A.3 ①視覚障害者を街中で見かけた際はまず、困っているかどうかを確認してください。
同じ場所をうろうろしていたり、首を左右に何度も動かしたり、白杖を頭上に高く掲げたり(SOSサイン)など、一見して困っているようであれば、視覚障害者から適切な距離でその人の方を向いて立ち、「何かお手伝いしましょうか?」と優しく声をかけてください。
視覚障害者は、ひとりで歩いているだけで常に不安を感じています。そのため優しく言葉をかけられたり、短い距離でも同行してもらえたりすると不安が和らぎます。また駅のホームでは、視覚障害者はホームからの転落の危険性と常に隣り合わせで歩いています。近年、視覚障害者の駅ホームからの転落事故が取り上げられることも多くなりました。ホームで視覚障害者を見かけたら、困っていなくても声をかけてもらうと安全に歩くことができます。しかし、せっかく手伝いをかって出ても、時と場合によっては断られることもあります。それはその場所がその人にとって慣れている場所で、道に迷っているわけではなかったり、ただ人と待ち合わせをしているだけのときだったり、と様々です。また視覚障害者もひとりの人間です。ときには他人とかかわりを持ちたくない時だってあるでしょう。
ここで重要なのは、たとえ手伝いを断られたとしても、「せっかく手伝ってやろうと思ったのに」などと思わないことです。その時は、たまたまタイミングが合わなかっただけで、同じ人でもタイミングが違えば助けを求めることもあるでしょうし、べつの人には他人の助けがとてもありがたいこともあります。めげずに根気強く声をかけてみてください。
②次に実際に視覚障害者を誘導するときの方法について説明します。
視覚障害者と晴眼者が一緒に歩くときは、視覚障害者が晴眼者の肘や腕、肩などを軽く持って歩くと、不安も少なく、また安全に歩くことができます。
その際、介助者は必ず視覚障害者の半歩前を歩くことが重要です。その理由は、視覚障害者が掴んだ介助者の肘や腕から、道の状況を知ることができるからです。
歩くときはこの位置関係を崩さずに歩くことが望ましいです。
また歩くペースは人によって様々で、生まれつき全盲だったのか、途中から見えなくなったのかによっても大きく違ってきます。誘導する際はできるだけ視覚障害者の歩くペースに合わせるようにしてください。
③次に、街中の様々な場所にある黄色い点字ブロックは視覚障害者が目印にして歩くためのものです。
視覚障害者はこの点字ブロックの真上だけを歩くわけではなく、ブロックの横に沿って歩いたり、ブロックを目で確認しながら、ずれないように少しずつ歩いたりするなど、その使い方も様々です。
絶対にブロックの上や近くに、立ち止まったりモノを置いたりしないでください。