メニエール病とは?

メニエール病とは、回転性めまい発作に難聴、耳鳴りなどの症状が重なって、それらが繰り返し起きる内耳の病気です。三半規管の近くにリンパ液がたまって器官を圧迫するために、めまいの他に難聴や耳鳴りが起こるのです。最近では内耳造影MRIによって、どこにどれくらい水分が溜まっているか画像で見えるようになり、めまいや、それ以外の症状との関係が次第にわかってきました。40〜60代が発症しやすく、女性に多いとされています。また、責任感が強く、きちょうめんな性格の人がなりやすいと言われています。過労やストレス、不規則な生活との因果関係が疑われています。メニエール病は通常、片方の耳に起こりますが、症状が進行すると両方の耳に生じる場合もあります。両耳罹患率は、メニエール病患者の10〜40%と言われていて、罹病期間が長くなればなるほどその率は上昇します。その結果、神経症やうつ病との合併率も高まる傾向にあるため、できる限り早期に適切な治療を受けることが大切です。この病気は、19世紀にフランス人医師であるメニエールが報告したことから、メニエール病と名付けられました。

・その原因

メニエール病の原因は、内耳にある三半規管と蝸牛(かぎゅう)を満たす内リンパ液が増えすぎることが関係していると考えられています。内耳には、体のバランスをとる三半規管や耳石器、音を感じ取る蝸牛などがあり、これらは内リンパ液という液体で満たされています。この内リンパ液が増えすぎると、三半規管の働きが障害されてめまいが起きます。また蝸牛にも影響して難聴や耳鳴りが起こります。

・メニエール病の症状

回転性のめまい

突発的に、自身、もしくは周囲の景色がぐるぐる回っているような、立つことも出来ないほどの激しい回転性めまいが起こります。20分程度で収まることもあれば、数時間続くこともあり、間隔・頻度も一定ではなく、何度も繰り返し起こるのがメニエール病の特徴です。逆に、数十秒程度で収まるめまいは、メニエール病ではなく、良性発作性頭位めまい症の可能性があります。

●耳鳴り・難聴

耳鳴り、難聴や耳が詰まったような感覚(耳閉感といいます)は、回転性のめまいとともに出現し、めまいの消失とともに改善します。メニエール病による難聴は、低音が聞こえにくくなることが多く、多くは耳閉感として感じます。メニエール病は通常片方の耳に起こりますが、治療が遅れて症状が進行すると、両方の耳に生じる場合もあります。

●吐き気や冷や汗など

ほかにも、めまいと同時に吐き気や冷や汗、激しい動悸などの自律神経症の症状を伴うこともあります。めまいの症状が収まると、吐き気や冷や汗もだんだん治まっていきます。

●急に症状が出たとき

回転性のめまいがある時には、その場でしゃがんだり寝そべったりして、急な動作は極力避けましょう。めまいも耳鳴りなどの症状も、周囲からは分かりにくいため、突然起こった時のために、「ヘルプカード」を持っておく方法もあります。

・メニエール病と突発性難聴

メニエール病は突発性難聴と症状が似ており、その見極めが難しい病気です。メニエール病の場合、10分〜数時間ほどのめまいがありますが、突発性難聴の場合はめまいがある場合と全くない場合に分けられます。また、メニエール病はめまいと難聴の発作が繰り返し発生するのに対し、突発性難聴は繰り返しません。メニエール病は低音から聞こえづらくなりますが、突発性難聴は突然の強い難聴に見舞われるのが特徴です。きっかけは共通しており、ストレスや疲労などによって発症します。

・メニエール病の診断方法

●聴力検査

メニエール病では低音が聞き取りにくくなる特徴があるため、難聴の程度をチェックします。

●平衡機能検査

①眼振検査

めまい症状がある場合には、眼振(無自覚な眼球の揺れ)が起こることがありますので、フレンツェル眼鏡という特殊な眼鏡を使用して検査をおこないます。

②重心動揺検査

検査台の上に立ち、目を開けている時・閉じている時の身体のふらつき、体のバランスを確認します。

●画像検査

造影MRI撮影にて、内リンパ水腫の評価をおこないます。メニエール病の場合は内耳がむくんでいる可能性があるため、左右の耳を比較して差を確認します。つまり内耳のみずぶくれの状態などを調べます。

