障害福祉サービス事業所が施設外支援・施設外就労・在宅を利用する場合の要件並びに留意点

障害福祉サービス事業所が施設外支援・施設外就労・在宅を利用する場合の要件並びに留意点

障害福祉サービス事業所とは別の場所で行われる支援にかかる所定単位数の算定において特にその要件と留意すべき点について、以下、施設外支援・施設外就労・在宅の順で説明します。

 

1.企業内で行われる企業実習への支援(以下「施設外支援」という)について

① 施設外支援については、次のアからエまでの要件をいずれも満たす場合に限り、1年間(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる1年間)に180日間を限度として算定します。この場合の「180日間」とは、利用者が実際に利用した日数の合計数となることに留意することが必要となります。

 ア 施設外支援の内容が、障害福祉サービス事業所の運営規定に位置付けられていることが必要です。

 イ 施設外支援の内容が、事前に個別支援計画に位置付けられ、1週間ごとに個別支援計画の内容について必要な見直しが行われているとともに、その支援によって就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行が認められることが必要です。
このため、指定権者においては、就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行に資するかどうか実地調査において確認することが義務とされています。

 ウ 利用者または実習受入事業者から、施設外支援の提供期間中の利用者の状況について聞き取ることにより、日報が作成されていることが必要です。

 エ 施設外支援の提供期間中における緊急時の対応ができることが必要です。

② トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)

トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)については、下記の要件を満たす場合、施設外支援の対象となります。ただし、本助成金は、就職困難者の再就職を支援するための制度であり、一部の例外を除き職業紹介時点において継続就業中でないことを要件としているため、就労継続支援A型事業(雇用契約有)を利用している者は、原則として本助成金の対象とはならないことに留意してください。

 ア 上記ア、ウ、エの要件を満たしていることが必要です。

 イ 施設外のサービス提供を含めた個別支援計画を3か月毎に作成(施設外サービス提供時は1週間毎)し、かつ見直しを行うことで、就労能力や工賃の向上およびトライアル雇用終了後の一般就労への移行に資すると認められることが必要です。

③ 施設外支援の特例について

施設外支援については、そのサービス提供期間の上限を年間180日と定められていますが、下記の要件を満たす場合、この期間を超えて提供することが可能です。

 ア 対象者が職場適応訓練を受講する場合であって、上記の要件を満たし、かつその訓練が訓練受講者の就労支援に資すると認められる場合に限り、その訓練終了日まで施設外支援の延長が可能です。

 イ トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)であって、個別支援計画の見直しにおいて、延長の必要性が認められた場合も可能となります。

④ 施設外支援の留意事項

 ア 同日に施設外支援および通常の施設利用を行った場合、施設外支援の実施日として扱うこととなります。

 イ トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)については、施設外支援の対象となる要件として個別支援計画の作成および3カ月毎の見直しを行うこととしていますが、その取扱いについて以下の点に留意ください。

  a 個別支援計画の作成および見直しにおいては、事業所、本人および関係者が参加の上、協議を行い、必要に応じて公共職業安定所および受入企業から意見聴取を行い、市町村が必要な内容について判断することになっています。

  b 個別支援計画の見直しは、都度、実施結果を把握し、延長の必要性や実施内容の見直しなどを協議することとなっています。

(例:トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)の実施期間を10カ月間とした場合、施設外支援開始時に10カ月間全体の達成目標を踏まえて上で3カ月までの個別支援計画を作成し、3カ月目にその間の実施結果を見た上で延長の必要性について協議を行い、延長と判断した場合、個別支援計画を更新し、6カ月目までのものを作成する。以降6カ月目、9か月目においても同様に行ってください。)

2.利用者と職員がユニットを組み、企業から請け負った作業を企業内で行う支援(以下「施設外就労」という)について

① 施設外就労(企業内就労)については、次のアからオまでの要件をいずれも満たす場合に限り、算定することができることになっています。

 ア 施設外就労1ユニットあたりの最低定員は1以上とし、施設外就労の総数については、利用定員を超えないことが原則です。なお、事業所内での就労継続支援B型事業の延長として施設外就労を行う形態ではなく、施設外就労を基本とする形態で就労継続支援B型事業を行う場合であっても、本体施設には、管理者およびサービス管理責任者の配置が必要となります。

施設外就労により就労している利用者については、月の利用日数のうち最低2日は、施設外就労先または事業所内において訓練目標に対する達成度の評価などを行うことが必要となります。

