適応障害[総論]
適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。
たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。
ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。でもストレス因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。
適応障害とは、心理社会的ストレス因子に対する短期間の不適応反応のことを言います。
適応障害は、ストレス因子が消失すれば速やかに症状が改善し、もしストレス因子が持続した場合は新たな適応状態に達するか、症状が悪化しうつ病などを発症する可能性もあります。
適応障害の場合、症状はストレス因子の始まりから3ヶ月以内に出現するとされています。ストレスの性質や強度は特定されませんが、自然災害や暴力犯罪などの破局的な出来事よりも、転職や異動、失恋、借金などの経済事情の変化といった日常的な事柄がストレス因子になる場合が多いです。
破局的なストレス因子の場合は適応障害とは別にPTSD(心的外傷後ストレス障害)への注意が必要になります。
適応障害はその他の精神疾患の診断基準を満たさず、通常6ヶ月以内に改善しますが、ストレス因子が慢性的である場合や長期間持続した場合はより長引くこともあります。
適応障害の一般人口における有病率は2~8%です。小児期や青年期においての男女差はみられません。
青年期では男女を問わずストレス因子となりやすいのは、学校問題、親の拒絶、親の離婚や物質乱用(アルコールや薬物など)などです。成人期におけるストレス因子として多いのは結婚問題や離婚、異動や転職、転居、経済的問題が多いといわれています。 適応障害は内科や外科の病気で入院している患者に最も多くみられる精神科疾患の一つです。
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