A1 特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることです。
人が「依存」する対象は様々です。代表的なものにアルコール・薬物・ギャンブル等があります。このような特定の物質や行為・過程に対して、やめたくてもやめられない、ほどほどにできない状態をいわゆる依存症といいます。医学的定義では、「ある特定の物質の使用」に関して、ほどほどにできない状態に陥ってしまっていることを依存症と呼びますが、ここでは行為や過程に関してそのような状態に陥ることも含め依存症であると位置づけます。
依存症の診断には専門的な知識が必要ですが、特に大切なのは本人や家族が苦痛を感じていないか、生活に困りごとが生じていないか、という点です。本人や家族の健全な社会生活に支障が出ないように、どうすべきか考えなくてはなりません。
依存症には主に2種類あります。
依存症とはやめたくてもやめられない状態に陥ることですが、その依存の種類には大きく分けて2種類あります。「物質への依存」と「プロセスへの依存」です。
「物質への依存」について
アルコールや薬物といった精神に依存する物質を原因とする依存症状のことを指します。依存性のある物質の摂取を繰り返すことによって、以前と同じ量や回数では満足できなくなり、次第に使う量や回数が増えて行き、使い続けなければ気が済まなくなり、自分でもコントロールできなくなってしまいます(一部の物質依存では使う量が増えないこともあります)。
「プロセスへの依存」について
物質ではなく特定の行為や過程に必要以上に熱中し、のめりこんでしまう症状のことを指します。例えば、ギャンブルなどがそうです。
どちらにも共通して言えることは、繰り返す、より強い刺激を求める、やめようとしてもやめられない、いつも頭から離れない、などの特徴がだんだん出てくることです。
問題は誰かが困るということです。
アルコール、薬物、ギャンブル等、依存しているものは人それぞれですが、依存に共通することは、家族とのケンカが増えたり、生活リズムがくずれ、体調をくずしたり、お金を使いすぎるなど、何かしらの問題が起きているにも関わらず、ほどほどにできない、やめられない状態に陥っているということです。このような状態に陥っている場合、依存症と同じように対応を考える必要があると言えます。
依存症を考えるときに大事なのは、そのことによって本人や家族が苦痛を感じているかどうか、生活に困りごとが生じているかどうかということです。本人や家族が苦しんでいるのであれば、それは改善が必要な状態ですので、依存症に関する正しい知識を身につけ、適切な対応をとっていくことが求められます。