障害者雇用特例子会社

障害者雇用特例子会社とは、障害者の雇用に特別な配慮をし、障害者の雇用の促進等に関する法律第44条の規定により、一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の認可を受けて、障害者雇用率の算定において親会社の一事業所と見なされる子会社です。

A. 特例子会社制度の概要

 障害者雇用率制度においては、障害者の雇用機会の確保(法定雇用率=2.3%)は個々の事業主(企業)ごとに義務付けられている。
 一方、障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できることとしています。
 また、特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率産地を可能としています。

B. 特例子会社認定の要件

(1)親会社の要件

 親会社が、子会社の意思決定機関(株主総会等)を支配していること。(具体的には、子会社の議決権の過半数を有すること等)

(2)子会社の要件

親会社との人的関係が緊密であること。(具体的には、親会社からの役員派遣等)
雇用される障害者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上であること。また、雇用される障害者に占める重度身体障害者、知的障害者及び精神障害者の割合が30%以上であること。
障害者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有していること。(具体的には、障害者のための施設の改善、専任の指導員の配置等)
その他、障害者の雇用の促進及び安定が確実に達成されると認められること。

C. 特例子会社によるメリット

(1)事業主にとってのメリット

  • 障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害者の能力を十分に引き出すことができる。
  • 職場定着率が高まり、生産性の向上が期待できる。
  • 障害者の受け入れに当たっての設備投資を集中化できる。
  • 親会社と異なる労働条件の設定が可能となり、弾力的な雇用管理が可能となる。

(2)障害者にとってのメリット

  • 特例子会社の設立により、雇用機会の拡大が図られる。
  • 障害者に配慮された職場環境の中で、個々人の能力を発揮する機会が確保される。
    すこし、詳しくご説明しますと

1.配慮が手厚い可能性が高い
 設備や環境・体制・規則などで配慮が手厚いことが期待されます。細部まで決められているわけではないですが、雇用される障害のある当事者に合せて、バリアフリーになったり、指導員が多く配置されたり、業務内容も障害にフィットしたものにすることが期待されています。

2.上司・業務・環境が変わりづらい
 つまり変化が少ないということです。通常の職場ですと上司はどんどん変わりますし、仕事も部署全体の状況によって変化が激しいケースもあります。発達障害の傾向がある人は、変化を苦手としがちの人がほとんどですので、特例子会社の雰囲気はフィットする可能性が高いと言えます。

特例子会社で働くメリットの例(サポート事例)
 特例子会社は、障害のある方に配慮した職場環境を整備しなければならないことが定められているため、働きやすい環境が整っていると言えます。特例子会社が職場環境改善のために行っているサポート事例には、以下のようなものがあります。


労働時間についての取り組み

・障害に配慮した短時間勤務制度の導入
・フレックスタイムや半休制度といった柔軟な労働時間制度の導入
・通院休暇制度の導入など、服薬や通院といった医療的に必要な時間を確保する○能力発揮やキャリアアップのための取り組み
・業務について支援・指導を行う特別スタッフの配置
・定期的な面談/相談の実施
・職場実習期間を設けたり、複数業務を体験させたりして、特性に見合った仕事を任せるようにする

職場の支援体制についての取り組み
・外部の支援機関に相談しながら職場環境の改善を図る
・懇親会の開催や休日のレクリエーションなどで社員同士の交流を図る
・日頃から障害のある方の家族と交流して、課題が生じた時に対応を相談できるようにする

特例子会社の配慮事例に関して
 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページでは、障害のある方の雇用に際して企業が創意・工夫して取り組んでいる好事例が記載されており、特例子会社の取り組みも紹介されています。

D. 特例子会社で働くデメリット

一般枠に転職しようとするとき

 特例子会社で働いている人は指導員など障害者雇用ではない人も含まれます。しかし、ほとんどが障害者雇用の人であることは外部の人からも想像がつきやすいでしょう。例えば、障害者雇用を経て自信を付けた方が一般枠に転職しようとするとき。履歴書に特例子会社の名前を書くと、障害者雇用であることが暗示されてしまうのではないかという心配を抱かれるかもしれません。デメリットといいますか、前もって受け止めておいた方が良い情報の一つであることは間違えないでしょう。


仕事が簡単すぎる、変わらなすぎる
 配慮をされすぎてしまったり、仕事があまりにも単調である可能性はゼロではありません。そもそも特例子会社は知的障害を受け入れていた企業が多く、今でも多くは知的障害を雇うことをミッションにおいている会社と言っても過言ではありません。2010年を過ぎたあたりから、精神・発達などの障害特性の受け入れ企業が増えてきましたが、まだ知的障害者にあった業務内容だったり、勤務ルールだったりするため、物足りなさを覚える人も多いでしょう。







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