評価とした上で、その合計に応じて以下3段階の評価。 5点以上の場合:15 点 3点又は4点の場合:5点 2点以下の場合:0点 |
Ⅳ 支援力向上 |
(評価要素) |
安心な職場環境の基 礎となる支援力向上 の取組 |
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(評価の視点) 職員が常に仕事に対して意欲的に臨めるようなキャリアアップの機会を組織として提供し、 第三者の評価を踏まえて、支援環境の整備につとめることは、基礎となる職員の支援力を高め、 利用者に対する支援の質の向上に繋がることから、支援力向上に係る取組の実施状況により評価を行う。 |
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(評価方法) | |
【現行】 任意の5項目について、各項目の取組実績に応じて別に定める算定方法に従い評価値として 各1~2として評価(最大10)した上で、その合計に応じて以下3段階の評価。 8以上の場合:35点 6又は7の場合:25点 1以上5以下の場合:15点 |
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【見直し後】 |
V 地域連携活動については変更なし
Ⅴ 地域連携活動 | (評価要素) ・地元企業と連携した高付加価値の商品開発や販売の取組の有無 ・施設外就労による地域での働く場の確保等地域と連携した事業や取組 |
地域連携活動の実施状況 | |
(評価の視点) 事業所がその事業を展開する中で、利用者と地域との接点や関係を作り、地域での利用者の活躍の 場を広げていくことは、利用者がそこで暮らし、自立した生活を実現していく上でも大切なことから、 事業所における地域と連携した事業や取組(地域連携活動)の実施状況により評価を行う。 |
|
(評価方法) |
Ⅵ 経営改善計画【新規】 | (評価要素) ・経営改善計画の作成及び提出の有無 |
経営改善計画の作成状況 | |
(評価の視点) | |
(評価方法) 【新規】 経営改善計画の作成状況に基づき評価。 経営改善計画を提出期限までに未提出の場合 -50点 |
Ⅶ 利用者の知識・能力の向上【新規】 | (評価要素) ・利用者の知識及び能力の向上のための支援の取組状況により評価 |
利用者の知識及び能力の向上に向けた取組の状況 | |
(評価の視点) |
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(評価方法) 【新規】 前年度において、就労継続支援A型事業所等が利用者の知識及び能力の向上に向けた支援を行い、 当該支援の具体的な内容を記載した報告書を作成し、インターネットの利用その他の方法により 公表していることをもって評価する。 取組が1以上ある場合 : 10 点 |
【現行】
項 目 | 点 数 |
点 |
Ⅰ 労働時間 | 5点 ~ 80 点 | |
Ⅱ 生産活動 | 5点 ~ 40 点 | |
Ⅲ 多様な働き方 | 0点 ~ 35 点 | |
Ⅳ 支援力向上のための取組 | 0点 ~ 35 点 | |
Ⅴ 地域連携活動 | 0点 ~ 10 点 |
【見直し後】
項 目 | 点 数 |
200点 |
Ⅰ 労働時間 | 5点 ~ 90 点 | |
Ⅱ 生産活動 | -20 点 ~ 60 点 | |
Ⅲ 多様な働き方 | 0点 ~ 15 点 | |
Ⅳ 支援力向上 | 0点 ~ 15 点 | |
Ⅴ 地域連携活動 | 0点 ~ 10 点 | |
Ⅵ 経営改善計画【新規】 | -50 点 ~ 0点 | |
Ⅶ 利用者の知識・能力の向上【新規】 | 0点 ~ 10 点 |
参考:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容[4.1MB]/令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要[3.3MB]/障害福祉サービス費等の報酬算定構造[1.6MB]