目次
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法改正においては、令和6年度から、新たな助成金を新設するとともに、既存の助成金についても拡充等を行うことで、事業主への支援を強化することとしています。
以下、助成金の新設と既存のものの支援・拡充内容を一覧表にしました。
助成金 | 支援内容・拡充内容 | |
新設 | 障害者雇用相談援助助成金(仮称) | 障害者の新たな雇入れや雇用の継続が図られるよう、中小企業等に対して必要な一連の雇用管理に関する相談援助の事業を行う者への助成を実施。【中小・除外率設定事業主に上乗せ】 |
新設 | 中高年齢等障害者職場適応助成金(仮称) | 加齢により職場への適応が困難となった障害者の雇用継続が図られるよう、事業主が行う①職務の転換のための能力開発、②業務の遂行に必要な者の配置又は委嘱、③業務の遂行に必要な施設の設置等への助成を実施。【中小・多数雇用事業主に上乗せ】 |
既存 | 障害者介助等助成金 | 事業主が行う①障害者の雇用管理のために必要な専門職の配置や委嘱、②障害者の職業能力の開発及び向上のために必要な業務を専門に担当する者の配置又は委嘱、③障害者の介助の業務等を行う者の職業能力の開発及び向上への助成を新たに実施。 |
既存 | 職場適応援助者助成金 | ジョブコーチ助成金について、助成単価や一日当たりの支給上限、事業主の利用回数の改善を行う。 |
既存 | 全助成金共通 | ① 助成対象者に、重度身体障害者、重度知的障害者又は精神障害者である特定短時間労働者(週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者)を加える。 ② 雇入れ時だけではなく、雇用されてから一定期間を超える場合であっても、職務内容の変更(労働条件の変更を伴うもの)等があった場合には、認定申請できる(要件を満たせば支給される)ことを明記する。 ③ 企業からのヒアリングで、個別に要望のあった事項(支給期間の延長など)を改善する。 |
既存 | 障害者作業施設設置等助成金 | 企業からのヒアリングで、個別に要望のあった事項(個々の機器、設備等に十分な助成額を支給して欲しい)を改善する。 |
新設(①障害者雇用相談援助助成金)助成金の支給要件等について
1.改正障害者雇用促進法の規定
(納付金関係業務)
第四十九条 厚生労働大臣は、対象障害者の雇用に伴う経済的負担の調整並びにその雇用の促進及び継続を図るため、次に掲げる業務(以下「納付金関係業務」という)を行う。
一~七 (略)
七の二 対象障害者の雇入れ及びその雇用の継続を図るために必要な対象障害者の一連の雇用管理に関する援助の事業を行うものに対して、当該援助の事業に要する費用に充てるための助成金を支給すること。
八~十一 (略)
2.助成金の名称
障害者雇用相談援助助成金(仮称)
3.支給要件
次のいずれにも該当するものに対して、予算の範囲内において支給する。
① 対象障害者の雇入れ及びその雇用の継続を図るために必要な対象障害者の一連の雇用管理に関する援助の事業(以下「障害者雇用相談援助事業」という。)を行うもの
※ ただし、特例子会社等にあっては、親事業主等を対象に相談援助事業を実施する場合には、当該相談援助事業により当該特例子会社等から親事業主等への転籍又は出向の実現したものに限り、かつ、今後、親事業主等への転籍又は出向の実施計画があるものに限る。
② 障害者雇用相談援助事業を適正に行うに足りる能力を有する者として、当該事業者の住所地を管轄する都道府県労働局長の認定を受けているもの
③ 次に掲げるいずれかに該当するもの
(1)その事業所において対象障害者の雇入れ及びその雇用の継続を図るための措置を行った事業主に対して、相談援助事業(当該相談援助事業により当該措置が行われたと機構が認めるもの(※1)に限る。)を行ったもの
※1 機構の認定に当たっては、①事業者が行った相談援助の詳細、②相談援助に基づく事業主の取組、③相談援助を受けた事業主の証明により確認を行う。
(2)その事業所において対象障害者の雇入れ及びその雇用の継続を行った事業主に対して、相談援助事業(当該相談援助事業により当該雇入れ又は当該雇用の継続が行われたと機構が認めるもの(※2)に限る。)を行ったもの
