てんかん

てんかん[総論]

私たち人間の脳の中では、神経細胞が電気信号でお互いに連絡を取り合い、常時調和の取れた活動をしています。しかし何らかの拍子で、その電気信号の調和が乱れると、意識を失ってしまう、体を大きくガクンガクンさせるような痙攣が起きる、急に動きが止まる、といった症状が現れます。このような発作が繰り返し起こることを「てんかん」と呼びます。

子供から大人まで、非常に幅広い年齢層で発症する可能性がありますが、てんかんのおよそ80%は18歳以前に発症します。ただし近年では高齢化にともない、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などにともなうてんかんの発症も多くなってきました。
てんかんは遺伝しませんが、てんかんのタイプによっては遺伝するものもあります。心配な場合は主治医に相談してみましょう。

 てんかんの診断は、症状が起きているときの目撃情報が第一歩です。病院に運ばれてくるとき、ほとんどの場合は発作がすでに止まっているので、医師はどのような発作だったかを目撃することができません。ですからてんかんを目撃した人からの情報がとても重要になります。医師に伝えるべきポイントを下記に列挙します。

・発作が起きた状況、時間

・発作の持続時間

・意識は保たれていたかどうか

・歩きまわり、舌をなめるような、普段はしない異常な行動があったかどうか

・震えは左右どちらから始まったか?

・突っ張った姿勢なのか、両手足ががくがくしていたか?

以上のような目撃情報をもとに、病院では下記の検査を行います。

《脳波検査》

てんかんの診断において一番重要な検査です。頭に電極を貼り、脳の電気信号を抽出します。痛みなどはなく、繰り返し行える検査です。場合によってはわざと目の前にチカチカする光を当てたり、息をハアハアしてもらったりして、脳波の乱れを誘発して変化を確認することもあります。

《画像検査》

画像検査のMRI、CT検査をおこない、脳の中に脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、脳挫傷などがないかを調べます。それだけでなく、脳細胞の働きを見るために、脳の電気活動により発生する磁場を測定する脳磁図や安全量の放射性物質を使って、脳細胞の活動具合を画像化するPET/SPECT検査を行うことがあります。こちらは大変に大がかりな検査となるので、一般的な病院では行わないことが多く上記の脳波検査で代用します。

《血液検査》

血液中のナトリウムやカルシウムが減少するとけいれんが起きやすくなりますので、血液検査を行います。また、てんかんの薬を飲んでいる場合、薬の副作用のチェックや薬の血中濃度を測定して内服量が適切かどうかを調べます。

てんかんは、内服薬を適切に飲み、生活習慣を良好に保てば、ほとんどの人が発作を起こすことはなくなります。基本的には一種類の内服薬で治療します。なかには、一種類の内服薬ではうまくコントロールできない場合もあるので、たくさんの種類を飲まなければならない場合もでてきます。

ほとんどの患者さんは、この薬物治療でコントロールできますが、複数の内服薬を使用してもコントロールができない場合もあり、その場合は手術による治療を行います。手術治療では脳の一部を切除し、電気信号の興奮を抑えます。これによって調和のとれた脳の活動に戻れば、発作をコントロールすることができます。

人間の体は、内服した量と、脳へ届く薬の量は全ての人が同じではありません。ですから、血液中の薬物濃度を測定し、その人にあった内服量を決定します。この検査は、病状によってさまざまですが、おおむね半年から一年に一度くらい行うことが多いようです。内服治療が始まった初期段階では、眠気やフラつきが出たりすることがありますが、量を調節すれば収まることが大半。発作が3年から5年程度なければ、内服薬を減らしたり、中止したりできる場合があります。その時は必ず主治医と相談して決めて下さい。


Q&A(クリックすると、記事内容が見れます)

Q1 てんかん発作の症状について教えて下さい。

Q2 てんかんの原因は何なのでしょうか?

Q3 てんかん発作が起こる仕組みを教えて下さい。

Q4 てんかんの種類にはどんなものがあるのでしょうか?

Q5 てんかん発作とけいれん発作の違いについて教えて下さい。

Q6 てんかんは危険ではないのですか?

Q7 けいれん発作を目撃した場合はどのように対処したらいいですか?

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