メニエール病の国際的な診断基準には、「バラニー基準」「AAO-HNS 1995 基準」「前庭機能異常研究班基準 2008 基準」の3つがあります。
ここでは、2015年1月にJVR(耳鼻咽喉科の国際医学誌)に掲載された新しい基準である「バラニー基準」についてご紹介します。

バラニー基準

メニエール病確実例 ●20分から12時間続く、2回以上の回転性めまい発作
●発作の前、最中、後に少なくとも一度は鈍音聴力検査で低音から
   高音難聴が片側にあること
●変動する耳症状(難聴、耳鳴りや耳閉塞感)があること
●他の前庭疾患に該当しない
メニエール病疑い例 ●20分から24時間続く、2回以上の回転性めまい発作
●変動する耳症状(難聴、耳鳴りや耳閉塞感)が患側にあること
●他の前庭疾患に該当しない

ここにある基準に該当するなど、メニエール病が疑われる場合には、まず「耳鼻咽喉科」を受診してみてください。また、総合病院の場合は「めまい・難聴外来」という、めまいや難聴に特化した専門医がいる場合もあるため、相談することをお薦めします。

・メニエール病の治療方法

メニエール病は、早期に治療を開始した場合、薬物治療や規則正しい生活指導によって80~90%の人は症状が改善されると言われています。

 薬物療法

薬物療法では、「発作急性期」と「発作間欠期」に分けられます。

●発作急性期

初期である急性期には、主にめまい発作の軽減と、それに伴う吐き気や嘔吐などの自律神経症状の軽減を目的としています。

・めまい発作を抑える抗めまい薬
・吐き気、嘔吐などの自律神経症状を軽減するための制吐薬
・発作に対する精神的不安、高ぶりを抑える鎮静薬

これらの治療を発作当日のみ〜数日間おこなった後、間欠期治療へと移行していきます。

●発作間欠期

間欠期には、主に聴覚の回復とメニエール病の再発・進行の予防を目的としています。

・聴覚回復のための内耳循環改善薬
・内リンパ水腫に対する利尿薬

この他に、最近では「水分大量摂取治療」「有酸素運動治療」「心理・精神治療」などの治療法も取り入れられる
 ことがあります。一方、これら治療をおこなったにも関わらず、めまい発作が治まらず、難聴が進行してしまう
 場合もありますが、その場合は「中耳加圧治療」、「外科治療」として手術がおこなわれることもあります。

《規則正しい生活習慣が基本》

治療の基本は生活習慣の改善です。多くの場合、それだけで症状が和らぎ、めまいを予防することができます。メニエール病対策4か条で症状をコントロールします。

ストレスコントロール

ストレスの原因を突き止めて、それを取り除くことが大切です。
また、十分な睡眠をとって疲れをためないことや、積極的に気分転換をしてストレスを解消するのが効果的です。

塩分をとりすぎない

塩分の摂取量が多いと、体内の塩分濃度を調整しようとして体内に水がたまりやすくなります。
減塩を心がけましょう。

適度な水分補給

内耳が水ぶくれのような状態になるのが原因なので、水分の補給を控えたほうがよいと思われがちですが、
体内の水分が減ると、体が体内の水分を保とうとして、かえって水分が排出されにくくなります。
水分は適度に補給するようにしましょう。カフェインを含むコーヒーや紅茶、緑茶は控え、
塩分を含まない水や麦茶がお勧めです。

適度な運動

適度な運動は、ストレスの解消だけでなく、耳の血液の流れを改善して症状を和らげることにつながります。
特にウォーキングなどの有酸素運動が効果的とされ、好きなスポーツに打ち込むことで症状が改善したケースもあります。

