作業療法士

・作業療法士とは?

作業療法士とは、どんな人を指す言葉なのでしょうか。英語では「オッキュペイショナル・セラピストOccupational Therapist(OT)」と呼ばれ、身体や精神に障害がある人、病気やケガなどで後天的に身体が動かしにくくなったり、精神的に落ち込んだりした人に対して、作業活動を通じて、日常生活の動作で困らないようサポートする人のことです。
作業療法士(OT)は、厚生労働省が「理学療法士及び作業療法士法」に基づき試験を実施する国家資格(業務独占資格)です。業務独占資格とは、ある特定の業務において、特定の資格(免許)を取得している者だけが従事可能な業務のことなのです。ここで言う「作業」とは、解りにくい言葉ですが法律では「対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為」と定めています。
作業という言葉だけを聞くと、昔の内職のように一人でただ淡々と同じことを繰り返すようなイメージが湧きますが、そのようなものではなく、つまり目的や価値を持つ生活行為を言います。

  • 作業には、日常生活活動である家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれます。
  • 作業には、人々ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれます。
  • 作業に焦点を当てた実践には、心身機能の回復、維持、あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と、その作業自体を練習し、できるようにしていくという目的としての作業の利用、およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれます。

ですから「作業」とは、仕事と言う意味ではなく、家事や入浴、着替え、排せつ、地域活動、余暇活動などを含む日常生活全般の営みのことを指します。年齢や性別などは関係なく、障害や精神的な問題、ケガや病気などで、そうした日常生活が困難になる人がいます。そのような人たちに、作業療法士は社会適応ができるように作業能力を回復させ、社会復帰を目標に、体だけでなく心の面でもサポートする仕事となります。
例えば、歩く、座る、動かすなどの基本的な身体サポートをする理学療法士(PT)に対し、作業療法士(OT)は、日常を生きるための動作を促し、精神面でのサポートをします。
日常動作である「生活活動(食事、料理、掃除、読書等)」の訓練には、レクリエーション(遊び、スポーツ)や、創作活動(ゲーム、体操、編み物、陶芸、絵画、音楽など)もリハビリの手段として用い、快適に自分らしく生きていけるようにサポートをします。
さらに社会復帰に向けた職業前訓練(就労に向けて作業能力・耐久性・集中力・正確性等の向上を目標とした訓練)なども行っています。作業療法士(OT)は、理学療法士(PT)と同じく、赤ちゃんから高齢者まで人生のあらゆる場面でのサポートを行います。医療・福祉・介護など様々な現場で活躍することができるように、職場は病院や老人保健施設、特別養護老人ホームなど幅広く、世の中からも望まれる職種と言えます。

・作業療法士になるには

作業療法士(OT)として人の役に立つ仕事をするためには、まず国家資格を取得することが必要です。そのためには、養成校を卒業する必要があります。

参考:作業療法士養成校一覧(2019年度)

作業療法士は、3年もしくは4年の大学、専門学校を卒業したのちに国家試験を受験し、国家資格を取得してなれるものです。文部科学大臣が指定した学校、もしくは厚生労働大臣が指定した作業療法士養成施設を卒業しないと、受験資格は与えられません。作業療法の歴史は日本では比較的浅く、1963年に初めての3年制の養成学校が設立されました。国立病院機構東京病院付属リハビリテーション学院ですその後、1965年に「理学療法士及び作業療法士法」が制定され、翌1966年に初めての第一回作業療法士国家試験が行われました。
試験科目には、筆記試験があります。筆記試験では一般問題として、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要及び作業療法について出題されます。
また、実地問題として運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要及び作業療法について出題されます。点字試験受験者は、実地問題を行わず、口述試験および実技試験が行われます。通信教育で卒業できる養成校はありません。外国の作業療法に関する学校もしくは養成校で学んだ人には特例があります。以下、まとめてみます。

受験資格

文部科学大臣が指定した学校、または都道府県知事(厚生労働大臣)が指定した作業療法士養成施設で、3年以上、作業療法士として必要な知識及び技能を修得したものが国家試験を受験できます。

試験会場並びに内容

(1)筆記試験(会場:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県)

 

一般問題  解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法。

 

実地問題  運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法。

(2)口述試験及び実技試験(会場:東京)

