A1 症状についての知識を持つことは、早期発見のためにも重量なことです。ふだんの自分と違う心身の調子の変化に気づいたら、また周囲の方であれば、いつもと違う相手の様子に気づいたら、一度はうつ病を思い浮かべてください。
自分で感じる症状
憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安である、イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない、細かいことが気になる、悪いことをしたように感じて自分を責める、物事を悪い方へ考える、死にたくなる、眠れない
周囲から見て判る症状
表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着かない、飲酒量が増える
体に出る症状
食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、肩こり、動悸、胃の不快感、便秘がち、めまい、口が渇く
次に挙げる項目は、大うつ病エピソードの診断基準を示します。「ほとんど一日中、ほとんど毎日の」「すべて、またはほとんどすべての活動における」「同じ2週間の間に存在」のようにかなり厳しい(うつ状態がかなり重症でなければ満たさないような)基準であることに注意してください。
- その人自身の言明(例:悲しみまたは、空虚感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているように見える)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分である。注:小児や青年ではいらだたしい気分もありうる。
- ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興 味、喜びの著しい減退がある(その人の言明、または他者の観察によって示される)。
- 食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加(例:1カ月で体重の 5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加がある。注:小児の場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ。
- ほとんど毎日の不眠または睡眠過多である。
- ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止が診られる(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚でないもの)。
- ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退状態である。
- ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感がある(妄想的であることもある。単に自分をとがめたりする。病気になったことに対する罪の意識からではない)。
- 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日見うけられる(その人自身の言明による、または、他者によって観察される)。
- 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念 慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。
上記の症状が5つ以上2週間内で起こっている場合は、うつ状態がかなり進行していると考えられます。但し、この症状が薬物(投薬)による生理学的作用によるものではないか、一般身体疾患(甲状腺機能低下症)ではないかどうかを見極めなければなりません。
いずれにしても自分自身でも周りの人であっても該当するのではないかと思ったら、すぐにも医療機関で診断を受けて下さい。