新型コロナ感染と疑われる者とは？
新型コロナウイルスの感染によるパンデミックが始まって以来、各事業所や施設では入所時に検温や消毒などして万全を期していることと思います。それでも新型コロナウイルスの感染では？と疑われる利用者が出ないとも限りません。そこで、「はてこの人は？」と疑われる場合の目安となるものを以下記しておきます。
- 37.5°C以上、または呼吸器症状が4日以上続いた場合。
- 高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患)を抱える者、または妊婦については、37.5°C以上、または呼吸器症状が2日以上続いた場合。
- または強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある者。
以上のような症状がある場合には、疑ってもいいと思われます。
症状が継続している場合や診断結果の確定までの間
次に、疑いのある人が出た場合、どのような対応をしたら良いでしょう。
① 疑いのある利用者は原則的に個室に移します。
個室が足りない場合には同じ症状の人を同室にして下さい。
② 疑いのある利用者にケアをする場合には、職員はサージカルマスクを着用するようにして下さい。
③ 罹患（病気にかかった患者）した利用者が部屋を出る場合には必ずマスクをするよう固く指導して下さい。
新型コロナウイルス感染と疑われる者が発生した場合の対応について
新型コロナウイルス感染が疑われる者が発生した場合、当面は保健所や協力医療機関に相談し、以下の対応を行って下さい。尚、保健所の指示があった場合は、その指示に従うようにして下さい。
1．連絡・報告・情報共有
保健所に設置されている「帰国者・接触者相談センター」に電話連絡し、指示を受けるようにして下さい。※尚、協力医療機関にも相談することも必要となります。
また、速やかに施設長等への報告を行い、施設内での情報共有を行い、指定権者（申請先である市役所など）への報告も行って下さい。その上で利用者家族に連絡することも忘れないようにして下さい。
2．消毒・清掃
新型コロナウイルス感染が疑われる者の居室、および当該の利用者が利用した共用スペースについては、全て消毒・清掃を徹底して実施するようにして下さい。
- 手袋を着用し、消毒用エタノールで清拭することです。
- または、次亜塩素酸ナトリウムで清拭後、湿式清掃し、乾燥させます(※)。
- トイレのドアノブや取手などは、消毒用エタノールで清拭して下さい。
※なお、次亜塩素酸を含む消毒薬の噴霧については、吸引すると有害であり、効果が不確実であることから行わないようにして下さい。
3．濃厚接触が疑われる利用者・職員の特定
新型コロナウイルス感染が疑われる者が発生した場合、施設等においては、感染が疑われる者との濃厚接触が疑われる利用者・職員を特定することが必要となります。
濃厚接触が疑われる者とは
新型コロナウイルス感染が疑われる者と同室または長時間の接触があった利用者・職員のことです。
適切な感染の防護無しに新型コロナウイルス感染が疑われる者を介護していた職員や、
新型コロナウイルス感染が疑われる者の気道分泌液もしくは体液、排泄物等の汚染物質に直接触れた可能性が高い利用者・職員が対象となります。
4．濃厚接触が疑われる利用者への適切な対応
原則として個室に移動させます。
ケアの際には、部屋の換気を1、2時間ごとに5~10 分間行う。また、共有スペースや他の部屋についても窓を開け、換気を実施して下さい。
職員は使い捨て手袋とマスクの着用は必須です。
「1ケア1手洗い」、「ケア前後の手洗い」を基本として、液体石けんと流水による手洗い、または消毒用エタノールによる手指消毒を実施するようにして下さい。
※手指消毒の前に顔(目・鼻・ 口)を触らないように注意することを忘れないで下さい。
体温計などの器具は、その他の利用者にも使用する場合は、消毒用エタノールで清拭をこまめに行って下さい。
個別のケアを行うときの留意点
1) 食事の提供について
原則、個室で行うようにして下さい。
食事前に利用者に対し、液体石けんによる手洗いを実施すること。
食器は使い捨て容器を使用するか、他の利用者の物と分けた上で、熱水洗浄が可能な自動食器洗浄機を使用すること。
まな板・ふきんは、洗剤で十分洗い、次亜塩素酸ナトリウム液に浸漬後、洗浄することです。
2) 入浴について
原則として清拭で対応するようにして下さい。
清拭で使用したタオル等は熱水洗濯機（80℃10分間）で洗浄後、乾燥を行うか、または次亜塩素酸ナトリウム液に浸漬後、洗濯、乾燥を行うことです。
3) 衣類の洗濯について
利用者の衣類については、その他の利用者と必ずしも分ける必要はありませんが、熱水洗濯機（80℃10分間）で処理し、洗浄、乾燥させるか、またはハイター浸漬後、洗濯、乾燥を行って下さい。
利用者が鼻をかんだティッシュ等のゴミの処理は、ビニール袋に入れて感染性廃棄物として処理して下さい。
5．濃厚接触が疑われる職員への適切な対応
濃厚接触が疑われる職員の中で、発熱などの症状がある場合は、自宅待機を行い、保健所の指示に従うようにして下さい。
発熱などの症状がない場合は、保健所と相談の上、対応するようにして下さい。
以上、初動における感染者が出た場合に行わなければならないことを中心に記してみました。新型コロナウイルスに感染した利用者が出たとしても慌てないでください。また、感染者がでたからといって事業所や施設が運営できなくなるわけではありません。適切な対応、レポートの作成と、ある程度の洗浄期間を経た上で、再開は可能となるはずです。いずれにしても冷静な対応を心掛けていただくことが、何よりも大切なことだと言えます。
新型コロナウイルスの感染者が出ないよう、また他の利用者や職員に感染しないよう周知徹底した三密回避とマスクの着用、手洗いや消毒の徹底を習慣化するようにして下さい。
