A3 いくつか注意してもらいたいことがあります。基本、パニック障害の人は狭くて逃げられない場所にいると不安は倍増するので、本人が望むところにいさせてあげてください。
パニック障害の人が《苦手なもの》を5つ以下に紹介します。
エレベーター、乗り物、映画館、などの閉鎖空間
エレベーターや、電車、狭い会議室、映画館、飛行機など、パニックを起こした時にすぐに逃げられない閉鎖空間のことです。パニック発作 (と過呼吸)を起こす直前には、電車は1駅ずつ降りて、落ち着いたら乗るということを繰り返さねばなりません。物理的な吐き気もあるので、そのままトイレに駆け込むこともあります。「出られなくなったらどうしよう、このままパニックを起こしたらどうしよう」という不安が、動悸を加速させ、過度な不安で、それ以外何も考えられなくなってしまいます。
大きな話し声
大人子供、性別問わず、威圧的な話し声を極端に怖がるようになります。何でもない話しであっても、大きな声には攻撃性を感じ、全身から血の気が引いていくように感じます。普通の人が平気なことを、過度に敏感に反応してしまいます。
人の悪口・悪意の強い愚痴
「黒い気持ち」がぶつかるような場所を極度に怖いと感じます。それが自分に向けられていないものであっても、「悪意を感じるような」場面は恐怖を加速させます。便乗しないのはもちろんのこと、ササっとその場から立ち去るようになります。怒鳴るような現場も当然苦手です。
友達、会社の人、初めての人との食事
信頼できる身内、状況を知ってくれている友達以外との外食や外出は苦手です。その理由は、万が一パニック発作が起きたり、具合が悪くなったりした時は、頓服を飲んで、じっとしていたいので、そっとしておいて欲しい(背中を撫でてもらうことが効果的)のですが、逆に「大丈夫? どうしたの?」と言われて、周りがパニックになると、申し訳なさと不安が混ざり合い、悪化してしまうことがあるからです。決して大げさな物言いではなく本人にしてみれば「恐怖に殺される」ように思えるようです。身内だと素直に「辛い」というだけで通じるのですが、他の人にはイチから説明しなければならないので、しんどく感じ、避けるようになります。
視覚・感覚・感情を他人にコントロールされること
自己啓発セミナー、講演会、映画、コンサート、会社の決起会、感情を意図的に上げたり、下げたりする場所が苦手です。拒否反応で、一旦は入場しても結局出てしまうことが多いです。無理をすると、その後2週間くらい引きずることがあります。自分の持っている感覚がそもそも正常値じゃないので、それを乗っ取られるような感覚(脳や、三半規管、心の中)をかき回されている感覚に陥るようです。
最後にパニック障害の人への接し方の要点を箇条書きにしておきます。
・パニック障害の人は、できるだけ開放的な空間を好む
・大きな声は恐怖、優しい物言いで接してあげる
・「ごめん、ひとりにして」というときは、放っておいて欲しい時である
・周りが騒ぐと余計に症状がひどくなる
・一番いいのは「大丈夫だよ」と背中を撫でてあげること
メンタルな病にかかった人が共通に言うことは、《普通》に接して欲しいといことです。つまり《普通》とは、特別扱いせず、慌てることなく冷静に何か特別なことが起こっているわけではないと、平常のように振る舞って欲しいということです。病でありながら自分勝手な言いぐさに聞こえるかもしれませんが、この《普通》に込められた彼らの思いを上手く受け止めてあげて下さい。