A3 接し方の基本は、責めたり、威圧したりしない、感情的にならずに冷静に対応することです。解離性障害は、常識では理解できないような症状です。詐病と誤解されがちなことは、解離性障害という病気に関する知識が乏しいことに原因があります。
ですから、家族や周囲の方は、まず解離性障害について学び、症状や特徴を理解する事が何よりも求められます。
具体的な解離性障害を持つ方への接し方としては、主に二つのアプローチがあります。
ひとつには、病気に対する理解を深めることです。
解離性障害のことをきちんと知らない方にとっては理解することに難しさを感じるかもしれません。しかし、解離性障害を発症した多くの方は、周囲からその病状を信用されず「演技をしているのではないか」と疑われてしまうことも多く、そのことが原因で症状を余計に悪化させてしまう傾向があります。また周囲だけでなく、本人が自身の症状に気づかないことも珍しくありません。そのため、医師が本人や家族に対して解離性障害に関する情報提供を行い、症状の理解を得ることが大切です。
もう一つは、「グランディング」です。
グランディングとは、五感を活用して症状を改善させる方法です。たとえば、足を組んで座っていたら両足を床につけるよう声をかけたり、氷を手に握らせたり、日光を浴びさせることで、触覚、視覚、聴覚などを刺激します。この方法で本人の意識を「今」「この場」「自分」に呼び戻し、症状に回復がみられるケースがあるといわれています。 解離性障害のサポートの第一歩は、本人が安心、安全と感じる環境を周囲が整えてあげることから始まります。環境を整えるには、家族や友人などの周囲の人や医師が、本人との信頼関係を築けることが重要になってきます。環境が整ってくれば、患者は解離された心の状態を表現しやすくなるでしょう。その段階まで進むと、時間の経過に伴って症状が自ずと快方に向かったり、別の症状へと移行したりする場合があります。また、本人にプレッシャーをかけず、社会との接点を失わないようサポートを行うことも忘れないように心がけて下さい。