A1 適応障害は定義上ストレス因子に引き続くとされていますが、症状は即座に出現するとは限りません。ストレス因子と症状の出現の間は3ヶ月かかることもあります。また、ストレス因子が終結すれば常に症状が消失するとも限りません。ストレス因子が続く場合、適応障害は慢性化することもあります。
適応障害はどの年齢でも起こりえます。
不安や抑うつなどの多彩な症状がみられますが、成人の場合にはいくつかの症状を併せ持つことが多いです。攻撃的な行動、無謀な運転、過剰飲酒、法的責任感の欠如、ひきこもり、自律神経症状、不眠などが出現し、稀に自殺行為が出現することもあります。
適応障害の主な症状
抑うつや不安
抑うつ気分、意欲の低下、集中困難、不安感、焦燥感、動悸や冷汗、頭痛など神経過敏症状、不眠。
行為の障害
他者の権利侵害、年齢相応の社会的規範や規則の無視がみられます。例えば、無断欠勤、破壊行為、無謀運転、喧嘩などです。
子供の症状
夜尿症、赤ちゃん言葉や指しゃぶりなどの退行、腹痛、頭痛、不登校などがみられます。 適応障害ではストレス因子から離れると症状が改善することが多くみられます。たとえば仕事上の問題がストレス因子となっている場合、勤務する日は憂うつで不安も強く、緊張して手が震えたり、めまいがしたり、汗をかいたりするかもしれませんが、休みの日には憂うつ気分も少し楽になったり、趣味を楽しむことができる場合もあります。しかし、うつ病となるとそうはいかないことがあります。環境が変わっても気分は晴れず、持続的に憂うつ気分は続き、何も楽しめなくなります。これが適応障害とうつ病の違いです。持続的な憂うつ気分、興味・関心の喪失や食欲が低下したり、不眠などが2週間以上続いたりする場合は、うつ病と診断される可能性が高いでしょう。