A2 適切な治療を受ければ治る病気です。パニック発作を経験すると、多くの人が強い不安感や死への恐怖感を抱くようになります。つらい症状ですが、ぜひ知っておきたいのは、パニック発作は命にかかわるものではないということです。
病院では、パニック障害と診断されると、発作を抑え、不安を軽減・解消するための治療が行われます。かつてはパニック障害の治療薬がなかったため、抗不安薬や抗うつ薬を組み合わせて使われていました。最近になって、セロトニンに作用する薬(SSRI=選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が効果的であることがわかり、副作用の少ない治療薬として使用されるようになりました。
パニック障害の治療の目標は、ふつうの人と同じように日常生活ができるようになることです。そのため予期不安や広場恐怖がある患者さんには、薬による治療だけでなく、発作が起きたときの心構えを身に付けたり(精神療法)、苦手としている場所を克服する練習(行動療法)が行われます。
精神療法とは
パニック発作を経験すると、不安感から、ちょっとした症状にも過剰に反応しがちです。軽い症状がみられたとき、冷静に対処する方法(呼吸法など)を知っておくと、発作を抑えることができます。
行動療法とは
電車に乗れない人を例にすると、薬を使いながら、まず駅まで行ってみる、次に電車を眺めてみる、というように少しずつ克服し、最終的には電車に乗れるようにします。
こうした最新の治療薬や治療法を受けるためにも、専門医がいる心療内科や神経科、精神科、あるいはパニック障害に詳しい医師のいる内科を受診するようにして下さい。
日常生活で注意したいこと
パニック障害は治る病気ですが、治癒するまでに時間がかかることもあります。あせらず、発作を上手にコントロールしながら生活していくために、本人も注意して下さい。
治療方針を守る
自宅での薬の服用など、治療方針を守ることが大切です。自己判断で薬を中断すると、かえって症状を悪化させかねません。副作用などが心配な場合は、医師とよく相談するようにして下さい。
ストレスや疲労をためない
ストレスや環境の変化は、パニック障害の直接の原因ではありません。しかしストレスをため、仕事や生活上の大きな変化があると、発作を誘発することがあります。
また疲労がたまっていると、発作を起こしやすい傾向がみられます。睡眠を十分にとる、積極的に気分転換を図るなどの方法で、発作を予防して下さい。
食事に気を付ける
睡眠と並んで、規則正しい時間に食事をとる生活も大切です。生活時間が不規則になると、自律神経にも影響を与え、症状がひどくなるからです。またコーヒーや紅茶など、カフェインを多く含む飲み物が、発作を誘発することがあります。飲みすぎないようにして下さい。