 イ 施設外就労を行うユニットについては、施設外就労を行う日の1ユニットあたりの利用者に対して報酬算定上必要とされる人数(常勤換算方法による)の職員を配置してください。事業所については、施設外就労を行う者を除いた前年度の平均利用者数に対して報酬算定上必要とされる人数(常勤換算方法による)の職員を配置することとなっています。なお、サービス管理責任者については、施設外就労を行う者の個別支援計画の作成に係わる業務を担うことから施設外就労を行う者を含めた前年度の平均利用者数に対して配置してください。

 ウ 施設外就労の提供が、障害福祉サービス事業所の運営規定に位置づけられていることが必要です。

 エ 施設外就労を含めた個別支援計画が事前に作成され、就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行に資すると認められることが必要です。このため、指定権者においては、就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行に資するかどうか実地調査においてよく確認することとなっています。

 オ 緊急時の対応ができることが必要です。

② 施設外就労により就労している者と同数の者を事業所の利用者として、新たに受入れることが可能です。

③ 報酬の適用単価については、事業所の利用定員に基づく報酬単価を適用してください。

④ その他

 ア 施設外就労先の企業とは、請負作業に関する契約を締結してください。なお、契約締結の際には、以下のことに留意してください。

  a 請負契約の中で、作業の完成についての財政上および法律上のすべての責任は事業所を運営する法人が負うものであることが明確にされていることが必要です。

  b 施設外就労先から事業所を運営する法人に支払われる報酬は、完成された作業の内容に応じて算定されるものであることが記されている必要があります。

  c 施設外就労先の企業から作業に要する機械、設備等を借り入れる場合には、賃貸借契約または使用賃借契約が締結されていることが必要です。また、施設外就労先の企業から作業に要する材料などの供給を受ける場合には、代金の支払いなどの必要な事項について明確に定めて置くことが必要となります。

 イ 請け負った作業についての利用者に対する必要な指導は、施設外就労先の企業ではなく、事業所が行うことが規定されています。

  a 事業所は請け負った作業を施設外就労先の企業から独立して行い、利用者に対する指導については事業所が自ら行ってください。

  b 事業所が請け負った作業について、利用者と施設外就労先の企業の従業員が共同で処理していないことが重要です。

 ウ 利用者と事業所との関係は、事業所の施設内で行われる作業の場合と同様の関係を堅持してください。

 エ 施設の運営規定に施設外就労について明記し、この就労について規則を設けるとともに、対象者は事前に個別支援計画に規定することが必要です。また、訓練目標に対する達成度の評価を行った結果、必要と認められる場合には、施設外就労の目標その他個別支援計画の内容の見直しを行ってください。

 オ 事業所は、施設外就労に関する実績を、毎月の報酬請求に合わせて提出してください。

 カ 施設外就労に随行する支援員の業務

施設外就労に随行する支援員は、就労先企業等の協力を得て、以下の業務を行ってください。

  a 事業の対象となる障害者の作業過程、意向、能力などの状況把握。

  b 施設外就労先の企業における作業の実施に向けての調整。

  c 作業指導など、対象者が施設外就労を行うために必要な支援。

  d 施設外就労についてのノウハウの蓄積および提供。

  e 施設外就労先の企業や対象者の家族との連携。

  f その他上記以外に必要な業務。

 キ 関係機関との連携

都道府県および実施施設は、この事業の実施について、都道府県労働局、地域障害者職業センター、公共職業安定所、委託企業などの関係機関と連携を密にし、事業が円滑に行われるように努めてください。

3.在宅を利用する場合の支援について

① 就労移行支援事業所または就労継続支援事業所において、通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者(以下「在宅利用者」という)に対して就労移行支援または就労継続支援を提供するにあたり、次のアからキまでの要件のいずれにも該当する場合に限り、報酬を算定することが可能となります。

なお、在宅で就労移行支援または就労継続支援を提供する場合には、運営規定において、在宅で実施する訓練および支援内容を明記しておくとともに、在宅で実施した訓練および支援内容並びに訓練および支援状況を指定権者から求められた場合には提出できるようにしておいてください。その際、訓練状況(在宅利用者が実際に訓練している状況)および支援状況(在宅利用者に訓練課題にかかる説明や質疑への対応、健康管理や求職活動に係る助言など)については、本人の同意を得るなど適切な手続きを経た上で、音声データ、動画ファイルまたは静止画像などをセキュリティーが施された状態で保存し、指定権者から求められた場合には個人情報を配慮した上で、提出できるようにしておくことが望ましいといえます。