 

重度視力障害者に対して、筆記試験の実地問題に代えて次の科目について行う。運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む)及び作業療法。

試験方法

1.筆記試験
一般問題及び実地問題に区分して筆記試験を行う。
ただし、重度視力障害者(両眼の矯正視力の和が0.04以下又は両眼による視野が10度以内で、かつ、両眼による視野について視能率による損失率が95%以上の者)に対しては、実地問題については行わない。また、重度視力障害者に対しては、点字、試験問題の読み上げ又はその併用による受験を認める。弱視者(良い方の矯正視力が0.15以下又は両眼による視野について視能率による損失率が90%以上の者)に対しては、弱視用試験による受験を認める。

2.一般問題
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法

3.実地問題
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法

合格基準

作業療法士国家試験

一般問題を1問1点(160点満点)、実地問題を1問3点(117点満点)とし、次の全てを満たした者を合格とする。

総得点  167点以上/277点

実地問題 41点以上/117点

作業療法士の国家試験は年に一度行われており、年度によって難易度が若干異なります。内容が難しい年度もあれば、そうでもないといわれる年度もあります。内容があまりにも難しすぎたり理不尽だと判断されたりした場合には、応急処置的なものが行われることもありますが、あまり期待することはできません。どのような問題でも、一定以上の点数をとることができる実力をつけておく必要があります。過去の問題を解いているとさまざまな問題に接することができるため、よい対策になるでしょう。
しかし、近年は作業療法士国家試験の内容が大きく変わることも多く、過去の問題があまり意味を成さないことも増えてきました。そのため、過去の問題を覚えるだけでは不十分になりつつあります。

合格率

作業療法士国家試験の合格率は例年80%程度を推移しており、かなり高いものになっています。この数字だけを見ると、簡単に資格を取ることができそうな気もしてきます。しかし数字に惑わされないことが大切です。これは合格する実力がある人の中での80%ということになります。養成校によっては、在学中に実力が足りないと判断された人は、卒業できるかどうかに関わらず国家試験の受験資格を与えないという場合もあります。つまり、試験を受けてかなりの確率で受かるだろうといわれる人が試験を受け、その結果80%の合格率になっている可能性が高いということです。

受験の手続(※この項、理学療法士と同じ)

必要な書類は学校や養成校で案内があり、校内で準備することがほとんどです。必要な書類は以下の四点です。

受験願書

この書類は戸籍抄本(戸籍謄本)に記載されている文字を正確に転記しないとなりません。そのため、戸籍謄本をあらかじめ手に入れておくことが望ましいです。何故なら厚生労働省に提出する書類であるため、正確な情報を記載する必要があるからです。また、受験手数料はこの用紙に収入印紙10,100円分を添付することにより納付します(収入印紙は郵便局で手に入れることができます)。

受験写真用台紙及び写真

これは写真を添付する台紙になります。写真については、事前に用意しておく必要があります。写真のサイズは縦6cm×横4cmです。このサイズは近所の写真屋さんで撮影できます。また、6か月以内のものとの指定があります。写真は受験写真用台紙の写真添付欄に貼り付けます。
台紙にある卒業学校番号については学校に問い合わせて下さい。

返信用封筒

封筒は、縦23.5センチメートル、横12センチメートルのもので、オモテ面に、郵便番号及び宛先を記載し、522円の郵便切手を貼り付け、書類と表示をすることが必要です。

卒業証書または卒業見込み証書

証書は、養成校で手に入れることができます。各養成校の事務窓口に問い合わせれば案内してくれるはずです。
  基本的には、受験願書など受験手続きに必要な書類は養成校でもらえます。自分で手に入れる場合は、「作業療法士国家試験運営本部事務所」または「厚生労働省医政局医事課試験免許室」宛に請求すれば手に入れることができます。
提出先は「国家試験運営臨時事務所」です。郵送する場合は、書留郵便で送ることが指定されています。また、国家試験運営臨時事務所に出向き、直接提出することも可能です。ただし、提出期間が1ヵ月間ないため、注意してください。提出期間については事前によく調べておく必要があります(例年12月中旬から1月頭まで)。

