Q8 摂食障害の治療法はどんなものなのでしょうか? 参考までにお聞かせください。

A8 摂食障害の治療法、ここでは特に多い過食症・過食嘔吐・拒食症を中心にご紹介します。摂食障害はよく「心の病」と言われますが、カラダに様々な悪影響を起こすことからカラダの治療も非常に大切です。よって心とカラダ、両面からアプローチするのが摂食障害の治療の特徴です。

カウンセリングで治す

 摂食障害の治療として(心理)カウンセリングで治すのは一般的です。摂食障害は、強いやせ願望やストレスが引き金となって発症することが多く、人によって様々な要因が複雑にからまっていることが少なくありません。

 ストレスに対する考え方や、自分を客観的に冷静に見ることができない状態になっていること、摂食障害を引き起こしやすい生活スタイルになっていることなど、まずは自分が置かれている状況を冷静に理解し、摂食障害を引き起こしている心理的理由は何なのか、心の深い部分を掘り下げていくのが心理カウンセリングの役割です。

 カウンセリングは心療内科や精神科で受けられます。10代の場合は思春期外来や児童精神科、小児科でも受け付けています。病院に行くのは抵抗があるという場合は、メンタルクリニックや民間のカウンセリング施設に相談する方法があります。

分子整合栄養医学で治す

 分子整合栄養医学とは、薬を使わないで必要な栄養素をサプリメントで補給し、薬同様の薬理作用を期待する治療法です。「オーソモレキュラー療法(Orthomolecular medicine)」とも呼ばれます。栄養素を使って体内の細胞を本来の正常な状態に整える治療法であり、栄養療法とも、メガビタミン療法も呼ばれています。

 たんぱく質の立体構造を発表した米国のライナス・ポーリング博士は、1954年にノーベル化学賞、1962年にノーベル平和賞を、ノーベル賞を二度受賞しています。分子整合栄養医学を提唱したのが、このライナス・ポーリング博士です。分子整合栄養医学では、強い栄養失調や機能性低血糖症にある摂食障害に大きな効果を発揮しています。

 遺伝子が1958年に解明され、新しい学問分野である分子(遺伝子)生物学が誕生しました。現在米国ではこの分子生物学が発展し、栄養学は遺伝子レベルまで解明が進んでいます。

 人は極端なダイエットや食事制限、炭水化物の多い過食、過食嘔吐を繰り返すと、強い飢餓状態に陥ります。その結果、体内の全ての細胞で栄養が不足し、十分に機能できなくなります。栄養不足になると自律神経が失調し、たくさん食べても満腹感を感じることができなくなります。これが栄養不足によって起こる摂食障害です。詳しい血液検査をおこなって、不足している栄養素を把握し、必要な栄養素を治療レベルで補給することで健康を取り戻すのが、分子整合医学の基本的な考え方です。

 この治療法が現れるまで、摂食障害は精神や心理面でのアプローチする方法が主でした。しかし、分子整合栄養医学が現れたことで、カラダの細胞に新たにアプローチする新しい治療が展開され、心理面を改善しても納まらなかった過食衝動の治療として注目されています。

対人関係療法で治す

 対人関係療法とは親や兄弟、パートナーなど、自分に大きな影響を与える立場の他者と、「今の関係」に焦点をあてることで問題を解決していくカウンセリング療法です。もともとはうつ病の治療法として開発されたものですが、摂食障害、特に過食症の治療にも効果が認められています。摂食障害は強いストレスが引き金となって発症することがありますが、私たちが感じるストレスの多くは対人関係から生まれることが多いものです。対人関係療法では、特定の相手との関係の中で4つの問題領域を検証し、相手に期待していることや、相手や自分と期待のズレを自覚することで問題解決の糸口を探っていきます。

 治療にあたっては一定のペースでカウンセリングを受け、およそ12回~16回ほどの通院が目安となります。

認知行動療法で治す

 認知行動療法とは、考え方や捉え方を正しい方向に修正する治療です。摂食障害になると、平均と比べて病的なほど痩せているのに、「自分は太っているから痩せなくては」「太っているから食べてはいけない」と強迫に近い考えになってしまいます。そのような食事や体型に対する凝り固まった考えを、医師との対話によってやわらかくほぐしていく療法です。

 よく心理療法(カウンセリング)と同じように思われがちすが内容は全く異なります。心理療法は摂食障害の引き金となった原因を探るために、過去の出来事やトラウマと向きあって心理的原因に対するアプローチを行いますが、認知行動療法は心理面にはフォーカスせず、今の考え方や思考にアプローチし、思考トレーニングで改善していきます。

