A6 専門の機関に相談し、適切なサポートの仕方を学んで下さい。
依存症は欲求をコントロールできなくなる病気です。しかし、本人には自覚がなく気づかないため、何度も気持ちだけでコントロールしようとして失敗します。そのため、いくら周囲が根性論で本人を責めても問題は解決しません。叱責や処罰だけでは、むしろ状況を悪化させてしまいます。
本人が回復の必要性を自覚するまでには時間がかかることが多いため、まずは周囲の方が専門の機関に相談し、適切なサポートの仕方を知ることから始めて下さい。
依存症を正しく理解し、本人に接すること。
ほとんどの場合、依存症の当事者は、自分は依存症だと気づくことはできません。そのため明らかに問題がある状態であっても、やめようとすればやめられる、あの人に比べれば大丈夫という発言をし、その問題に向き合おうとはしません。また、隠れてやっているのにもう辞めたと嘘をついたり、もうやらないという約束を破ったりしてしまうのも依存症の典型的な症状です。本人も自分の意志では辞められない病気になっていることを自覚できていないのです。
依存症当事者に対してやめられないことを責めたり、嘘や約束を破られたことを怒ったりすることで本人を追い詰めると、本人はストレスを感じ、それを解決しようと、余計にアルコールや薬物、ギャンブルに頼るようになってしまうなど逆効果になるケースが多く報告されています。
このような場合、本人を追い詰めず、自分の気持ちを伝えることが有効とされています。借金を肩代わりする、本人の代わりに会社へ休みの連絡をするなど、本人の起こした問題の尻拭いをするのも逆効果となります。なんとか愛情で立ち直らせたいと家族が献身的に尻拭いをすると、本人は自分の問題に直面することなく、アルコールや薬物、ギャンブルなどを続けていくことにつながってしまいます。
勇気をもって専門の機関に相談してみて下さい。
依存症は脳の病気であるため、家族など周囲の人たちで何とかしようとしても問題は解決しません。適切な接し方を知っていないと、状況をますますこじらせてしまうこともあります。本人に対してどのような対応をすればいいのか、家族自身のストレスを軽減するにはどうすればいいのかなど、適切な知識を得ることは非常に大切です。そこで、自助グループや家族会に参加することや、地域にある保健所や精神保健福祉センターといった専門の行政機関に相談する方法があります。
行政機関に相談するにあたっては、最初から本人を連れていく必要もありません。連絡を取ると、適切な対処法についてアドバイスをもらうことができます。
また、情報を知る、悩みを解決するという観点では、依存症の家族を持つ人たちが悩みを分かち合い、共有し、連携することでお互いを支え合う家族会に参加してみるのもひとつの方法です。保健所や精神保健福祉センターに相談すれば、家族会などについても教えてもらうことが可能です。
家族会に参加することや、専門機関で正しい対処法を聞くことは恥ずかしいことではありません。自分達だけで悩まず、専門の機関に相談しましょう。