・作業療法士の仕事の内容

身体・精神の障害によって日常生活に困難を抱える人に、生活スキルを向上させるための訓練(リハビリ)を提供するのが作業療法士の仕事です。作業療法士が行うリハビリは、理学療法士の行うリハビリとは区別され、“作業療法”と呼ばれています。この作業とは、食事・入浴・排せつのほか、料理・洗濯・掃除などの家事、スポーツやレクリエーション、手芸・工作・園芸・音楽など、日常で多く行われている動作・活動全般を指します。
「理学療法士」が「立つ」「座る」など基本動作の維持・回復のための訓練を行うことと比較すると、「作業療法士」は患者の生活スタイルに合わせてより応用的な身体動作の訓練を行うという違いがあります。また、リハビリを通して心身ともにリラックスした状態をつくりだすのも作業療法士の役割になるため、作業療法は単純に動作を繰り返すようなものではなく、飽きずに楽しみながら行える娯楽性も大切になります。「何を楽しいと感じるか」は人によって違いますし、行えるリハビリは病状によっても変わってくるため、作業療法士は対象者に合わせたプログラムを考案する力が必要になります。

代表的な作業

  • 生活(会話、食事、料理、掃除、洗濯、読書など)
  • 手工芸(折り紙、木工、革細工、陶芸、刺繍、編み物、ビーズ細工など)
  • 芸術(音楽、絵画、塗り絵、書道、詩、俳句、写真など)
  • 遊び(トランプ、将棋、囲碁、オセロ、パズル、麻雀、輪投げ、オリジナルゲームなど)
  • スポーツ(体操、球技、ダンス、バランスボール、散歩など)

病院で働く作業療法士の主な仕事は、患者さんの回復段階に合わせて「急性期」「回復期」「維持期」の3つに分類ができます。

急性期

「急性期」とは、病気の発症や事故・手術後、数日から約1カ月の期間。この時期にいかに早くリハビリをスタートできるかが、のちの機能回復具合に影響を与えると言われています。急性期リハビリでメインになるのは、手足などを動かすことによって、「廃用症候群」を防ぐこと。廃用症候群とは、安静状態が長く続くことによって心身の機能が低下した状態を指し、病床で寝たきりでいることによって発症する症状です。そのため、作業療法士は理学療法士と協働し、まずは患者さんがベッドから起き上がれる状態を目指します。急性期はまだ全身管理が必要な時期なので、医師や看護師と密に連携を取りながら、慎重にリハビリを進めていくことも重要です。ベッドから離れられるようになったら、患者さんの状態に合わせて「食事」「排せつ」の訓練へ。介助が必要な場合は、介助者への指導も行います。

回復期

急性期を経て、最も回復が見込まれる時期を「回復期」と呼びます。発症から1~2カ月後から半年ほどの間に、作業療法士は心身の機能の維持・回復に向けたリハビリを行います。その内容は、患者さんの状態によってさまざまです。例えば手足に麻痺がある場合は、器具などを使って身体を動かす練習から始めることになります。また基本的な動作ができるようになった患者さんには、退院後の生活を見すえて、食事・入浴・着替えなど、より多くの生活動作が身につけられるような訓練を行っていきます。いずれにしても、大事なのは患者さんが「一人でできること」を増やすことです。最初は作業療法士がサポートしながらですが、段階を経て自力での遂行を目指します。

維持期

病気の発症から半年ほど経ち、回復のスピードがゆるやかになる時期が「維持期」です。全身状態も落ち着き、退院して外来通院をする患者さんも増えてくるこの時期のリハビリは、「生活の質の向上」がメインとなります。病状が安定する一方、完治しない病や後遺症を抱えて生きていくことを受け入れなくてはならない患者さんも中にはいるため、リハビリを通して「未来への希望」につながるような楽しみや生きがいをみつけることが、作業療法の大きな目的となります。また、日常の基本動作の練習に加え、一緒にものを作ったりレクリエーションをしたりと患者さん同士の交流も大切にしながら、社会に適応できるコミュニケーション力を養っていきます。とは言え、ベッドの上で日中を過ごす人、車いすの人、片手・片足など一部に麻痺が残る人、自宅で療養する人、社会復帰を早急に目指す人など、維持期における患者さんの状態はさまざまです。日常生活で困っていること、今後どんな生活をしていきたいのかなど患者さんの声に耳を傾け、目標を設定し、一人ひとりに合わせたリハビリ・プログラムを考えることが重要となります。

