A4 依存症とは古くからある精神的な症状を指しますが、近年はかつてとは違った形の依存症が増えているようです。
かつて依存症と言えば、アルコールやニコチン、あるいは薬物などに依存するものがほとんどでした。しかし、最近ではスマホやネット、パチンコなどのギャンブルなどが原因となる、かつてとは違ったタイプの依存症が増えています。
依存症は精神疾患のひとつであり、克服するのは容易ではないと言われています。克服するのに壁となっているのが、かつては禁断症状と呼ばれていた、離脱症状です。離脱症状があるため、多くの依存症から抜け出せなくて苦しみます。専門医の元で、適切な治療と指導を受けないと、自分の意志だけで依存症を克服するのはなかなか困難だと言えます。
以下、様々な依存症の特徴やその原因について紹介します。
アルコール依存症
アルコールを摂取するTPOや量、経済的なコントロールが不可。アルコールを絶つことによる離脱症状は、手の震え、嘔吐、イライラ、不整脈、幻覚など。治療は一般的には入院治療、抗酒薬などが用いられている。
カフェイン依存症
眠気覚まし、一時的な頭痛を取りのぞく効果からカフェィン摂取過多。胃痛、吐き気、嘔吐、動悸や不整脈、緊張感、錯乱、幻覚。原因は生活習慣の乱れ。先ずは規則正しい生活に直すことから。
ゲーム依存症
家庭用ゲーム機、パソコン、スマホの普及。仮想現実の世界で、恋愛感情や恐怖心、征服感や達成感を味わうことで、現実の世界だけでは満足できなくなる。目的達成まで長時間のプレイが要求されるため、引きこもりなどの社会から孤立化する傾向大。
ニコチン依存症
ニコチンが脳にあるニコチン受容体と結びつく快感から依存症になり易い。血圧の上昇、動脈硬化、肺気腫や肺ガンのリスクを抱えることになる。現在、禁煙治療は病院で受けられるとうになっている。
マスク依存症
インフルエンザの流行から伊達マスクの流行現象。流向と心理のあらわれ(コンプレックスと対人恐怖症)。人目につかず、会話しなくて済む。コミュニケーションに対するコンプレックスから、引きこもりや社会的孤立の傾向。軽度の社会不安障害にかかり易い。
整形依存症
自分の身体的コンプレックス解消を理由に。満足の度合いがエスカレートし、整形手術を繰り返し、顔や体のバランスが不自然に見えたり、崩れてしまったりすることから、整形を辞められず負のスパイラルに落ち込んでしまう。重傷化すると、整形依存症は別名、身体醜形障害と呼ばれるように、極端な体系を望むようになり、摂食障害につながったり、最終的に自殺まで考えるようになったりする。
甘いもの依存症
別名、砂糖依存症。血糖値が高まり、糖尿病を発症するリスク有り。インシュリン治療により低血糖症を引き起こし、興奮しやすく、暴力的になったりする。肥満の原因に。動脈硬化、循環器系の障害から成人病へ。砂糖を取りすぎると体内にあるAGEsという物質が増加すると、老化が進み、肌にはシワやシミが増える。
買い物依存症
ストレスの解消から始まる。重症化すると消費者金融やクレジットカードによる借金。買い物依存症の特徴は、値段についてウソをついたり、隠したりする。結局、お金を出して買っても、使わないことが多い。たいして欲しくないものや、自分の生活に全くそぐわないものまで買ってしまう。心療内科へ相談を。
パチンコ依存症
日常生活で得ることのできない満足感や多幸感をギャンブルというリスクを乗り越え勝利したときの高揚感で味わうことができる。ドラッグなどを利用した時の快楽と同じようなもの。脳がそれを常に欲するようになる。借金までしてしまうケースが多い。離脱症状は、イライラや怒りっぽくなる。早めに心療内科の受診を。
実家依存症
原因は自立できていないこと。アダルトチルドレン、居心地のよい場所(実家)と甘えが許される親。夫婦仲の亀裂から離婚へ。自分が本来、大切にしなければならないものを見失う。親の気づきが早期回復へ。
スマホ依存症
スマホの普及によりスマホを離せなくなる(歩きスマホ、ながらスマホ)。主な原因、FacebookやLineに代表されるSNS。絶えず更新状況を確認するようになっている日常生活。孤独に対する恐れから、間接的だが簡便に人との接触を持つことのできることによって、依存度が高まる。わずらわしく傷つき易い現実世界から、回避依存症を伴う場合も。
