日本におけるリゾート会員権のシェアトップを誇る、総合リゾート企業であるリゾートトラスト株式会社。同社規模であれば、特例子会社という形で障害者雇用に取組んでいる企業も多い中、同社では特例子会社という形をとらずに障害者雇用を推進している。そこにはどのような想いがあるのだろうか。リゾートトラスト並びにリゾートトラストグループにおける障害者雇用の取組みを以下に紹介する。
事業部立ち上げのきっかけ
リゾートトラストが障害者雇用に取組み始めたのは2006年。グループ全体で障害者雇用率を向上させようという動きが始まった。当時、ダイレクトメールを印刷し、お客様に発送するといった業務は営業社員の担務であったが、これを障害のある方に担ってもらおうと、彼らが活躍する部署である「東京本社事務支援センター」を立ち上げた。
特例子会社という形をとらない
リゾートトラストは障害者雇用率が単体:3.17%、グループ全体:2.96%と、高い水準を誇っている。リゾートトラストの障害者雇用では特例子会社という形はとらず、基本的には本社直接雇用となっている。その理由は、同じ会社の中で障害のあるなしに関わらず、協力して働くという形を取りたかったということが挙げられる。また、大切なお客様情報を取り扱う業務を、特例子会社とはいえ、外部に委託したくはなかったということもある。
どのような業務を任せているか
PCデータ入力や契約書作成、お客様に対するノベルティグッズの製作など、現状では約80種類の業務がある。他の特例子会社様などでは自社以外の業務も受注することがあるが、リゾートトラストでは基本的には全て自社グループの業務を行っている。障害者雇用においても、業績に寄与して欲しいから。
・配送業務
・名刺制作
・契約書製本
・ポスター葉書印刷
・レストランナプキン折り
・リネン折り
・ほつれ直しなどの裁縫
・備品管理・補充
自分の業務がグループの業績向上を担っている
「自分の製作したものがお客様のもとに届く」という意識の中で皆業務を遂行してくれている。契約書がないと会員権は販売できませんし、そういった意味でも重要な役割を担っている。 ホテル関連業務に関しても、お客様のアニバーサリーや誕生日、結婚記念日の際のお部屋の装飾品を作ったり、レストランでおもてなしをするための小物を作ったり。お客様の驚きや喜びに直結する業務も担当している。障害のある社員の中には、手先が器用で、このような装飾品作りが大変得意なひとや、上手にイラストを書くひともいる。
グループ内でも認知されている
東京本社事務支援センターの組織内容に対する認知度が飛躍的に向上したのは、2014年に当時の天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后両陛下)が訪問されたことがきっかけになった。現在では管理職クラスでも積極的に障害者のある方に活躍してもらおうという意識があり、現場レベルでもその意識が浸透している。
定着やサポートスタッフについて
東京本社事務支援センターのスタート時の10名の社員のうち、6名は現在も活躍してくれている。グループ内での彼らに対する仲間意識も強い、定着してもらえる組織の土壌はある。当然、サポートスタッフの活躍もある。サポートスタッフは、現在センター長以外に11名いる。サポート内容としては、他部署との業務のやり取りや納期の調整、障害者スタッフのケア、保護者の対応などがメイン。リワーク支援も実施しており、社内でメンタル不調だとか、傷病を患って休職する方々の職場復帰サポートも行っている。
https://www.resorttrust.co.jp/index.html
創業:1973年4月
資本金:195億90百万円(2023年3月末)
従業員数:7,943名(2023年3月末 連結)
グループ会社:リゾートトラスト株式会社含め30社
事業内容:会員権事業、ホテルレストラン事業、ゴルフ事業、メディカル事業、シニアライフ事業、その他
売上高:1,698億30百万円(2023年3月期 連結)