Q4 日本における自殺者の多くが精神疾患をわずらっており、約半数はうつ病ともいわれているようですが?

A4 残念ながら、日本には年間約3万人の自殺者がいます。自らを死に至らしめるという行為は、通常の動物的本能には完全に背いた行いです。ですから理性だけで自殺するのは意外に難しく、多くは何らかの精神疾患をわずらっていると考えられます。

その中でも、もっとも多いといわれるのがうつ病です。たとえば近年、景気の悪化と雇用の不安定さに伴って中高年男性の自殺が急増していますが、彼らもうつ病にかかっていた可能性が高いと思われます。

もちろん実際に治療を受けていた人もいますが、特に男性の場合はなかなか受診せずに悪化させてしまうケースも多いと推測されます。また子どもに見られる、いじめによる自殺も、まずいじめられ続けてきたことでうつ病になっていた場合も少なくないはずです。食欲の低下や自傷行為、不眠や不登校などのさまざまなサインから、自殺に至る前に周りが気づくことも非常に大切だといえます。

 うつ病にかかりやすいのは、一般的に男性よりも女性だといわれています。しかし、うつ病による自殺者で見ると、女性よりも男性のほうが多いようです。

1つは、前述したとおり男性の受診率・治療率が低いということ、そして特に中高年であればあるほど、自分のつらさを人に打ち明けることができず、また「仕事がすべて」という価値観を持ちやすいことも一因と考えられます。

バブル景気などのいい時代を経験している人ほど、リストラなどによる自分の転落人生を嘆き、立て直しが難しくなるのでしょう。

またうつ病になる人には真面目な人が多いといわれるように、うまく力を抜けずオーバーワークになりがちであるのも大きな要因です。うまくいっている時はそれでもいいものの、いったん職を失ったり何かを達成した後には燃え尽きたようになってしまい、うつ病となって希死念慮にとらわれたりします。

こうした悲しい自殺を防ぐためには、うつ病の早期の段階から身近な人がその変化に気づくことも重要だといえます。これまで意欲的だった人が急にふさぎ込んだり、遅刻や欠勤が増えたりした場合は、心療内科や精神科を受診させましょう。

実際、うつ病による自殺は、治療が遅れれば遅れるほどリスクが高くなることが分かっています。







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