A6 大人の学習障害の三つのタイプと症状を以下に記します。
学習障害には、主に読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3種類のタイプがあります。それぞれの具体的な症状をみていきます。
読字障害(ディスレクシア):読みの困難
字を読むことに困難がある症状です。読字障害は学習障害と診断された人の中で一番多く見られます。
- 音読の速度が遅い。一文字ずつ区切って読む逐次(ちくじ)読みをする
- 文字や行を読み飛ばしすることが多い
- 語尾や文末を読み間違えることが多い
- 「ろ」や「る」など形の似ている文字を見分けることが難しい
- 聴力は正常にもかかわらず、言われた言葉を聞き間違えることが多い
書字表出障害(ディスグラフィア):書きの困難
文字や文章を書くことに困難が生じる症状です。字が全く書けないわけではなく、人によって現れる症状は違います。脳損傷による症状と区別するために「発達性読み書き障害」と呼ばれることがあります。
- 子供の頃から文字に興味を示さなかった
- カタカナを習得するのが難しい
- 漢字をなかなか覚えられない。覚えても、忘れやすい
- 英語の読み書きが苦手
算数障害(ディスカリキュリア):算数、推論の困難
数字そのものの概念や、数量の大小、図形や立体問題の理解が難しくなる症状です。
- 数を数えるのが苦手・時計が読めない、時間がわからないことがある
- 算数の簡単な一桁の足し算や引き算の暗証ができない
- 繰り上がり、繰り下がりが理解できない
- 九九がなかなか覚えられない
- 図形の模写(視写)が困難・筆算はできるが暗算が苦手
学習障害が起きる原因は、はっきりとは解明されておらず、脳の機能障害によって見た形を正しく理解する視覚認知力や、字を音に変換する能力になにか問題が起きているのではないかと考えられています。ただ、交通事故や脳卒中(脳血管障害)などが原因で起こる「高次脳機能障害」の症状のひとつ「失語症」と似ている症状が見られることがあります。高次脳機能障害は、脳卒中などその原因となる出来事が起きてから発症し、高齢の人の割合が高いとされています。一方、学習障害は就学前から症状が継続していることが特徴です。