A2 もの忘れには正常なものと認知症と疑えるものがあります。正常なもの忘れと認知症によるもの忘れの違いの区別ができればよいのですが、現実にはなかなか難しいものです。
以下に記すものが全てではありませんが、認知症に気づくためには、次のような目安が役に立つかもしれません。
もの忘れのために日常生活に支障をきたしているか。
日常生活で重要ではないこと(タレントの名前や昔読んだ本の題名など)を思い出せないのは正常の範囲内ですが、仕事の約束や毎日通っている道で迷うなどの場合は認知症のサインかもしれません。
本人が忘れっぽくなったことを自覚しているか
自分でもの忘れの自覚がある場合は正常の範囲内ですが、もの忘れをしていることに気づかず、話の中でつじつまを合わせようとするようになるのは認知症のサインかもしれません。
もの忘れの範囲は全体か
経験の一部を忘れるのは正常の範囲内ですが、経験全体を忘れるのは認知症のサインかもしれません。
認知症のサインまではいかなくても、少しだけ正常のもの忘れが強いと感じたら、「軽度認知障害」の可能性も考えられます。
「軽度認知障害」の特徴としては、下記の4つが挙げられます。
- ほかの同年代の人に比べて、もの忘れの程度が強い
- もの忘れが多いという自覚がある
- 日常生活にはそれほど大きな支障はきたしていない
- もの忘れがなくても、「認知機能」の障害が1つある
「認知機能」とは、失語・失認・失行・実行機能のことです。
失語
言葉の障害(言葉が理解できない、言おうとした言葉を言うことができない、など)
失認
対象を正しく認識できない:知り合いの顔、色、大小などを認識できない、など
失行
くわえたタバコにライターの火をつけられない、服を着ることができない、茶葉とお湯と急須を使ってお茶を入れることができない、など
実行機能の障害
計画をたててその計画通りに実行していくなどができない
同世代と比べてもの忘れの程度が強く、こうした認知機能にも障害があると感じられたら、「軽度認知障害」のサインかもしれません。