・仕事を続けるための対処法

●周囲の理解を得る

もしメニエール病と診断された場合には、すぐに職場の上司に相談しましょう。直接上司と話すのが難しい場合には、社員の健康管理やストレスチェックの役割を担う相談窓口(産業医など)に相談をするといいでしょう。「発作を起こして迷惑をかけるかもしれない」と不安になること自体、精神的な負担につながり、症状を悪化させてしまう可能性もあります。人により症状の程度も違うため、どのくらいの頻度でめまい発作が起こる可能性があるのか、発作が起きた時にはどのような対処が必要なのか、事前に伝えておくことで周囲にも安心してもらえるでしょう。

●働き方を調整する

メニエール病の症状には波があるため、一時的に落ち着いていて働ける状態でも、業務過多や残業が続くとストレスになり、症状の悪化につながりかねません。また、出勤前の通勤中などに、突如めまい発作が起こる可能性も考えられます。そのため、症状が落ち着くまでは、業務量や残業を調整し、変則的な出勤時間の調整・リスクの少ない在宅勤務など、負担の少ない働き方ができないか相談してみてください。

●仕事を休むことも必要

強いめまいや耳鳴りが頻発して起こる場合には、仕事を一時的に休むことも必要です。「いつ発作が起こるか分からない」という不安を抱えたまま働き続けると、精神的なストレスも増えてしまいます。しばらく休養・治療に専念して、メニエール病の症状が落ち着いてから徐々に復帰を目指すことで、自身も周囲も安心して働くことができるかもしれません。

●休職したい場合

休職したい場合の流れは以下の通りです。

①医療機関へ相談をする
②会社の休職制度の詳細を調べる
③上司、もしくは担当窓口(産業医など)に相談をする

会社に休職制度がない場合や、自身が休職制度に該当しない場合でも、有給休暇を使用して療養をおこなうという方法もありますので、まずは周囲に相談をしてみましょう。

・利用できる支援制度

医療費助成制度

メニエール病は2015年より、国の指定難病から外れているため、国からの医療費の助成はありません。しかし、自治体によっては助成金や補助を受けられる場合があります。

●自治体がおこなう独自の助成制度

自治体がおこなっている医療費助成制度で、指定されている疾患を発症している場合、ひと月あたりの定額として手当を受け取ることができます。基本的には指定難病が主となりますが、指定難病以外の疾患を認定している自治体もあります。登録されている疾患は自治体によって異なりますが、もしメニエール病が「県独自の指定難病」として指定されていた場合には、治療にかかる1ヶ月分の医療費から、自己負担上限額を超過した分が支給されるシステムとなっています。申請書・医師による診断書を提出することで申請ができますので、詳しくは各自治体にお問い合わせください。

障害者手帳

メニエール病と診断されただけでは、障害者手帳の対象とはなりません。しかし、耳鳴りや難聴、めまいやふらつきの症状が高度な場合には、「身体障害者手帳」の対象となることがあります。障害者手帳の申請をする場合には、まず指定医に交付基準に該当するか診断してもらってください。障害者手帳については、各自治体の障害福祉課などの窓口にご相談ください。
身体障害者手帳の対象となる障害のうち「聴覚又は平衡機能の障害」であると認められる場合に障害者手帳の対象となります。

障害年金

メニエール病は、ストレスや疲労が蓄積されて発症することが多いため、早期に休養・治療をすることで治る場合がほとんどです。しかし症状が続き日常生活に支障をきたす場合には、「障害年金」の対象となることがあります。会話が聞き取れないなど、難聴による認定を受けることが多いようですが、めまいなどの平衡感覚の異常で認定を受ける場合もあります。

・最後に……

メニエール病の症状は波があり、その波は周囲からはわからないため、理解されにくい辛さがある方も多いかもしれません。メニエール病であるにもかかわらず、ストレスがかかっている状態で無理して頑張ってしまうと、症状が悪化し、その分治療が長引いてしまうこともあります。一方、発症後早期に適切な治療を受けると、めまいや難聴などの症状を最低限に抑え、悪化を防ぐことにもつながります。少しでも症状があると感じる場合には、一人で我慢せず早めに周囲に相談するようにしてください。







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