目次
・就労継続支援A型事業所とは
就労継続支援A型とは、障害者総合支援法(旧 障害者自立支援法)に定められた就労支援事業の一つです。一般企業への就職が困難な障害者に就労機会を提供するとともに、生産活動を通じて、持っている知識と能力の向上に必要な訓練などの障害福祉サービスを供給することを目的としています。障害者と雇用契約を結び、原則として最低賃金を保障するしくみの”雇用型”の障害福祉サービスです。つまり就労継続支援A型サービスを利用すると、お給料をもらいながら能力を活かして働くことができます。
障害により企業で働くことが困難な方であっても、雇用契約に基づき、継続的に就業が可能な65歳未満(利用開始時)の下記の対象者に対し、生産活動、その他の活動の機会の提供、その他の就職に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練・支援を行うものです。
・就労継続支援A型の対象者は?
就労継続支援A型の利用対象は、雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能でありながら、企業などへの就労が障害などの理由で困難な、65歳未満の者(利用開始時65歳未満の者)。
具体的理由には、次のような例が挙げられます。
2.特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業などの雇用に結びつかなかった。
3.就職の経験はあるが、現在は理由があって難しい。
・就労継続支援A型の仕事内容は?
就労継続支援A型の仕事内容はさまざまで、事業所によって違います。ただし、一般企業の仕事内容と大きく変わるわけではありません。違う点は、一般就労に比べて比較的就労時間が短いことと、給料が低いケースが少なくないということです。
勤務形態は事業所ごとにさまざまですが、1日の実働時間は4~8時間程度であることが多く、仕事内容の一例としては、以下のような仕事が挙げられます。
パソコンによる入力作業、カフェやレストランの接客・調理、ストラップなどのパッキング、ホテルの清掃やインターネットオークションの出品代行、車部品などの加工、webデザインなど、幅広い業務を行っています。このように多様な職種があるのは、多くの就労機会を確保するためです。
・就労継続支援A型の給料はどれくらい?
厚生労働省では、定期的に就労継続支援A型の賃金を調査しています。令和2年に公表された資料によると、就労継続支援A型の毎月の平均給料は下記のように推移しています。
平成28年度 70,720円 平成29年度 74,085円 平成30年度 76,887円 令和元年度 78,975円 令和2年度 79,625円 令和3年度 81,645円 |
厚労省資料より
ここ6年間の月の平均賃金は上昇しており、令和3年度の平均時給は926円にまで上っています。これらは平均の金額であるため、事業所や勤務内容によっては月10万円以上の賃金が支払われることもあります。
利用者は就労継続支援A型事業所と雇用契約を結ぶので、法律で定められた最低賃金以上の給料が保障されています。また就労継続支援A型は、雇用契約を結ぶので、社会保険が適用され、雇用保険に加入となります。ですから手取りは雇用保険料(0.003)を差し引いた金額となります。
就労継続支援A型の利用者は、ご家族の援助や国の制度を活用して生活している方が多いようです。地域で自立して生活するために、国はさまざまな制度を設けています。例えば、生活保護や障害年金の制度があります。上記の制度で支給される給付金と就労継続支援A型の給料を組み合わせて、1人で生活している方もおられます。
・就労継続支援A型の利用料は?
就労継続支援A型事業所の利用料が、発生する人は以下の通りです。
・配偶者が前年度に仕事をしていて一定金額以上の年収があった人
本人または配偶者が、就労継続支援A型事業所で働く前の年度に仕事をしており、一定の金額以上の年収があった場合、就労継続支援A型事業所を利用するための利用料が発生します。ただし利用料は世帯年収(本人+配偶者)に応じて加算されるため、親や兄弟の収入は対象となりません。
就労継続支援A型事業所の利用料は、世帯の収入状況や事業所に通所する日数で変わってきます。前年度の収入により利用料の1割負担することになりますが、上限は9,300円と37,200円のどちらかになります。世帯の収入の状況別に、負担する月額の利用料の上限は以下の通りです。
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利用料は振込などで支払うのではなく、受けとる給料の金額から自動的に引かれます。
・就労継続支援A型の利用期間、期限はあるか?
