A12 実際に実習をしてから、採用するかどうかを決める方法はいろいろあります。
1)「障害者委託訓練」というのがあります。「障害者委託訓練」とは、企業、社会福祉法人、特定非営利活動法人、民間教育訓練機関などを委託先とし、障害者の能力や適性、地域のニーズに対応した障害者の職業訓練を委託し、就職に必要な知識や技能の習得をする制度です。訓練受講生一人当たり月額6万円(上限)の委託料が支給されます。
障害者委託訓練のコースには以下のものがあります。
①「知識・技能習得訓練コース」 専門学校、各種学校などの民間教育訓練機関、障害者に対する支援実績のある社会福祉法人、NPO法人などを委託先とし、基礎的なビジネスマナーや実務、パソコンやヘルパー業務などの知識・技能習得を目的とする訓練を行います。訓練期間は、原則3か月以内で、標準的な訓練時間は1か月あたり100時間となっています。 |
②「実戦能力習得訓練コース」 企業など実務を行っている事業所現場を委託先として、障害者の実践的な職業能力の開発・向上を目的とした訓練コースです。訓練期間は、原則3か月以内で、標準的な訓練時間は1か月あたり100時間となっています。 |
③「e-ラーニングコース」 通所困難な重度障害者などが、在宅でIT技能などを習得するための訓練です。 |
④「特別支援学校 早期訓練コース」 特別支援学校高等部等に在籍し内定を得られない生徒が、在学中から実践的な職業能力の開発向上を目指すための訓練です。 |
⑤「在職者訓練コース」 在職障害者が雇用継続に資する知識・技能を習得するための訓練です。 |
2)「社会適応訓練」とは、精神障害者を対象とした実習訓練です。精神障害者の社会復帰に理解のある企業に一定期間通い、仕事への意欲、環境に適応する力、人づきあいなどの社会適応訓練を実施する制度です。
3)上記の他に短期雇用契約をむすんで行うものがあります。
①「障害者試行雇用事業(トライアル雇用)」とは、ハローワークの紹介により、企業が障害者を試行的に雇用(トライアル雇用)することで雇用側と応募者側の相互が職場への適性や能力を確認し合いながら本雇用(常用雇用)に進むかどうかを決めることのできる制度です。原則3か月(精神障害者は最大12か月)の有期雇用契約を結び、この期間中は企業から賃金支給が発生します。また「トライアル雇用」には対象者1人当たり月額(最大)4万円の奨励金(助成金)が3か月間、事業主に支給されます。 |
②「精神障害者ステップアップ雇用」とは、ハローワークの紹介により、精神障害及び発達障害のある方を試行的に雇用し、一定の時間をかけて、職場への適応状況をみながら、徐々に就業時間を延ばしていく「ステップアップ雇用」の制度です。短時間労働からスタートすることが望ましいと言われる精神障害者を6か月から12か月の有期雇用契約(週10時間以上、20時間未満の労働時間)を結び、徐々に就労時間を延ばし週20時間以上の就労を目指すものです。この期間中は企業から賃金支給が発生します。またこの「ステップアップ雇用」については事業主には月額25,000円の奨励金が支給されます(雇用開始から6か月経過後、または雇用期間終了後の申請となります)。なお期間の途中で常用雇用に移行することも可能です。ステップアップ雇用の期間が経過し、常用雇用にいたらなった場合は契約期間満了による終了となります。常用雇用に移行できた場合は特定求職者雇用開発助成金を受給することができます。 |
4)この他に常用雇用を前提におこなうものとしては、一般職場適応訓練(6か月以内、重度障害者の場合は1年未満)や短期職場適応訓練(2週間以内、重度障害者の場合は4週間以内)などがあり、事業主には職場適応訓練費が支給されます。また公的支援を受けずに企業独自に対象者と話し合いの上、職場で訓練することも可能です。