自助具をつくる

リハビリ用の器具のほか、患者さんの日常生活の負担を少しでも減らせるような「自助具」と呼ばれる生活補助具を作るのも作業療法士の役割の一つです。例えば手先が不自由な人には食事がスムーズにできるような箸や食器など、患者さんが他人に助けを借りなくても自立して日常動作が行えるような工夫がなされたものを作ったりします。

・作業療法士の活躍の場

作業療法士が活躍できる職場は、「身体障害領域」「老年期障害領域」「精神障害領域」「発達障害領域」の4つに分類されます。中でも圧倒的に数が多いのが、「身体障害領域」を扱う総合病院や整形外科病院、リハビリテーションセンターなどです。また、高齢化に伴って「老年期障害領域」を扱う特別養護老人ホームや老人デイサービスセンター、訪問リハビリ分野での需要も増えています。「精神障害領域」を扱う精神科病院、「発達障害領域」を扱う小児病院や児童福祉施設、特別支援学校などもあります。
「どんな患者さんのために力を発揮したいか」によってフィットする職場は異なってきますし、リハビリの内容や目的も領域ごとに違いがありますので、まずはそれぞれの特徴を押さえておくことが大切です。

身体障害領域

・総合病院、大学病院、整形外科病院

・リハビリテーションセンター

・身体障害者更生施設、身体障害者福祉センター

・保健所、保健センター

病気や事故の後遺症で身体に麻痺が残った患者さんに対して、日常の動作に必要な筋力や関節の動きなどを回復させるための訓練を行います。道具を使って手や腕を動かしたり、手芸など手先を使う作業をしたり、ゲームや体操を通して筋力やバランス感覚を養ったりします。利き手に障害がある場合は反対の手で箸を持ったり文字を書いたりする練習をするなど、残された機能を最大限活用できるよう訓練することも大切です。
また、脳に損傷を受けたことで「高次脳機能障害」を負った患者さんに対する作業療法も、身体障害領域の一分野。「高次脳機能障害」の患者さんは、記憶障害(新しく物事を覚えられない、最近あったことを覚えていない)、注意障害(注意力散漫、ぼーっとしている)、遂行機能障害(物事を計画し実行に移すことができない)、社会的行動障害(感情的になりやすい、やる気がない)などの症状により、日常生活に支障をきたすことが多くなります。そんな患者さんが少しでも負担なく暮らせるよう、障害をカバーできる方法を考えたり、できることを増やせるよう訓練したりと、本人の状態に合わせたリハビリを行っています。

精神障害領域

・精神科病院、メンタルクリニック

・精神科デイケア・精神保健福祉センター、精神障害者支援センター

・精神障害通所授産施設

精神疾患によって日常生活に支障をきたしている患者さんに、手工芸やスポーツ、レクリエーションなどの作業活動を通して、日常生活や社会生活への適応を促します。精神疾患によって生活のリズムが崩れると体力や意欲、活動に対する耐久力や持久力が低下し、人とかかわることや社会へ出ること、毎日の生活に必要な活動さえもうまく行えないようになります。日常生活を送ることが困難になると、自信や楽しみが失われ、よりいっそう日常生活・社会生活に適応しにくくなるという悪循環が生まれてしまうため、患者さんごとに達成できそうな目標を設定し、「目標を達成することで自信や生きがいを得ること」「人間関係を再構築すること」を目指します。また、長期の入院生活で身体の機能低下が見られる場合は身体機能の訓練を行うほか、退院後の生活を見すえた日常活動(料理・外出・買い物)や服薬管理方法の提案・練習も行っています。

