これは視覚障害に限った話ではありませんが、結論から先にいうと、障害者でよかったと感じることの一つは、障害がなかったら決して出会うことがなかった人と出会うことができるところにあるといえます。
いったん話は脱線しますが、「障害受容」という言葉があります。これは簡単に言うと、自分が障害者であることを受け入れ、これからも障害とともに生きていく覚悟ができている状態のことです。「障害受容」の度合いはその人が障害を負った時期が大きく関係します。生まれつき何らかの障害のある人は、物心がついた時からその状態が続いているわけですから、「障害受容」は比較的簡単に行えます。逆に人生の途中で障害を負った人は、ある程度年齢を重ねてから障害者になったため、障害がなかったころの自分と比較してしまい、絶望して生きる気力をなくしたりと、障害を受容することが難しかったりします。「障害受容」とはつまり、障害があってもいろんなことができる、障害者だからこその役割や仕事を得て生活に希望を見出せるようになったという状態のことです。その希望は人によって様々です。自分の趣味を謳歌することであったり、自分に合った仕事を見つけ精一杯頑張ることであったり、障害について広める活動をすることもひとつの希望といえます。
障害がなかったら出会えなかった人とつながれるということ、これが障害者でよかったと感じることのひとつといえるのではないでしょうか。