A1 「てんかん」はてんかん発作を繰り返す脳の病気で、年齢、性別、人種の関係なく発病します。健康を維持する目的で設立された世界保健機関(WHO)では、てんかんは「脳の慢性疾患」で、脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮(過剰な発射)により繰り返す発作(てんかん発作)を特徴とし、それに様々な臨床症状や検査の異常が伴う、と定義されています(「てんかん発作の起こる仕組み」参照)。
「てんかん発作」の時の症状は、大脳の電気的な興奮が発生する場所によって様々です。たとえば、いわゆる「けいれん」と呼ばれる手足をガクガクと一定のリズムで曲げ延ばしする《間代発作》や、手足が突っ張り体を硬くする《強直発作》、あるいは非常に短時間の意識消失が突然起こる《欠神発作》、全身や手足が一瞬ピクッとする《ミオクロニー発作》、感覚や感情の変化、特殊な行動などいろいろな症状があらわれる《複雑部分発作》など、その症状は極めて多彩です。
ただし、発作の症状はほぼ一定で、同じ発作が繰り返し起こることが、てんかんの特徴です。また、発作を起こしている最中は脳の中の電流が乱れているため、脳波を測定すると異常な波があらわれ、てんかんの診断に用いられます。
てんかんは、人口100人のうち0.5〜1人(0.5〜1%)にみられる病気です。発病する年齢は3歳以下が最も多く、成人になると発病者は減りますが、60歳を超えた高齢者になると脳血管障害などを原因とするてんかんの発病が増加します。小児てんかんの患者さんの一部は成人になる前に治ることがありますが、通常は治療を継続することが多いことから、てんかんは乳幼児期から老年期まで幅広くみられる病気です。