老年期障害領域

・認知症専門病院

・リハビリテーションセンター

・療養型医療施設、老人保健施設、在宅介護支援センター

・特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター

・訪問看護ステーション、訪問リハビリテーション

加齢に伴う身体機能や認知機能の低下、認知症、脳に損傷を受けたことが原因による「高次脳機能障害」などが原因で、日常生活に困難さを抱える高齢者(65歳以上)を対象に作業療法を行います。高齢者の場合は機能が劇的に回復するということはないため、「今できていることを維持するための機能訓練」「将来低下していくと予想される機能への予防的なアプローチ」がリハビリの主な目的になります。例えば、病気や怪我などで身体を動かさない部分があると、使わない部分はどんどん機能が低下してしまい、最悪の場合寝たきりの状態に進行してしまうこともあります。そうならないよう体を動かすプログラムを日常的に取り入れるなど、高齢者の暮らしの質を保っていくのが作業療法士の役割になります。また、施設に入所している高齢者は変化の乏しい生活を送っていることも少なくないため、集団でレクリエーションや会話を楽しむ中で刺激を受け合い、活動性・自発性・コミュニケーション力を維持していくことが大切とされています。その他にも認知症の患者さんに対しては精神的なケアも重要です。認知症初期には本人にも「何かがおかしい」という感覚があるため、精神的に不安定になり、それが大きなストレスになることもあります。進行を食い止めることは難しいかもしれませんが、これまで日常的に行っていた作業や趣味などを作業療法として行うことで、患者さんを安心させ、精神の安定を図るようにしています。

発達障害領域

・小児病院

・発達障害児(者)支援センター

・児童デイサービス、母子通園施設

・児童福祉施設、養護学校

・幼稚園、保育所

・保健所、保健センター

発達障害領域では、自閉症、脳性麻痺、知的障害、軽度発達障害などの子どもがリハビリ対象者。正常な発達段階を踏んでいる同年代の子どもと比べ、言葉や動作に遅れが出ており、集団や社会にうまく馴染めない子たちに作業療法を行います。運動機能や感覚に障害がある子どもたちは、自らの身体や運動のイメージがもちにくく、周囲から有用な情報を得ることが苦手なため、姿勢を保つことや身体の使い方、物や道具の操作、物と人との関係性を構築することが難しいという特徴があります。作業療法では、子ども自身が自ら考えて遊び、最終的には成功体験を得られるような課題を提供し、身体や脳の発達を促していきます。また、食事・衣服の着脱・排せつ・入浴・洗面など日常生活で困っていることを親にヒアリングし、「どうしたらできるようになるか?」を一緒に考え、トレーニングを行います。繰り返し訓練を行い、動作の獲得・習慣づけを図るほか、行動をサポートする道具や自助具を作製・導入することもあります。また、子どもが通う保育所・幼稚園・学校での生活を行いやすくするための環境整備や介助方法、家族から子どもへの接し方や声掛けのしかたをアドバイスするのも作業療法士の大切な役割です。

訪問リハビリテーション

通院が難しい患者さんの自宅へ訪問し、リハビリを行う場合もあります。患者さんは子どもから高齢者までさまざまで、上記で紹介した4つの領域のいずれかに該当します。日常生活で不便・不安を感じていることをヒアリングしたうえで、患者さんごとに必要な生活動作の訓練やアドバイス、介助者への指導を行うのが作業療法士の仕事。自宅は病院や施設のようにバリアフリー設計になっているとは限らないため、手すりの位置や浴室の形状など今の家で暮らしにくい部分がないかどうかチェックし、改善の提案をすることも作業療法士が担うことのできる役割です。