セレクトショップ依存症
別名、心的外傷後ブランド依存症。買い物症候群との共通点は、不要であるものを買いあさってしまうこと。高額なブランド商品を買いあさるために、借金に手を染める。他人(自分)からの視線(眼差し)に安心感や優越感を得、快感に思う。
ネット依存症
インターネットは魅力的で刺激的(自宅にいながらにして、情報収集、ショッピング、ゲーム、など簡単にできるコミュニケーション・ツール)。節度を持って区切りを付けられない。「ネットの中こそが自分にとっての現実」という錯覚。ひきこもり、社会からの孤立化。有料サービスの膨大な月額の支払い。健康被害。寝食を忘れ、自殺や過労死、エスカレートすると放火や殺人などの犯罪まで。
恋愛依存症
異性やパートナーに必要以上に強く頼りすぎてしまう状態。恋愛感情が相手になければストーカー行為。お互いの意思は口に出さなくては確認ができない。相手が見えない状態が続けば当然、異性が今何をしているか気になる。こうした心理が行き過ぎると、常に相手の行動を把握しておきたくなる。重症化すると同性でも起こりうる。重度になると相手のドメスティック・ヴァイオレンス(DV)によって自分の身に危険があっても離れることができなくなってしまう。精神的疾患の一つ、早めの治療が求められる。本人の自覚が何よりも大切。
回避依存症
「他人との距離をおいてしまう」という状況に依存する症状。他人と親しい間柄になることを回避することから命名。「自分のことをあまり知られたくない」ことから心の壁をつくり他人を拒絶する。原因は、自分が拒絶されてしまうことへの不安や恐怖にある。受け答えは、基本、感情を表に出さず、当たり障りのない対応で済ます傾向。中には自意識過剰・選民意識から他人を見下すタイプや、男女の恋愛関係になることを面倒だと感じ恋愛自体を拒むタイプ、他人と対面してもしっかり挨拶ができないようなコミュニケーション障害に発展することもある。
彼女依存症
彼女が今何をしているか心配でしょうがない。広い意味で恋愛依存症、共依存。その特徴は、メールや携帯で頻繁に連絡を取ったり、プライバシーを無視して相手の素行をチェックしたりする。背景に彼女のことをより理解したい、彼女の愛情を確認したいという欲求が存在する。原因は人により様々、その中のひとつに精神的に自立できていないという特徴がある。心が幼いということから、誰かに依存していないと不安になってしまう。その対象が身近な彼女をチョイスする。行き過ぎてしまうと、彼女を独占して支配下におきたいがため異常行動を引き起こしてしまったりすることも。ストーキング、監禁などの犯罪へ発展。
共依存症
特定の誰かに依存してしまう。夫婦間や恋人同士で起こりやすい。男女間におけるものが代表的。ストックホルム症候群も共依存症のひとつ。相手を束縛し依存されることで行動に支障がでる。依存される相手が依存から抜け出そうと暴力など振るうことがある。結婚していても実家に足しげく通うなど、安易に受け入れてしまうと依存症はエスカレートする。
彼氏依存症
必要以上に彼氏にベッタリして離れられない状態。彼氏に頼らないと生きて行けないと思い込む。パートナーがすぐ傍にいないと常に不安を感じてしまう。自身への愛情の確認を頻繁に行うのも特徴のひとつ。執拗に電話やメールで彼の行動を確認する。エスカレートし重症化すると、ストーカー行為、監禁、傷害という事態にも成りかねない。相手の男性が暴力を振るうようであれば、彼氏依存症の女性の身に危険が及ぶこともある。
性依存症
快楽を伴う性行為に依存してしまうこと。アメリカでは比較的ポピュラーな依存症。性交渉に過度に依存し溺れてしまう。性交渉だけに限りセックス中毒と言う場合もある。性依存症は、性交渉だけにとどまらず、性に関連した様々な異常行動すべてを指す。マスターベイションが止められない、ポルノに関する雑誌や写真、映像に没頭してしまう。アブノーマルな性に走ってしまい犯罪につながる例も。性病のリスクの増大。原因は、ストレスの回避、心的外傷によるもの、親からの愛情の不足など。現在、日本では治療が遅れている分野。
薬物依存症
一回だけのつもりの使用が、日常では体験することのできない快楽を得ることができるため、強い依存症を引き起こしてしまう。脱法ハーブやコカイン。中毒になると頭痛、吐き気、嘔吐、意識不明など。