A4 完治と言うより寛解ということに近いと思います。では何故、完治ではなく寛解かを以下説明します。
双極性障害は再発率が高く、診断がつくまでに時間もかかります。
双極性障害は他の精神疾患と比べても、非常に再発率の高い病気です。同じ気分の病気であるうつ病では、3人のうち2人は再発しません。しかしながら双極性障害では、90%以上が再発します。その傾向は双極性障害Ⅰ型で顕著で、ある研究では「薬の服用を中止してから1.5年程度で実に80%もが再発した」と報告されています。患者さんによっては、短期間で躁とうつを何度も繰り返してしまう方もいます(ラピッドサイクラー)。さらには双極性障害の患者さんは、診断がつくまでに時間がかかってしまうことが多いです。最初に精神科を受診してから双極性障害と診断されるまでに、平均で4.6年かかっているという最近の報告があります。診断がつくまでの間に症状を繰り返していき、少しずつ社会的な不利益が積み重なっていきます。その過程で、様々な心の病を合併してしまいます。
よって、双極性障害は完治させる病気ではなく、つき合っていく病気です。
双極性障害という病気は長期間にわたって症状を繰り返す病気です。このような病気であるがゆえに、無くそうと必死になって頑張ろうとすると、ますます苦しみが深くなっていきます。双極性障害を治療していくに当たっては、病気とつき合っていくという気持ちに切り替えた方がうまくいきます。双極性障害と戦うのではなく、つき合っていくとした方が安定します。
勿論、薬による治療は大切です。脳の機能的な病気なので、薬によってサポートすることができます。薬でサポートをしてもらうことでつき合いやすくなります。少しずつ自分の気分の波を知って、その波への乗り方を覚えていきます。
できたら家族ぐるみで仲良くなった方がよいでしょう。躁状態では、自分が病気であることが分からなくなってしまうことがあります。そのような時は、家族の理解があれば問題が大きくならないで済むことも多いです。
このようにして、少しずつつき合い方を身につけていけば、再発が少しずつ減っていき、長年安定していく方も増えています。