・作業療法士に向いている人

何をおいても作業療法士はまずコミュニケーションが必須です。人と関わることが好きである、ということが求められます。また、障害者本人以外に、患者の周囲の人と関係を持つ場面が多くあります。患者を中心とした周囲の関係性を客観的に把握できる観察力も必要となります。当然、医療的なことや作業療法の専門知識が求められます。これは、作業療法士の資格取得のための学校で、必要最低限のことを身につけます。さらに、就職した先によって求められる知識をより深めていく必要があります。また、患者とのコミュニケーションにおいても、幅広い教養があれば、接点を広げやすく、それが個人の強みにもなります。人によって、生活上求めるものは様々です。本人が何を求め、どうすれば希望に沿うことができるかをくみ取る柔軟性が必要です。さらに、個人の状況に合わせ、より最適な方法を探求する力が求められます。作業療法士は体を使う仕事です。また、障害者と接するにあたり、作業療法士が病気になって感染を広げる、という可能性も十分あり得るので、体調管理を徹底する必要があります。作業療法は、すぐに良い結果が出るものではありません。患者と一緒に長い目で成果を見極めていくことが求められ、粘り強く続けていかなければなりません。根気のいる仕事です。
以上のようなことから作業療法士はどのような人が向いているでしょうか。
まずは、人と接することが好きな人は、作業療法士の適性があります。勘違いしないで欲しいのは、作業療法士になるためには、人付き合いが好きで仕方ない人でないとなれないとか、得意でないといけない、ということでは決してないということです。多少人付き合いに不安があってもいいと思います。人見知りがあっても、また人付き合いが得意な方でなくても、患者との関わりを大切にしたい、患者のためにできることをしたい、そういう気持ちがある人であれば、作業療法士は続けられます。作業療法士をしていると、障害のある本人から「ありがとう」という言葉をかけてもらうことがあります。そう言ってもらえると、「やってよかった、もっと頑張ろう」という気持ちになる、素直にそう思える人は、作業療法士に向いています。障害者本人が具体的にどのようなことに不満を感じているのか、どんなふうに改善したいのか共感できる能力の高い人は作業療法士に向いています。アプローチした時にどのような変化が起こっているか、細かく観察し、洞察できる能力のある人は作業療法士に向いています。またアプローチをくり返す中で、さらに良い方法はないか考え続けることができ、感情に流されず、様々なことを客観的に判断できる人も作業療法士に向いています。これらができる人は作業療法士として、さらに向上できます。ただし、これらは、経験を重ねるうちに身に付くことが多いので、初めからできないからといって諦めないで下さい。最後に責任感のある人は作業療法士に向いています。障害者本人の希望に沿えるように努力することが作業療法士の使命である、と思えれば作業療法は成功しやすいはずです。また、どんな職業であれ、働くうえで、責任感がなければ仕事自体も職場での生活も上手くいきません。

・作業療法士に向いていない人とは

一方で、作業療法士に向いていない人とは、どんな人でしょう。作業療法士は人と接する仕事です。人と接することがとにかく嫌い、という人にはできない仕事です。人付き合いが得意でなくても、人見知りでもいいのです。相手のことを考えることができ、より良い関係を築きたい、という気持ちがあれば、それはきっと伝わります。しかし、自分さえよければ相手のことなんてどうでもよい、という自己愛が強い人は、患者の心を傷つけてしまう可能性が高いので、作業療法士には向きません。職場での、多職種も含めたスタッフ間の人間関係も、作業療法を進めるうえで必要不可欠です。スタッフ間での連携や情報交換が円滑に行えない人も、作業療法士には向きません。これはある程度は慣れも必要となります。職場によって連携の取り方が異なることもあり、初めはスムーズにいかないこともあるかもしれませんが、仕事を続けていくうちに慣れてくるものです。
治療の成果、作業療法士としての知識や技術、勤務態度、様々なことにおいて、成長しようという気持ちがない人も、作業療法士には向きません。成長しようとする気持ち、つまり向上心は患者への治療にも影響します。作業療法士が患者に関わる期間は決まっています。その間に、より効率的に患者の生活を改善しようという気持ちが生まれない人は、作業療法士を続けていくことはできません。
これは、コミュニケーションにも言えることで、多少人付き合いに不安のある人は、向上心がなければそれは改善されず、作業療法に支障が出る可能性があります。しかし、コミュニケーションを意識して作業療法士を続けることで、人付き合いの難しさを克服することも可能だと言えます。
作業療法士は、様々な分野の障害者を対象としています。高齢者分野、整形外科分野、精神科分野、小児分野など多くの分野に渡ります。また、訪問リハ、病棟リハなどの作業療法の形態によっても、働き方が大きく変わることがあります。例えば、精神科分野の施設に就職したものの、精神疾患のある患者に対するアプローチが、どうしてもうまくいかず、関係づくりにかなりの労力を要する、ということがあります。だからといって、それで作業療法士に向いていないわけではありません。別の分野に転勤して、その人の作業療法の良さを発揮できる、ということはよくある話です。少なからず別の分野に転勤してうまくいった例も実際あります。学校で、いくつかの実習先に行って、自分に合う分野を決定することになりますが、実習先の施設ごとにその施設によって方針の違いなどあります。分野の決定が難しい場合、自主的に見学に行き、ボランティアに参加することなどもお薦めします。







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