Q2 依存症は何が問題なのか?

A2 依存対象を大事にしすぎることで、自分や家族の生活に不都合が生じるということです。

 飲酒や薬物使用、ギャンブルなどの行為を繰り返すことによって脳の状態が変化し、自分で自分の欲求をコントロールできなくなってしまいます。だんだんと飲酒や薬物使用、ギャンブルなどの行為を第一に考えるようになってしまい、他のことがおろそかになり、社会生活をしていくうえで優先しなければならない色々な活動を選択することができなくなっていくのです。その結果、以下のようなことが起こり、自分や家族の健全な社会生活に悪影響を及ぼす可能性があります。

・睡眠や食事がおろそかになり、本人の健康を害す。

・嘘をついて、家族との関係を悪化させる。

・仕事や学校を休みがちになり、続かなくなる。

・隠れて借金をしたり、お金を工面する手段を選ばなくなる。

本人の身体や心に悪影響を及ぼします。

 私たちは、生活の中でいろいろなことを優先(選択)しながら生きています。例えば、私たちは毎日、無意識に食べることや寝ること、大切な人と楽しく過ごすことを優先(選択)して生きています。何故なら、人間は健康に生きていくために毎日適切な食事や睡眠をとること、大切な人と楽しく過ごすことを必要とするからです。

 しかし、依存症になり、脳が報酬(ごほうび)を求めてエスカレートした状態になると、正しい選択ができなくなり、生活の中の優先順位が変わってきます。睡眠や食事をおろそかにしたり、家族との大切な時間を削るようになったりと、これまで健康に生活していくために優先していたことよりも飲酒や薬物使用、ギャンブルなどを優先してしまい、結果、本人の身体や心に悪影響を及ぼします。

 さらに依存症が進むと、飲酒や薬物使用、ギャンブルなどのために仕事を休んだり、借金をしたりするようになることもあります。お酒を飲んだり、薬物を使用したり、ギャンブルをすることで、一時的にストレスが発散できたり、リラックスできたりするのですが、ほどほどにできなくなると、その代償として、自分の健康な身体や心が損なわれてしまうのです。

周りの人の生活に悪影響を及ぼします。

 依存症は、適切な治療をしないと、量や頻度がだんだんと増えていく進行性の病気です。依存状態が進んでいくと、本人だけの問題におさまらず、家族や周りの人を巻き込んでいきます。家族や周囲の人との人間関係よりも、飲食や薬物使用、ギャンブルなどを優先してしまうために、家族に嘘をついたり、借金をしたり、飲酒や薬物使用、ギャンブルなどをしていることを隠したりする行為は、よくある依存症の症状です。

 依存症は病気であるため、専門の相談機関や医療機関に頼ることで解決に向かうことができる問題でもあります。しかし、本人は病気という自覚がない(または認めない)ことが多く、家族も知識がないままに、自分の家族がこんな状態で恥ずかしい、世間にバレたらどうしようという思いから、誰にも相談できず、なんとか本人の起こした問題の尻拭いをし、隠そうとしてしまいます。







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