※2 機構の認定に当たっては、①事業者が行った相談援助の詳細、②相談援助に基づく事業主の取組、③ 雇入れ及びその雇用の継続の実績(雇用の継続は6か月以上の雇用継続をいう。)、④相談援助を受けた事業主の証明により確認を行う。
4.支給額
(1)対象障害者の雇入れ及びその雇用の継続を図るための措置を実施 60万円(中小企業事業主又は除外率設定業種の事業主にあっては80万円)
(2)対象障害者の雇入れ及びその雇用の継続を行った場合には、(1)の助成額に、一人当たり7.5万円(中小企業事業主又は除外率設定業種の事業主にあっては10万円)を上乗せ支給(ただし、4人までを上限とする。)
5.支給回数・期間
1事業主につき、1回。
新設(②中高年齢等障害者職場適応助成金)助成金の支給要件等について
1.改正障害者雇用促進法の規定
(納付金関係業務)
第四十九条 厚生労働大臣は、対象障害者の雇用に伴う経済的負担の調整並びにその雇用の促進及び継続を図るため、次に掲げる業務(以下「納付金関係業務」という。)を行う。
一~三 (略)
四 対象障害者である労働者を雇用する事業主であって、次のいずれかを行うものに対して、その要する費用に充てるための助成金を支給すること。
イ (略)
ロ 加齢に伴って生ずる心身の変化により職場への適応が困難となった対象障害者である労働者の雇用の継続のために必要となる当該労働者が職場に適応することを容易にするための措置
ハ (略)
四の二~十一 (略)
2.助成金の名称
中高年齢等障害者職場適応助成金(仮称)
3.支給要件
次のいずれかの措置を行った事業主(当該措置を行ったことにより、加齢に伴って生ずる心身の変化により職場への適応が困難となった障害者である労働者の適当な雇用の継続が行われたと機構が認める事業主(※1)に限る。)に対して、予算の範囲内において支給する。
※1 機構の認定に当たっては、①中高年齢障害者の職務の遂行状況、②当該中高年齢等障害者の勤務期間(6か月以上)、③事業主の措置内容、④継続雇用(6か月以上)が図られたことの証明、等により確認 を行う。
一 その雇用する中高年齢等障害者(障害者である労働者であって、三十五歳以上の者をいう。以下同じ)の職務の転換のための能力開発
二 その雇用する中高年齢等障害者の業務の遂行のために必要な者(介助の業務を担当する者、雇用管理のために必要な手話通訳、要約筆記等を担当する者、職場に適応することを容易にするための援助の業務を担当する者若しくは必要な援助又は指導の業務を行う者をいう。)(※2)の配置又は委嘱
※2 それぞれの業務遂行支援者の対象障害
介助の業務を担当する者:視覚障害及び四肢機能障害
雇用管理のために必要な手話通訳、要約筆記等を担当する者:聴覚障害
職場に適応することを容易にするための援助の業務を担当する者:身体障害、知的障害及び精神障害等
必要な援助又は指導の業務を行う者:身体障害、知的障害及び精神障害等
*「等」:発達障害、高次脳機能障害、難治性疾患
三 その雇用する中高年齢等障害者の業務の遂行のために必要な施設又は設備の設置又は整備
4.支援額
一(能力開発)
対象事業主 | 助成率 | 上限額(年額・一人当たり) |
中小企業主等以外の事業主 | 3/4 | 20万円 |
中小企業主又は多数雇用事業主 | 3/4 | 30万円 |
二(業務遂行支援者の配置又は委嘱)
既存の介助等助成金(介助者、職場支援員)、職場適応援助者助成金と同様。
三(施設又は設備の設置又は整備)
既存の障害者作業施設設置等助成金と同様。
5.支給回数・期間
一(能力開発)最大1年間(支給後、5年間は支給しない。)
二(業務遂行支援者の配置又は委嘱)最大10年間(介助者、手話通訳担当者等)
最大6年間(ジョブコーチ(1年8か月又は2年8か月)+職場支援員(残期間))
三(施設又は設備の設置又は整備) 既存の障害者作業施設設置等助成金と同様。
※ 障害者一人につき、いずれかの措置に限る。(併給は行わない)
既存助成金の拡充等について(共通事項)
○ すべての助成金に共通する事項として、対象となる「労働者」に、重度身体障害者、重度知的障害者又は精神障害者である特定短時間労働者(週所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者)を追加した上で、労働時間によって支給額を設定している。
・ 障害者作業施設設置等助成金や障害者福祉施設設置等助成金については、支給上限額を一般労働者等の半額に設定する。