 なぜ太っていると思うのか、過食が起こりやすい状況はどんな時か、その時にどんな対策を為すべきかなど、今の状況を把握したうえで「どうしていくか」を医師と相談しながら行っていきます。例えば、過食嘔吐がやめられない人であれば、どんな時に過食嘔吐をしてしまうのかを把握。そのためにも、過食をした回数と過食量の記録をつけるという小さな課題から始めていきます。記録を見ながら正しく記録がつけられているか、過食してからすぐに記録をつけているかなど、課題を積み重ねていくことで現状を理解・改善し、「過食しなくても大丈夫」「ちゃんと食べても体型に大きな変化はない」と思考を正しく修正していきます。

 多少面倒で時間はかかりますが、考え方を根本から変えることで、摂食障害の治療につながる方法です。治療中は精神的・肉体的につらい時期もあります。医師や家族のサポートで治療が進められます。

薬物療法で治す

抗うつ薬

ウツ症状や激しい落ち込み、食べ物に対する執着心などを和らげる

抗不安薬

イライラして落ち着かない、他人と会うと緊張してしょうがない、冷や汗が出て止まらないなど、不安な気持ちが引き起こす諸症状を和らげる

抗精神病薬

摂食障害が生み出す感情の激しい揺れや衝動的な感情・行動を和らげる

睡眠導入剤

(睡眠薬も含)不眠、寝つきが悪い、夜間の過食が止められない、睡眠改善

ホルモン剤

無月経など婦人科系のトラブルを改善

 

※ホルモン剤(ピル)を服用すると月経は再開しますが、根本的にカラダが回復しなければ、自力で月経を再開させることはできません。

 この他にも選択的セロトニン再取組み阻害薬の処方などもあるようです。

 拒食症・過食症のどちらも今のところ病状を根本から解決する薬物療法はないというのが現状です。他の治療を受けながら、そのサポート的な対処法として薬物療法を考えた方がよいかもしれません。

入院治療で治す

 摂食障害の中でも拒食症の場合は、命の危険に係わるほど体重が激減しているケースがあり、自分で治療を行うことが困難と判断した場合は、入院して治療を受けなければなりません。

【入院治療を受ける適用条件】

  • 急激に体重が減少していることが明らかな場合
  • 低カリウム血症や心臓異常所見、糖尿病の合併など、重篤な身体合併症がある場合
  • うつ病や強迫性障害、自傷行為といった重篤な精神疾患を合併している場合
  • 拒食症の原因が家庭環境にあるため、治療環境として自宅が不適切だと判断された場合

入院治療を行う上でのポイントは、事前にしっかりと話し合ってから治療を行うことが重要です。患者だけでなく家族なども交えて、今後の治療方法を明確にし、達成することが可能な治療目標を立てなければなりません。この作業を行わないで入院治療を始めてしまうと、その後の治療に悪影響を与えてしまうことになりかねません。

一般的にはまず栄養状態の改善に取り組んでから、心理的な問題を解決していきます。

ある程度、体重が回復しないと心理面の治療の効果が得られにくいのです。だからといって、体重を増やすことだけを目標にしてしまうと、患者がただやみくもに食事をして退院してしまうということになってしまいます。ですので、入院しながら体重が回復する様子を観察しつつ、そこで生じてくる心理的な葛藤を担当の看護師や栄養士がチームでサポートして行くことになります。

拒食症の患者の中には、口から食事を取ることが難しいケースがあります。その場合は、鼻の穴からチューブを通して栄養剤を投与することも可能です。

一般的に、摂食障害の治療効果が表れるのは、早くても1年以上、通常の場合は4、5年の年月が必要だと言われています。

とくに拒食症の場合は、命の危険に関わるほど体重が激減している場合があり、入院して治療が必要です。 拒食症の場合では標準体重の60%を下回るケースも多く、カラダが衰弱し、後々まで重い合併症が残ることがあります。その他にも栄養失調や嘔吐・下痢に伴う低カリウム症、脱水症状から引き起こされる腎不全など、様々な合併症が考えられます。そのような重篤な場合は、病院に入院してカラダと心を根本から治療する必要があります。

病院や専門施設で専門医のもと、栄養失調を回復させるための点滴や薬の投与などを行います。自傷行為などを起こす場合は、精神病院に入院する場合もあります。







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