A4 睡眠関連摂食障害と夜間摂食障害は、かなり開きのある全く違うものと考えた方がいいでしょう。顕著な違いは、睡眠関連摂食障害は夢遊病の一種で本人に記憶はありません。しかし、夜間摂食障害ははっきり意識がある障害なのです。
睡眠関連摂食障害
睡眠関連摂食障害とは、眠っているときに無意識のうちに動きだし、何かを食べてしまうという病気のことをいいます。脂肪分や糖分をたっぷりと含まれる高カロリーなものを食べる人もあれば、冷蔵庫にあるものを使って料理をする人、普段なら絶対食べないアレルギーの食べ物をコンビニまで行って購入して口にする人まで様々です。勿論、その間の記憶は全てありません。そのため病院に来る人は家族に「夜中寝ぼけた感じでご飯を食べていたよ」と言われたり、朝起きて身に覚えのないお菓子の空袋があったりと、自分で違和感を覚えたことがきっかけで来る人が多いようです。
睡眠関連摂食障害が重度の人には、タバコやペットフード、化粧品など普段なら食べられないものとして判断がつくものでさえ口に入れてしまったり、火を点けて調理をすることもあるので、出火の原因になるので注意が必要です。
また夜中に過食をしてしまうことによって知らないうちに体重が増えてしまい、食べられないものを食べてしまい胃腸障害を引き起こすこともあります。特に抗不安薬や安眠薬などを服用している若い女性に起こりやすいのが特徴です。
睡眠関連障害の原因は、いまだ十分に解明されていないのが現状です。深い睡眠から食行動が始まり、目が覚めるに至らぬまま食事を続けてしまうことから、一種の覚醒障害によって神経がうまく機能していないことだけは分かっています。研究者の間では「判断する力のある前頭葉は眠った状態だけど、運動や視覚を司る前頭葉は覚醒状態なのではないか」「脳がまだら状に覚醒(睡眠)している」など色々意見が飛び交っているのが現状です。
また睡眠関連摂食障害を発症している人は話しかけてもなかなか目を覚まさないことが多く、初めて見た周りの人はビックリするかもしれません。
夜間摂食障害
夜間摂食障害は、寝る前や夜中目を覚まして過食してしまう症状です。主な原因は、ストレスと睡眠障害とされています。眠れない日や夜中に目が覚めてしまった時に、食べないと眠れないといった症状に陥るため、眠れるまで食べ続けます。夜中に過食した食べ物を消化しきれず、胃をもたれさせ、朝になっても体調が悪く起き上がれなくなるという症状もでてしまうので、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
摂食障害との違いは、日中の食事量が少ないことがあげられます。
夜間摂食障害と睡眠関連摂食障害との違いは、自覚があることと、奇妙な食品や材料を口に運ぶことはないということがあげられます。
夜間摂食障害の行動というのは、自覚をしていながらも「食べないと眠れない」という強い欲求を抑えることができず、満足するまで食べてしまいます。就寝していたのに夜中ふと目が覚めてしまい、どうしてもお腹が減っていて食べ物を食べてしまうという経験は誰にでも少なからずある体験です。「ほどほどの量や」「たまに食べてしまう」程度であれば問題はありませんが、「何かを口にしないと眠れない」や「どうしても満腹にしたい」というのは夜間摂食障害の特徴です。
「もしかして夜間摂食障害かもしれない」と思う人は、先ず自分の行動を見つめなおして下さい。本当に食べないと眠れないのか、途中で起きてまた寝付くまでの間、何か口に入れないと眠れないのか、強い食欲を我慢できるかどうかによってこの病気は判断できます。
また夜間摂食障害に患う患者の200人に1人の割合で睡眠関連摂食障害を引き起こしているという報告があります。つまりその人たちは無意識に、または眠っている状態のままで夜間摂食をしています。
夜間摂食障害の症状は、夜間に満足するだけの食事をしてしまうことから、体重の増加が見受けられます。また睡眠の途中で起きてしまい、食欲を満たさないと眠れないなどといった睡眠障害が起こります。食欲を抑えることができず満腹になるまで止められないことから摂取の制御不能状態に陥ったり、夜中に摂取した食べ物が消火していないため、朝、食欲が湧かず食べられないといった食欲不振になったりします。 治療は先ず睡眠障害を解消することから始められます。睡眠障害も夜間摂取障害も少なからずストレスが関係していると言われますので、ストレス解消する工夫を個人的にも心がけて下さい。