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G7包摂と障害に関する担当大臣会合(令和6年10月14日~17日イタリア・ソルファニャーノ等)では、成果文書「ソルファニャーノ憲章*」を採択しました。以下、概要について説明します。
*G7包摂と障害に関する担当大臣会合で採択された「ソルファニャーノ憲章」は、G7各国において誰もが市民的、社会的、経済的、文化的及び政治的活動に完全かつ効果的に参加し包摂される権利です。
・序文
- 障害のある人の権利をあらゆる政治的アジェンダに取り込み、障害のある人の包摂を推進する
- 障害のある人の意見を政策決定に積極的に反映する重要性が強調されました
1.全ての国の政治的アジェンダにおける優先課題としての包摂について
- G7各国の活動において、障害のある人の包摂と権利の尊重を推進する
- 今後のG7や国際的な議論に、「包摂と障害」を取り込む
- 障害者団体との協力を継続し、障害者の包摂の進捗をフォローアップする
2.アクセスとアクセシビリティについて
- 日常生活のあらゆる側面で、アクセシビリティ政策と合理的配慮を推進する
- 製品・生活インフラ等の設計・開発段階から、障害者と連携しアクセシビリティに配慮する
- 障害者団体と協力し、ベストプラクティスの普及と評価ツールを強化する
3.自律的で自立した生活について
- 自己決定の尊重と社会生活への参加に向け、障壁の除去や合理的配慮を推進する
- 障害者団体の支援や、知識共有等のためのネットワークの構築を推進する
- 地域サービス等を平等に利用できるよう、ニーズに応じた対応を確保する
4.才能の向上と労働の包摂について
- 障害のある人の希望を尊重し、適切な雇用を促進する
- 市民団体の役割を認め、障害者の才能とスキルを強化する組織モデルを推進する
- 職場での合理的配慮や、新技術の活用を推進する
5.新技術の推進について
- AIの有用性と負の側面(不平等やプライバシー侵害リスクの拡大等)の調和を図る必要がある
- 障害者団体やイノベーション業界との対話を促進し、安全で倫理的なシステム開発を推進する
- 障害のある人が、情報通信ツールへ平等にアクセスできるよう環境整備をする
6.スポーツと生活の中のレクリエーション的・文化的側面について
- 「スポーツとレクリエーションは社会統合を促進し、偏見をなくす」を共通認識とする
- リハビリ・競技の両面で、障害のある人のスポーツ参加を促進する
- 包摂的で利用しやすいスポーツを支援し、人権や障害理解を促進する
7.生活の尊厳とコミュニティに根ざした適切なサービスについて
- ユニバーサルデザイン・合理的配慮の提供に配慮した地域サービスを提供する
- 障害のある人に包摂的で専門的な医療・社会福祉等の普及を推進する
- 生活やサービスの利用に関して自己決定できるよう適時適切な支援を実施する
8.気候危機、武力紛争、人道的危機を含む緊急事態準備・対処における予防及び管理について
- 障害のある人の災害時の脆弱性を認め、その権利・ニーズに配慮した対応を実施する
- 障害者団体等の関与を通じ、障害のある人の安全確保の体制を強化する
- 緊急時のリスク評価と合理的配慮の提供のために、情報収集と情報管理を推進する
・結語
- 国連障害者権利条約の完全な実施に向け、国際機関や民間セクター等と協力して取り組むこと
- 今後のG7においても、包摂と障害について引き続き議論をすることになりました
・最後に……
ソルファニャーノ憲章は各国のさまざまな分野において障害者の包摂と権利を取り入れ、政策を決める際も障害者の意見を積極的に反映させることを柱としている。「アクセシビリティ」「自立した生活」「労働の包摂」など8章で構成される。日本ではどうにも建物等のバリアフリーと、ウェブ(を含む情報分野の)アクセシビリティが離れてしまっているようですが、「アクセスとアクセシビリティ」というひとまとまりにされていることに改めて目を向けるべきではないか、と日本の現状に提言する意見もあるようです。内閣府の仮訳のソルファニャーノ憲章が公開されているので、さらに興味をお持ちの方はご確認ください。
以上:内閣府ホームページを参考とさせていただきました。