・ 障害者介助等助成金における職場支援員の配置や職場適応援助者助成金における企業在籍型職場適応援助者の配置については、支給額を一般労働者の4分の1に設定する。
○ また、助成金の認定申請期間が支給対象障害者が雇用されてから一定期間以内とされている助成金(障害者作業施設設置等助成金、障害者介助等助成金等)については、雇用されてから一定期間を超える場合であっても、職務内容の変更(労働条件の変更を伴うもの)等があった場合には、認定申請できる(要件を満たせば支給される)ことを明記する。
○ 加えて、今回の制度改正を契機として、助成金の不正受給対策を強化する。
現行 | 改正案 | |
返還額の割り増し | なし(支給した給付金の全部又は一部の返還の規定のみ) | 返還を命ずる額の2割に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる |
返還命令、(納付金滞納事業主を含 め)助成金不支給、事業主の公表 |
要領に規定 | 省令に規定 |
その他関係者への対応 | なし | 過去5年以内に不正受給に関与した役員、代理人等が関係する事業主への助成金不支給、代理人等の公表、連帯債務等 |
既存(①障害者介助等助成金)助成金の拡充について
1.障害者雇用促進法施行規則の規定
(障害者介助等助成金)
第二十条の二 障害者介助等助成金は、次に掲げる事業主に対して、機構の予算の範囲内において、支給するものとする。(略)
一 (略)
二 次のイからヘまでのいずれかに該当する措置を行う事業主(当該措置を行わなければ、障害によりその雇用するイからヘまでの障害者である労働者の適当な雇用を継続することが困難であると機構が認める事業主に限る。)
イ~ホ (略)
ヘ その雇用する障害者(身体障害者、知的障害者又は精神障害者に限る。)である労働者とその雇用する障害者でない労働者との均等な待遇の確保又はその雇用する障害者(身体障害者、知的障害者又は精神障害者に限る。)である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情の改善を図るための業務を担当する者(雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情の改善を図るための業務についての経験及び能力を有すると機構が認める者に限る。)の新たな配置又は委嘱
三 (略)
2 (略)
▲上記の障害者相談窓口担当者の配置助成金を次の助成金に変更。
2.支給要件
へ その雇用する五人以上の障害者である労働者の健康相談のために必要な医師の委嘱
ト その雇用する五人以上の障害者である労働者の雇用管理のために必要な職業生活に関する相談及び支援の業務を専門に担当する者(職業生活に関する特別な相談及び支援の業務について相当程度の経験及び能力を有すると機構が認める者(※1)に限る。)の配置又は委嘱
※1 精神保健福祉士、社会福祉士、作業療法士、臨床心理士、公認心理師、産業カウンセラー、看護師、保健師の資格を保有し、一定期間以上の障害者雇用に関する実務経験を有する者等を想定。
チ その雇用する五人以上の障害者である労働者の職業能力の開発及び向上のために必要な業務を専門に担当する者(職業能力の開発及び向上のために必要な業務について相当程度の経験及び能力を有すると機構が認める者(※2)に限る。)の配置又は委嘱
※2 キャリアコンサルタントの資格を保有し、一定期間以上の障害者雇用に関する実務経験を有する者等を想定。
リ その雇用する五人以上の障害者である労働者の介助の業務又は援助若しくは指導の業務を行う者の職業能力の開発及び向上
3.支給額
へ~チ
費用の3/4を助成。ただし、医師の委嘱1回につき2万5千円(年額30万円)、相談支援員一人の配置につき月額15万円、相談支援員一人の委嘱1回につき1万円(年額150万円)を限度とする。
リ
費用の3/4を助成。ただし、20万円を限度とする。
4.支給回数・期間
へ~チ 10年間
リ 一事業主につき、年間2人(ただし、その雇用する対象障害者が10人未満の場合は1人)まで
現行 | 改正案 | |
委嘱1回当たりの助成額の上限 | 6千円(1年につき28万8千円) | 1万円(1年につき48万円) |
5.手話通訳担当者等
※介助者と同額
既存(②職場適応援助者助成金)助成金の拡充について
1.障害者雇用促進法施行規則の規定
(職場適応援助者助成金)
