睡眠障害は疾患によって治療法が異なります。「眠れない」イコール「睡眠薬治療」ではありません。症状やサイン、診察や検査から、その原因となる疾患が適切に診断され、原因に応じた治療を受けることが重要です。
不眠症以外の疾患に対する治療法
睡眠時無呼吸症候群
重症度によって治療法が異なります。経鼻的持続陽圧呼吸療法(鼻CPAP療法)や口腔内装置などが使われます。肥満がある場合は、ダイエットが必要です。飲酒や睡眠薬は、かえって悪化させます。
むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害
抗てんかん薬や抗パーキンソン病薬などが使われます。専門医の診察が必要です。
過眠症
夜間十分な睡眠をとり、規則的な生活を心がけるようにしましょう。昼休みなどに短時間の昼寝をうまく取り入れましょう。眠気に対して中枢神経刺激薬が使用されることがありますが、専門医による診察と検査が必要です。
睡眠時随伴症
ストレスなどが関与している場合があるので、ストレスの軽減につとめましょう。睡眠中の寝ぼけ行動に対しては、危険に配慮した寝室環境を整えましょう。薬物療法として、睡眠薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬などが使われます。
概日リズム睡眠障害
体内時計をリセットし、通常の一日のリズムに合わせるためには、朝たっぷり光を浴びるようにしましょう。休日でも同じ時刻に起床して、光を浴びるのがコツです。睡眠薬やサプリメントを使用する場合は専門医の指導を仰ぎましょう。
睡眠薬の治療
寝つきが悪い、途中で起きてしまう、早くに目が覚めてしまう、などの睡眠症状に応じて、睡眠薬が使用されます。また、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬なども使用されることがあります。医師に指示された用法や用量を守って、正しく使用しましょう。睡眠薬は絶対にお酒と一緒に飲んではいけません。睡眠薬を服用したら30分以内には寝床につきましょう。
服用していた睡眠薬をいっぺんに中止すると、リバウンドで不眠が悪化することがあります。医師の指示のもと、ゆっくりとやめるようにしましょう。
睡眠習慣の見直し
睡眠時間にこだわらない
年をとると必要な睡眠時間は短くなります。あまり長時間眠ることを目標とせず、年齢に合った睡眠時間を設定しましょう。
眠くなってから床につく、就床時刻にこだわりすぎない
眠ろうと意気込むと、かえって頭が冴えてきます。寝つけないままに床の中にいると、眠れないことへの不安や焦りが生じ、ますます眠れなくなってしまいます。
同じ時刻に毎日起床
何時間眠れたかにかかわらず、毎日同じ時刻に起床しましょう。
眠る以外の目的で床の中で過ごさない
床の中でテレビを見たり、読書をしたりしないようにしましょう。なかなか眠れなかったら、いったん床から離れ、自分なりのリラックスできることを行ってみましょう。
昼寝は短めに、遅くとも15時間前に
長い昼寝や夕方以降の昼寝は、夜の睡眠に悪影響を及ぼします。