 ア 通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識および能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援が行われるとともに、常に在宅利用者が行う作業活動、訓練等のメニューが確保されていることが必要です。

 イ 在宅利用者の支援にあたり、1日2回は連絡、助言または進捗状況の確認などその他の支援が行われ、日報が作成されていることが必要です。また作業活動、訓練などの内容または在宅利用者の希望等に応じ、1日2回を超えた対応も行うようにしてください。

 ウ 緊急時の対応ができることが必要です。

 エ 在宅利用者が作業活動、訓練などを行う上で疑義が生じた際の照会に対し、随時、訪問や連絡による必要な支援が提供できる体制を確保することが必要です。

 オ 事業所職員による訪問または在宅利用者による通所により評価を1週間に1回は行うこととなっています。

 カ 在宅利用者については、原則として月の利用日数のうち1日は事業所に通所し、事業所内において訓練目標に対する達成度の評価を行ってください。

また、事業所はその通所のための支援体制を確保することが必要です。

 キ オが通所により行われ、あわせてカの評価等も行われた場合、カによる通所に置き換えても差し支えありません。

② 離島など(注)に居住している在宅利用者に対して、就労移行支援または就労継続支援を提供する場合は、①のオおよびカを次のアおよびイとすることができます

 ア 事業所職員による訪問、在宅利用者による通所または電話、パソコン等のICT機器の活用により、評価などを1週間につき1回は行ってください。

 イ 在宅利用者については、原則として月の利用日数のうち1日は事業所職員による訪問または在宅利用者による通所により、在宅利用者の居宅または事業所内において訓練目標に対する達成度の評価を行ってください。

(注)離島などとは以下のいずれかの地域とする。

 1 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により指定された離島振興対策実施地域

 2 奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島

 3 豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)第2条第2項の規定により指定された特別豪雪地帯

 4 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和37年法律第88号)第2条第1項に規定する辺地

 5 山村振興法(昭和40年法律第64号)第7条第1項の規定により指定された振興山村

 6 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第4条第1項に規定する小笠原諸島

 7 半島振興法(昭和60年法律第63号)第2条第1項に規定により指定された半島振興対策実施地域

 8 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律(平成5年法律第72号)第2条第1項に規定する特定農山村地域

 9 過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第2条第1項に規定する過疎地域

 10 沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第3号に規定する離島

 

【参考】施設外支援と施設外就労の違いについて

 

施設外支援

施設外就労

支援を実施する職員の要否

(就労移行支援事業で、移行準備支援体制加算(Ⅰ)を算定する場合は要)

報酬算定の対象となる要件

①施設外支援の内容が、障害福祉サービス事業所の運営規定に位置づけられていること。

②施設外支援の内容が、事前に個別支援計画に位置付けられ、1週間ごとに個別支援計画の内容について必要な見直しが行われているとともに、その支援により、就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行が認められること。

③利用者または実習受入事業者から、施設外支援の提供期間中の利用者の状況について、聞き取ることにより、日報が作成されていること。

④施設外支援の提供期間中における緊急時の対応ができること。

①施設外就労を行うユニットについては、施設外就労を行う日の1ユニットあたりの利用者数に対して報酬算定上必要とされる人数(常勤算定方法による)の職員を配置すること。事業所については、施設外就労を行う者を除いた前年度の平均利用者数に対して報酬算定上必要とされる人数(常勤換算方法による)の職員を配置すること。

②施設外就労の提供が、施設の運営規定に位置づけられていること。

③施設外就労を含めた個別支援計画が事前に作成され、就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行に資すると認められること。

④緊急時の対応ができること。

⑤施設外就労により実施する作業内容について、発注元の事業所と契約していること。

⑥施設外就労により就労している利用者については、月の利用日数のうち最低2日は、施設外就労先または事業所内において訓練目標に対する達成度の評価等を行うこと。

本措置による報酬算定対象

施設外支援利用者

本体施設利用者の増員分

(施設外就労利用者と同数以内)

本体施設利用者の増員

不可

施設外でのサービス提供期間

年間180日を限度

(特例の場合、当該期限を超えて提供することも可)

※本標には、在宅において利用する場合は含まれない。







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