第二十条の二の三 職場適応援助者助成金は、次の各号のいずれかに該当するものに対して、機構の予算の範囲内において、支給するものとする。
一 法第四十九条第一項第四号の二イに規定する社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条に規定する社会福祉法人その他対象障害者の雇用の促進に係る事業を行う法人(この号において「社会福祉法人等」という。)であつて、障害者(身体障害者、知的障害者若しくは精神障害者又は発達障害者、高次脳機能障害を有するもの若しくは難治性疾患を有するもの(職場適応援助者(法第二十条第三号に規定する職場適応援助者をいう。以下この項及び第三十四条において同じ。)による援助が特に必要であると認められるものに限る。)(身体障害者、知的障害者又は精神障害者を除く。)その他職場適応援助者による援助が特に必要であると認められるものに限る。次号において同じ。)が職場に適応することを容易にするための援助に関する計画(法第十九条第一項第三号の地域障害者職業センター(以下この条において「地域障害者職業センター」という。)が作成し、又は社会福祉法人等が作成し地域障害者職業センターの長が承認した計画に限る。)に基づき、訪問型職場適応援助者(職場適応援助者のうち、研修を修了した者であつて、訪問等による援助の実施に関し必要な相当程度の経験及び能力を有すると機構が認めるものをいう。次項において同じ。)による援助の事業を行うもの(当該援助を適切に行うことができると機構が認めるものに限る。)
二 障害者の雇用に伴い必要となる援助に関する計画(地域障害者職業センターが作成し、又は事業主が作成し地域障害者職業センターの長が承認した計画に限る。)に基づき援助を行う企業在籍型職場適応援助者(職場適応援助者のうち、研修を修了した者であつて、事業主が行う職場適応援助者を配置することによる援助の実施に関し必要な相当程度の経験及び能力を有すると機構が認めるものをいう。第三項において同じ。)の配置を行う事業主(当該援助を適切に行うことができると機構が認めるものに限る。)
2~4 (略)
2.拡充事項
(注)「職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」で具体的に検討。
現行 | 改正案 | |
訪問型職場適応援助者助成金 | 助成金単価の引上げ 一日当たりの支給金額の上限の引上げ |
|
企業在籍型職場適応援助者助成金 | 2回目を支給対象外としている制限の緩和(この場合、事業主一年度あたり助成金額の上限設定を検討) |
既存(③重度障害者等通勤対策助成金)助成金の拡充について
1.障害者雇用促進法施行規則の規定
(重度障害者等通勤対策助成金)
第二十条の四 重度障害者等通勤対策助成金は、次に掲げる事業主又は事業主の団体に対して、機構の予算の範囲内において、支給するものとする。ただし、事業主が第一号に掲げる事業主(同号ヘに係るものに限る。)に該当することにより当該助成金の支給を受ける場合においては、第一号の二の事業主に該当することによる当該助成金は支給しないものとする。
一 次のイからチまでのいずれかに該当する措置を行う事業主(当該措置を行わなければ、障害により通勤することが容易でないため、その雇用する別表第一若しくは別表第三第一号、第二号、第四号若しくは第五号に掲げる身体障害がある者、知的障害者又は精神障害者である労働者の適当な雇用を継続することが困難であると機構が認める事業主に限る。)
イ~ホ (略)
ヘ その雇用する重度障害者等である労働者の通勤(列車その他の公共の交通機関を利用する通勤に限る。次号イにおいて同じ。)を容易にするための指導、援助等を行う者の委嘱
ト・チ (略)
一の二・二 (略)
2~4 (略)
2.拡充事項
現行 | 改正案 | |
第一号通勤援助者の委嘱の期間 | 1ヶ月 | 3ヶ月 |
既存助成金の拡充について(その他)
拡充案 | |
障害者雇用啓発活動 (障害者職場実習等支援事業) |
○ 障害者を雇用したことがない事業主等が職場実習の実習生を受け入れた場合に、受入れの経費を支援。 ○ 障害者を雇用したことがある事業主等が職場実習の実習生を受け入れ、雇用に結びついた場合には、受入れの経費を支援。 ○ 障害者雇用の経験やノウハウのある事業主が、障害者を雇用したことがない事業主等が障害者雇用を行うために、実習や見学を受け入れた場合の経費を支援 |