A4 「てんかん発作」とはてんかん患者さんに起こる発作のことです。また、「てんかん」は病気のことで、「てんかん発作症候群(しょうこうぐん)」と呼ぶこともあります。つまり、てんかん発作は症状で、てんかん発作という症状をもった病気をてんかんと呼び、両者を使い分けています。
てんかんは、大きく、《部分てんかん(局在関連てんかん)》、《全般てんかん》に分けられます。そして、発作を引き起こす原因によって、「特発性(明らかな脳の病変が認められない場合)」と「症候性(明らかな病変が認められる場合)」に分けられます。時には、部分てんかん(局在関連てんかん)か、全般性てんかんか、決められない《未決定てんかん》もあります。いずれにしても正確なてんかんの診断は治療とその後の経過の見通しに重要な意味を持つため非常に大切です。
部分てんかん(局在関連てんかん)
部分てんかんには、てんかんが発病する原因になる他の病気があること、発作が始まる前に何らかの症状(前兆)がみられる、という特徴があります。
① 特発性部分てんかん(特発性局在関連てんかん)
特発性部分てんかん患者さんの脳波は焦点性の異常(特定の部位に限局した異常な波)を示し、小児によく見られます。このてんかんは年齢に関連して起こり、症状の経過はよいとされています。
- 中心、側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(ローランドてんかんとも呼ばれます)
- 良性後頭葉てんかん
② 症候性部分てんかん(症候性局在関連てんかん)
脳波は焦点性、局在性の異常を示します。側頭葉てんかんは高齢者に多いてんかんです。
- 側頭葉てんかん
- 前頭葉てんかん
- 頭頂葉てんかん
- 後頭葉てんかん
- コシェフニコフ症候群
全般てんかん
大脳の両側にまたがる広範な領域に過剰な興奮が起こる全般てんかんは、年齢に関連して発症することが特徴です。
① 特発性全般てんかん
主に小児期から若年期に発病し、25歳以上の発病は非常に少ないといわれています。また、他の神経症状がなく、意識を失うことが多いとされています。脳の左右に同じ脳波異常が同時期に現れるなどの特徴がありますが、手足の麻痺や脳の障害などの異常はみられません。
- 良性新生児家族性けいれん
- 良性新生児けいれん
- 乳児良性ミオクロニーてんかん
- 小児欠神てんかん(ピクノレプシー)
- 若年性欠神てんかん
- 若年ミオクロニーてんかん(JME)
- 覚醒時大発作てんかん
② 症候性全般てんかん
特発性全般てんかんよりも発病年齢が早く、新生児期あるいは乳児期に発病することが多く、発作の回数も多く、発病する前から精神遅滞や神経症状がみられます。
- ウエスト症候群(点頭てんかん、乳児スパスム、BNSけいれんとも呼ばれます)
- レノックス・ガストー症候群
- ミオクロニー失立発作てんかん
- ミオクロニー欠神てんかん
- 早期ミオクロニー脳症(EME)
- サプレッションバーストを伴う早期乳児てんかん脳症 《その他》……発作の種類を分類できない場合に「分類不能」として取り扱う場合があります。分類不能なてんかんとして新生児発作などがあります。