A4 セクシュアルマイノリティは意外と身近に沢山います。決してめったに遭遇することのない珍しく特別な存在ではありません。「いや、でも今までそんな人は周りにはいなかった」、という人も多いかもしれません。それはそんなふうに存在を想定されてないがゆえにカミングアウトできなかった所為ではないでしょうか。
性同一性障害のほか同性愛なども含めれば、学校ならクラスに1人は何らかのセクシュアルマイノリティがいても不思議ではありません。マジョリティが常識と考える①性別とは、「男」と「女」である、②「男」は男らしく、「女」は女らしくするものである、③恋愛は男女間でするものである(男女は恋愛するものである)……などを、そうでない場合もあり得るということを前提にして各自言動に注意したいところです。
通常、会話の流れでしばしば出てきがちな、「好きな異性のタイプは?」などの言葉に、セクシュアルマイノリティは密かに負担に感じてきたことは事実です。
しかし、難しく考える必要はありません。あまり意識しすぎず、ありのままその人を見て、自然に接することが何よりです。事実、あまり気を遣われすぎると却ってストレスに感じ、「さらっと何事もないように応対される方が楽だ」と言う人もいます。
とりあえず顔を合わせるような間柄であれば、目が合ったら微笑や会釈といったあたりから始めることを奨めます。あるいは、もう少し近しい親密な相手からのカミングアウトを受けたときであっても、基本的な考え方は同様でよいと思われます。
もちろん、マジョリティ側からは見えない物事もあるので、こういうときにはどうして欲しいかとか、あるいは相手の半生にまつわる各種の素朴な疑問なども、ある程度の関係性ができた後なら、多少は思い切った質問を気軽に尋ねてみることも、あってよいかもしれません。ただし、興味本位で根掘り葉掘りに聞きただすような態度なら失礼にあたる可能性もあるので、あくまでも相手との関係をよく見定めたうえで、謙虚な心づもりが必要となります。 いずれにせよ、どのような特殊性を持った人であっても、それを「変」とか「異常」などととらえてしまうのは、誤った思い込みに基づく社会的な解釈です。「あの人は特別」なのではなく、そういう人も普通、こういう人も普通、みんなが普通! という考え方で、より多くの人の人権を大切にしあえる社会をつくっていけたら何よりです。