A1 過食症は摂食障害(ED)の一種で、「神経性大食症」とも呼ばれます。
自分でコントロールできずに食べてしまうので、周りにいる人の協力が不可欠です。短時間で大量の食べ物を摂取することにより、精神的、身体的にもかなりのダメージを負うことになります。
過食症には、食べた分だけ吐き出す「過食嘔吐」と、全く吐かずに食べ続けるケースがあります。米国精神医学会の診断基準では、週一回でも過食がみられれば治療が必要とされます。
周囲の人はなかなか気付かないこともあります。自分でも病気と思わず、援助を求めないことも少なくありません。症状が進むと、うつ病になったり、体調を崩しやすくなったりするため、周囲の人はなるべく早く気づいてあげて、専門医に相談することを奨めます。
過食嘔吐
過食症状が始まると、我を忘れて食べ物をつめこみ、気づくと家の中の食料を食べつくしていたとか、コンビニで大量に買い込んだ食料を全部食べてしまったなど食欲をコントロールできなくなります。過食してしまった後、「どうしてこんなに食べてしまったのか」と激しく自分を責めたり、気持ちが落ち込んで抑うつ状態に陥ったり、太りたくない一心から口に指を入れて嘔吐したりして、食べたぶんを「なかったこと」にしようとします。
このように食べては吐き、吐いては食べるを繰り返すのが「過食嘔吐」のタイプです。拒食症のように低体重のケースもありますが、見た目はチョイ痩せ程度のケースも多く、はた目からは気づかれにくいのが特徴です。最初は苦しい思いをして吐いていても、カラダが慣れると次第に楽に吐けるようになって習慣化し、食道に炎症が起こったり、胃酸で歯がボロボロになるなどの合併症を引き起こします。「後で吐けるから大丈夫」という安心感から過食がエスカレートする場合も少なくありません。また下剤を常用する人もいますが、カラダが慣れて量が次第に増えていき、規定を超える下剤の乱用から腸の機能停止を引き起こす場合もあります。
吐かない過食症
嘔吐や下剤などを伴わず、食欲をコントロールできない状態で過食を繰り返す過食障害を「むちゃ食い障害」と言います。短時間で大量の食品を食べ、あまり時間をおかずにまた過食するというサイクルを繰り返すため、精神的・肉体的にストレスがかかり、さらに過食がエスカレートする悪循環に陥るのが特徴です。嘔吐をしないためカロリー過多で肥満になるケースが多く、比較的周囲が気づきやすいといえます。むちゃ食い障害が続くと、脂肪肝など様々な健康被害を引き起こし、食べてはいけないと分かっているのに止められないと自分に強い自己嫌悪を感じ、引きこもり生活に陥るなど精神が不安定になる傾向があります。
過食症の行動は
①コントロールできない過食
②短い時間で過食
③体重の急な増減
④嘔吐・下痢
などが見てとれます。
過食症の症状は
①肥満
②脂肪肝・糖尿病・心筋梗塞
③浮腫み・肌あれ・口内炎・薄毛(脱毛)
④食道炎症・胃腸不良・歯が溶ける
⑤生理不順・無月経
⑥抑うつ状態・反社会的行為・自傷行為
などがあります。
摂食障害を経験したことのない人にとっては「太りたくないなら食べなければいい」、食べたいと思うのは「甘えだ」と思うかもしれませんが、周りの人が想像する以上に、過食衝動は激しいものです。頭の中が食べ物のことばかりになって、何かを口に入れるまでは他のことが考えられなくなってしまいます。まるで脳の信号が壊れているような、感覚になります。