Q7 パーソナリティ障がいの治療中ですが、就労支援サービスについて教えて下さい。

A.7 パーソナリティ障がいがあり、就労を希望される方には以下のようなサービスが受けられます。
 ①「就労移行支援事業所」では、一般就職を目指す65歳未満の障がいのある方へ就職支援を行っている福祉サービスの一つです。利用者は就労移行支援事業所へ通い、ビジネスマナーやパソコントレーニングなどの職業訓練や、面接への対策などの就職活動のサポートを受けることができます。
 ②「自治体の相談窓口」は、2015年7月から始まった「生活困窮者自立支援制度」では、自立のために必要な援助を受けられるように、都道府県・市区町村に専用窓口を設置しています。設置されている場所は、自治体の福祉担当部署のほか、社団法人やNPOなどさまざまあります。相談は無料なので、「何から始めたらいいのか分からない」という方は問い合わせてみるのも一つの選択です。
 ③「ハローワーク」では、求職情報の紹介・申込・就職後のサポートが受けられます。障がい者枠の求人から、一般求人の紹介まで受けられます。なおハローワークの求人はネット上でも閲覧できます。

  就職後の困りごとや悩みの相談は、以下のような専門の窓口を利用することができます。

企業独自の産業医・カウンセラー
医療機関(精神科、心療内科)
精神保健福祉センター
保健センター
地域活動支援センター
就労定着支援事業所

近しい人に相談する際に、依存状態に陥ってしまうこともあります。その点、上記の支援機関の相談員は専門家なので、適切な距離感を相手が配慮してくれるメリットがあります。

ここでパーソナリティ障害のある人が他の人と接する場合の自己配慮について考えてみます。
 

① まず「パーソナリティ障害とは何か?」からお話します。

かつてこの障害を「人格障害」と呼んでいましたが、人格を否定するかの表現であり誤解を招きやすいことから「パーソナリティ障害」と呼ぶようになりました。当たり前なことですが、決して人格を否定するものではないことを事実認識しておいて下さい。 「パーソナリティ」とは、物事のとらえ方、考え方、反応の仕方、人とのかかわり方など、人それぞれ特有なもの(気質や性格)があります。それらを総合して「パーソナリティ」と呼びます。パーソナリティの隔たりは、人それぞれ持っているものであるため、パーソナリティ障害は本人も周りの人も気づきにくく、理解されづらい障害なのです。 「パーソナリティ障害」とは、自分では普通の考えやふるまいをしているつもりが、何故か周囲の人と摩擦が起こってしまう。物事の考え方が他の人と違うため、生活に支障が出るほど本人が苦痛を感じ、人間関係に摩擦やトラブルが起こるケースに診断される精神疾患です。 パーソナリティ障害の《困りごと》は、主に対人関係に現れます。但し、パーソナリティに隔たりがあっても、本人や周囲の人が問題視していない場合や、社会生活や仕事で支障が起こっていない場合は「障害」とみなされないということを確認しておいて下さい。
② では「パーソナリティ障害」にはどんな特徴があるのか以下で解説します。

A群……猜疑(妄想)性、シゾイド(統合失調質)、統合失調型のパーソナリティ障害  他人と関わることに関心が薄く、他人への警戒心が高いため、周囲の人と信頼関係を築きにくい傾向にあります。このため他人から「変わった人」と思われがちで、チームワークが苦手なことも多いようです。

B群……反社会性、境界性、演技性、自己愛性のパーソナリティ障害 言動が演技的、または衝動的で、移り気であるなど、感情の起伏が激しく不安定な傾向があります。相手からのネガティブな言動に対して過剰に激しい怒りを示してしまい、周囲の人を当惑させることがあります。境界性の症状である「見捨てられることの不安」は、過剰な頑張りから体調を崩してしまい、手に負えない状況であっても助けを求めず自分で処理しようとするため、結果的に周囲の人を振り回すことにつながることもあります。

C群……回避性、依存性、強迫性のパーソナリティ障害 不安や恐怖心が極端に強く、内向的であることが特徴です。目立つことや困難に立ち向かう必要のある状況を避けようとするため、責任をともなう業務や昇進を断ってしまうこともあります。また自分のルールを守ろうとするあまり、生産性や効率を気にしないこともあります。依存性の症状から公私のバランスを取ることが苦手な傾向があり、仕事の範囲を超えて特定の人に依存してしまいます。その依存していた人が自分から離れると精神的に不安定になることは言うまでもありません。 受動攻撃性のパーソナリティ障害 仕事の依頼に嫌そうな態度をとったり、能率悪く対応したりするなど、受け身的な抵抗をすることで不満や反対の意思を表します。理由を尋ねても不満や反対の意思をはっきりと言葉で伝えるのではなく、「忘れていた」などと答えるため、周囲の人が真意を理解できずに困惑し、業務に支障がでることがあります。 パーソナリティ障害の共通した傾向には、「0か100か」という二極思考に陥りがちなため充分な能力があるにもかかわらず、自己評価が極端に低いという傾向があります。また不安や苦痛、ストレスに耐えることが苦手で、不安や苦痛の一時的な緩和を求め自傷行為に走ってしまったり、ストレスから衝動的な行動をとってしまったりすることもあります。生活のリズムや体調を崩しやすく、勤怠が安定しない傾向も見られます。
パーソナリティ障害の治療は、長期を要することが多いのですが適切な治療を受けることが何より大切です。放置しておくと悪化し、別種のパーソナリティ障害が現れてくることもあると報告されています。治療期間中、症状が悪化してように思える時期もあるかもしれませんが、症状の細かな変化に一喜一憂せずに気長に治療を続けることが大切です。
最後に、他の人と接する場合の自己配慮について 職場の上司にパーソナリティ障害の治療中であることを伝えておくことです。また合理的配慮を得やすくするために、障害について、自身の状況について、情報を共有しておいた方がいい人はいないか、仕事をしながら探してみることです。なお治療中は職場での人間関係は、職場内だけの関係と思うようにしてみて下さい。 尚、自身でも健康維持についてのスキルを持つことです。障害の症状によって、感情の不安定さから食欲低下や睡眠障害、飲酒や喫煙に不安やイライラをまぎらわしたい衝動にかられることもあります。普段から生活のリズムを整え、安定した生活を送れるよう心がけて下さい。ネガティブな感情やイライラが高まった時は、音楽を聴いたり運動をしたりするなど、自分に適した健康維持のためのスキルをひとつでも多く持っておくことです。 家族や友人、医療や行政機関の支援窓口など、安心して過ごせる場所や相談先となってくれる人を複数持っておくことで、帰属意識や安心感が生れ、精神の安定につながります。




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