Q5 薬物療法についてですが、副作用はあるのでしょうか?

A5 統合失調症の薬物療法で代表的な投薬は、抗精神病薬です。抗精神病薬は統合失調症に効果的で約70%の人に症状の改善が見られます。神経伝達物のバランスを整え、脳の障害を回復させると考えられています。抗精神病薬にも副作用があります。その症状が嫌で薬をやめてしまえば、不利益が起こります。副作用は自分に合うための薬を見つけるための大切な情報です。

 薬を飲むのをためらい、やめてしまう理由の1つに、副作用が嫌で、ということがよくあります。抗精神病薬に限らず、どんな薬でも副作用がゼロのものはなく、プラスの効果とマイナスの効果があります。例えば、気軽に飲まれている風邪薬であろうともです。鼻水やせきが止まり、熱が下がって楽になりますが、一方ではボーッとしたり、発疹が出たり、胸やけがすることもあります。薬には、プラス面とマイナス面がありますが、マイナス面を怖がって薬を飲まなければ、さらに大きな不利益が起こります。統合失調症の場合でいえば、薬を飲まなければ、症状がぶり返します。これは必ず起こります。そうやって再発を繰り返していけば、病気はさらに悪化します。一方、薬を飲んでいる人は、仮に再発したとしても、飲んでいなかった人とくらべて、かなり軽い症状ですみます。副作用は、けっして恐ろしいものではなく、病気から回復するための情報だと考えることをお薦めします。医師は、患者の反応(副作用も含む)をみて、いま処方している薬が、その人に合っているかどうかを判断する材料にします。そうして、副作用が起こったりしてその人に合わないとわかったら、薬の種類をかえたり、量を調節したり、副作用を抑える補助薬を使って、病気がよりよい方向に向かうように配慮します。抗精神病薬の処方は、試行錯誤が必要です。副作用は、治療法を決める際に大切な情報になるので、ぜひ医師と相談をしてください。くれぐれも、自分だけの考えで薬をやめたり、種類や量を変えたりしないで下さい。

 抗精神病薬の副作用は、主な症状は以下の通りです。

・口が渇く(自律神経症状)

・便秘になる(自律神経症状)

・目がかすむ

・体重が増える

・立ちくらみのようになって、ふらふらする(起立性低血圧=自律神経症状)

・眠くなる(鎮静作用)

・体がだるく、動きが鈍くなり、元気がなくなる(過鎮静)

・手(指先)がふるえる(パーキンソン症状=錐体外路症状)

・仮面のような表情になる(パーキンソン症状=錐体外路症状)

・いてもたってもいられず、そわそわしたり、足を無意識に動かす(アカシジア=錐体外路症状)

・体の一部、特に顔や首などの筋肉が硬直したり、突っ張ったりする(急性ジストニア=錐体外路症状)

・舌や唇がふるえる、足を踏みならす、ときには体全体が痙攣する(遅発性ジスキネジア)

たくさん副作用があるようにみえますが、このような副作用のすべてが、一人の患者にあらわれるわけではありません。副作用の出方は、人によってさまざまで、薬の種類によっても変わります。副作用の多くは、薬を飲み始めたころに最も強くあらわれ、時間が経過するにつれて徐々に薄れていきます。反対に、薬の効果はすぐにはあらわれず(まれに劇的に効く人もいますが)、だいたいは数カ月後にならないとわかりません。症状が少しずつ改善していくにつれて、薬の効果もわかってきますが、その前に、副作用を恐れて薬をやめしてしまう人が多いようです。医師は、薬を飲む前に副作用について説明し、もしあらわれたとしても、最小限にくい止めるように援助します。効果が出るまで気長に飲み続けて下さい。







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