ヤングケアラー支援の基本的な考え方

ヤングケアラー本人のケアに関する認識や思いは多様です。本人や家族に自覚がない状態では、本人からサポートを求めてくることはまれです。本人や家族に寄り添い、自然なかかわりにおいて信頼関係を築く中で、話を聞き本人とその家族の意思を尊重しながら本人にとっての選択肢を増やしていくことが大切です。
以下に基本方針を5点示します。

1 特別な存在ではないことへの理解

● 一世帯当たりの人数が減少傾向にあり、共働きの世帯数も増加していることから、家庭内でケアを担える人数・大人がケアにかけられる時間が減少しています。
● また、地域とのつながりの希薄化などからくる地域力の低下等が家庭の孤立化につながり、障害や精神疾患のある家族や幼いきょうだいのケアを巡ってこどもに過度なケアの負担がかかってしまうことが起きています。
● こうした社会的な背景から、こどもや家庭からは相談することが難しいため、支援につながらず、どのような家庭でも、こどもがヤングケアラーになる可能性があるということを理解しましょう。

2 本人の意思に沿った支援・プライバシーへの配慮

● 同じケアをしていたとしても、抱える思いや希望していることは人それぞれです。例えば、ケアから完全に離れて一人暮らしを希望している人もいれば、家族のケアをしつつ勉強や友人との交流等を大切にしたいと思っている人もいます。支援を検討する際には、支援者が支援方針を決めつけることなく、本人の意思に沿い、本人の負担軽減につなげることを重視しましょう。その際、ケアが将来にわたり影響する可能性を考慮し、将来のイメージも含め選択肢等を示した上で本人の希望を聞くことが大切です。
● ケアはヤングケアラーにとって生きがいになっているケースもあります。ケアをしていること自体は否定しないようにしましょう。言い回しに気を付け、「ケアをしている状況を尊重している」「一緒に考えていく立場である」ことが伝わるようにしましょう。
● 大人と異なり、こどもは思いを言葉にすることがうまくできない可能性があります。各支援者が自分事として捉え、一人の大人としてヤングケアラーと向き合い、「話を最後まで聴く、言語化できるまで待つ、解決を急がない、私があなただったらどう思うだろうと自分事になって考える、一緒に考える」ことがとても大切です。寄り添う中で、徐々に本心が見えてくることがあります。
● また、本人の援助希求力・レジリエンスの向上を支援することも必要です。
● 家庭の状況を学校のクラスメイト等周囲に知られたくない場合が少なくないため、本人以外の第三者に知られないように話す等、プライバシーに十分な配慮が必要です。

3 家庭全体を支援する視点の重要性

● ヤングケアラーの家庭は、ヤングケアラーがいてバランスがとれており、ヤングケアラーが抜けられない家族システムになっていることが想定されます。そのため、ケアを受ける家族や保護者等その他の家族も含めた家庭全体を支援する視点が重要です。
● 効果的な支援のためには、家庭との良好な関係性構築も不可欠です。「親の養育が不十分」という認識でこどもを支援するのではなく、家族の大変さに寄り添い家庭を支援していくことが大切です。状況確認の際には親子関係等にも着目しましょう。
● DVや保護者の精神疾患など、複合的な課題を抱える家庭の場合には、保護者を支援につなぐことでこどもの支援にもつながることがあります。女性相談など「保護者を支援する機関」も関係機関に含まれます。
● 家族側が支援やサービスを受けることを拒否するような場合も、本人や家族の話に耳を傾け、家庭の味方であること、一緒に悩み考える存在であることを認識してもらいましょう。支援を受けることで家庭にとっても良い環境になること等を丁寧に説明しながら長い目で寄り添う支援も必要です。
● 言葉の使い方にも気をつけましょう。「ヤングケアラー」という言葉はときに本人や家庭にとってショックになることもある強い言葉であるため、関係性のできていない段階で面と向かってヤングケアラーという言葉を使わない、相手との関係を取りながら慎重に説明をするといった配慮も必要です。

4 見守り・共感を含めた幅広い支援、多機関・多職種の連携の重要性

● ケースにより支援を行う際に連携する関係機関が異なります。支援の方向性としては、まず関係機関が既存の支援を組み合わせることを検討し、足りない点については新たな仕組みを付加していきます。
● 各機関や担当者がそれぞれの所掌範囲から少し視野を広げ、これまで支援のはざまにいたヤングケアラーに対して、共通した目標に向かいそれぞれの立場の中でできることは何かを考えてみることが大切です。ヤングケアラーに対し「何か特別な支援をしなければならない」と難しく捉える必要はありません。今どのようなケア状況にあるか等を本人と一緒に確認していくプロセス自体も大切で、様々な負担感が見えてきたり、本人の気持ちが整理できたりします。
● ケアの状況は抜本的に変わらなくとも共感や相談ができる場があったり精神的な負担を減らせたり、継続的に話せる人や機関が身近にいたりすることも支援の一つです。課題解決を急がず、地域の民間団体による見守りや、ケアをしている当事者同士の共感し合える場につないだり、情報共有をしたりしながら長い目で寄り添うことも大切です。
多機関・多職種が連携し、ネットワークを構成する中で、家庭や本人の意思や状況に応じた見守りも含めた支援が必要です。

5 若者ケアラー支援への連続性の認識

18歳になってからもケアが続く場合があります。支援が切れることの無いよう、点ではなく線で、若者ケアラーまで切れ目のない支援を行い、将来の可能性を広げる(狭めない)ことが必要です。
● ピアサポートなどは年齢を問わず通い続けられ、心の支えになる可能性があります。
● 進学や就職等、若者ケアラーならではの問題もあります。ヤングケアラーの年齢や状況によっては、若者の就労支援関係機関等とも連携を図りましょう。
● 関連する法律に子ども・若者育成支援推進法(2010年施行)があります。本法は、「子ども・若者」を乳幼児期から30代まで広く対象としています。本法では、子ども・若者支援地域協議会の設置に努めるものとされており、法律的な個人情報保護や罰則規定を設けています。







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