A3 睡眠障害は疾患によって治療法が異なります。「眠れない」から、では「睡眠薬治療」をと単純にはいきません。症状やサイン、診察や検査を行うことによって、その原因となる疾患が明らかとなった段階で、医師の診断に応じた適切な治療を受けることが大切です。
不眠症以外の疾患に対する治療
睡眠時無呼吸症候群
重症度によって治療が異なります。経鼻的持続陽圧呼吸療法(鼻CPAP療法)や口腔内装置などが使われます。肥満がある場合は、ダイエットが必要です。飲酒や睡眠薬は、かえって悪化させます。
むずむず脚症候群・周期的四脚運動障害
抗てんかん薬や抗パーキンソン病薬などが使われます。専門医の診察が必要です。
過眠症
夜間十分な睡眠をとり、規則的な生活ができるように心がけ、昼休みなどに短時間の昼寝をうまく取り入れるようにして下さい。眠気に対して中枢神経刺激剤が使用されることもありますが、専門医による診察と検査が必要です。
睡眠時随伴症
ストレスなどが関与している場合があるので、ストレスの軽減につとめましょう。睡眠中の寝ぼけ行動に対しては、危険に配慮した寝室環境を整えて下さい。薬物療法として、睡眠薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬などが使われることがあります。
概日リズム睡眠障害
体内時計をリセットし、通常の一日のリズムに合わせるためには、朝たっぷりの光を浴びるようにして下さい。休日でも同じ時間に起床して、光を浴びるのがコツです。睡眠薬やサプリメントを使用する場合は、専門医の指導を仰いで下さい。
睡眠薬の治療
寝つきが悪い、途中で起きてしまう、早く目が覚めてしまう、などの不眠症状に応じて、睡眠薬が使用されます。また、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬なども使用されることがあります。医師に指示された用法や用量を守って、正しく使用して下さい。睡眠薬は絶対にお酒と一緒に飲んではいけません。睡眠薬を服用したら30分以内に寝床に入るようにして下さい。服用していた睡眠薬を一度に中止すると、リバウンドで不眠が悪化することもあります。医師の指示に従って、ゆっくりとやめるようにして下さい。
睡眠習慣の見直し
睡眠時間にこだわらない
年をとると必要な睡眠時間は短くなります。あまり長時間眠ることを目標とせず、年齢に合った睡眠時間を設定して下さい。
眠くなってから床につく、就寝時刻にこだわりすぎない
眠ろうと意気込むと、かえって頭が冴えてきます。寝付けないままに床の中にいると、眠れないことの不安や焦りが生じ、ますます眠れなくなってしまいます。
同じ時刻に毎日起床
何時間眠れたかに関わらず、毎日同じ時刻に起床しましょう。
眠る以外で床の中で過ごさない
床の中でテレビを見たり、読書をしたりしないようにして下さい。なかなか眠れなかったら、いったん床から離れ、自分なりにリラックスできることを行ってみて下さい。
昼寝は短めに、遅くとも15時前に
長い昼寝や夕方以降の昼寝は、夜の睡眠に悪影響を及ぼすので注意して下さい。