A2 障害者はどうしても他の人にサポートしてもらうことが多くなりがちですが、人に頼ることに申し訳なさを感じる人も多く、また何よりも自分のことはできるだけ自分でしたいという心理も働きます。肢体不自由の人も他の障害者と同じく、日々様々な工夫をして生活しています。
例えば片麻痺の人などは、車イスのブレーキレバーにラップの芯をかぶせたりしています。こうするとブレーキレバーに手が届きやすくなり、またブレーキをかける際に必要な力も少なくて済みます。
また車イスのフットサポートは硬くて頑丈にできているため、長時間足をのせていると足裏などが疲れたり痛くなったりします。そんな時に使用するのがシリコン製のマウスパットです。これをフットサポートに両面テープなどで貼り付ければクッションの役割を果たしてくれます。これは足への負担が少なくなるだけでなく、クッション性があるので足がずれにくくなるというメリットもあります。
他にも、車イスを利用中に床に落としたものを拾おうとして、転倒してしまうことが多くあります。これはけがの危険性もありますし、さらに車イス利用者はいったん転倒すると自力で起き上がることが困難です。このようなときは、マジックハンドがあれば、車イスの上からでも床のものを安全に拾うことができます。
さらに体の不自由な人のための自助具も販売されています。自助具は文字通り、自分を助けてくれる道具のことでこれには様々な種類があります。
たとえば少し力を加えると自由に曲げることができる食器は、口元に届きやすい角度に曲げることで食事をとるのが容易になります。また持ち手の部分がギザギザのスポンジ状になっていて、持ちやすく滑りにくい構造になっています。さらにスポンジと食器部分は取り外し可能で、サイズが合えば市販の食器を取り付けることもできます。
また全く握ることができないという人のために役立つのが万能カフです。マジックテープでバンドを手のひらに固定して使用します。バンドの中央に穴が開いていて、ここにスプーンやフォークなどを差し込むことで、指で握れなくても自力で食事をとることができるようになります。さらに先ほどの曲がる食器と組み合わせることもできるなど、状態に合わせていろいろな使い方ができるのがこの万能カフの魅力です。
次に紹介するのがエジソンのお箸です。これは2本の箸が一体になっていて、輪っかの部分に指を入れるだけで簡単に箸遣いができるようになります。自助具としてだけでなく、正しい箸の使い方を覚えるための強制具としても使えます。
ほかにも症状によって自宅をバリアフリーに改修するなど大掛かりな工事をする場合もあります。