就労継続支援A型に関しては、利用期間の上限はありません。
但し、有期契約の場合、契約満了時に更新されないこともある、という点は理解しておきましょう。
・就労継続支援A型の利用までの流れ
就労継続支援A型事業所サービス利用の手続きの流れ 企業等に就労することが困難な方であって雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な、原則18 歳以 上65歳未満で、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害や難病のある方(利用開始時65歳未満の方)。 具体的には…… ○就労移行支援事業を利用したが企業等の雇用に結びつかなかった方 ○特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが企業等の雇用に結びつかなかった方 ○企業等を離職した方など就労経験のある方で現に雇用関係がない方 さらに詳しくはこちらへ(PDFが開きます) |
- 就労継続支援A型を利用するにはまず、働きたいと思う就労継続支援A型事業所をインターネットの障害福祉サービス検索サイトなどで見つけます。
- インターネットで就労継続支援A型事業所を見つけるのが難しいという方は、お近くのハローワークや市町村の福祉窓口、その他支援事業所で直接問い合わせをしてください。自分の能力や希望を伝えておけば、担当者が自分に合った求人を提案してくれます。
- 希望の求人が見つかったら次は選考です。就労継続支援A型事業所の見学、体験に履歴書を持参または送付し、面接等の選考を受けることになります。選考に合格した後は、市区町村の担当窓口へ利用(受給者証)申請を行います。
- 次に、就労継続支援A型などのサービスをより計画的に利用し、生活の質をさらに向上させるために、サービス等利用計画案を、その就労継続支援A型事業所または相談支援事業所で作成してもらいます。
- 計画案が承認され、受給者証が発行されれば、手続きはすべて完了となり、利用を開始できます。
・就労継続支援A型・B型、就労移行支援との違い
就労継続支援A型は、あくまでも就労をメインとした職業訓練や生産活動を支援するサービスです。対象は、18歳以上65歳未満で雇用契約に基づいた勤務が可能なものの、障害・難病などにより一般企業への就職が難しい人です。事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が支払われます |
就労継続支援B型は、訓練・リハビリをメインとしたサービス支援であり、現時点でA型の仕事の内容が難しい障害者、年齢・体力などから一般の企業で働くことができなくなった人などが対象です。以下にあげる条件のいずれかにあてはまることが必要となります。 1.就労経験がある者で、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
2.50歳に達している者、または障害基礎年金一級受給者 3.1および2に該当しない者で、就労移行支援事業者などによるアセスメントにより、 就労面に関わる課題などの把握が行われている者 事業所とは雇用契約を結びませんが、作業分に応じての報酬の支払い(工賃)が支払われます。
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就労移行支援は、事業所で訓練を受けながら一般企業への就職を目指すもので、「一般企業に就労したい」という障害者が対象です。支援を受けられる年齢は18歳〜65歳未満までで、利用できるのは原則として2年まで。必要性があれば、最大12ヶ月の更新が可能です。 |
・就労継続支援A型事業所の選び方
①自分に合った仕事内容かどうか
仕事の内容が、自分に合っている事業所を選んでください。その事業所で行っている仕事は、自分の障害や性格にふさわしいものかどうか、判断することが大切です。「ふさわしい」という意味には、「能力に合っている」という側面と、「興味関心が持てる」という二つの側面があります。自分の能力では難しいと思われる仕事ばかりの事業所は、選ばないようにしてください。 |
②給料は適正かどうか
その事業所で働いている人は、どのくらいの給料をもらっているのか、確認しておくことは重要です。同じ事業所でも仕事内容によって時給が異なることもあります。十分に説明を受けてから働くことを決めてください。 |
③職場の雰囲気はどうか
働いている人たちは楽しそうにしているかどうか。スタッフは利用者にどのように接しているでしょうか。雰囲気が暗く、いやいや働いている人が多いように見える事業所や、施設内が雑然として不潔な感じのする事業所は避けるほうが賢明かもしれません。見学に行ったときはスタッフや利用者の様子を観察し、トイレや洗面所なども忘れず見ておきましょう。 |
④通い続けることができるかどうか
就労継続支援A型事業所は、通所型の福祉サービスで自宅から通うことが必要となります。交通手段や距離、所要時間など、無理をせずに通うことができる就労継続支援A型事業所を選ぶことが大切です。 |
・就労継続支援A型まとめ
ここまで、就労継続支援A型について解説してきました。就労継続支援A型とは何か、この福祉サービスを受けることができるのはどのような人か、各事業所によって異なる仕事内容から発生する給与や利用料、サービス期間、利用までの手続きの流れ、他の就労支援事業との違いからA型事業所の選び方といったことについて説明してきました。就労継続支援A型をよく理解し、就労に役立ててください。 |